強制する療育が効果ゼロの理由、第二回です。
今回は、脳内ホルモンであるセロトニンに焦点を当てて、解説しています。
セロトニンは、安心感を生み出す脳内ホルモンなのですが、自閉症スペクトラムのお子さんは、このセロトニンが少ないと言われています。
それだけではなく、セロトニンを再利用する際に活躍するセロトニントランスポーターという物質が、もともと日本人には少ないということが分かっています。
そういったことから、そもそも日本人は、不安感が高い民族なのです。
そんな国民性がある中、矯正させる療育に意味があるかというと、マイナスはあってもプラスはありません。
なぜなら、自信のない子をより追い込むことになるからです。
「なぜできないの?」「やればできるから、ちゃんとやりなさい」と言われ続けた結果、「自分には無理」「逃げたい」という負の感情になり、自己肯定感がどんどん下がっていくことになった事例は、枚挙にいとまがありません。
発達特性のあるお子さんに限らず、人には「どれだけ努力しても、できないことがある」のです。
反面、「あまり努力をしなくても、人よりもできることがある」のです。
そこにエネルギーを費やした方が、みんな幸せになれると思いませんか?
それを見つけてあげることのほうが、大人も楽しく取り組めませんか?
集団に合わせることができないと、不幸になりますか?
子どもが辛くても、集団に合わせることの方を優先させるべきでしょうか?
親と子で、脳の作りも違えば、脳神経のネットワークも違います。
ましてや他人なら、なおさらです。
だから、やるべきことは、強制ではなく、「勇気づけ」です。
勇気づけるということは、子どもを一人の人間として尊重し、子どもなりに輝ける方法を考え、自分に少しでも自信が持てるように声をかけてあげることです。
そのためには、まず、医学的根拠をもった療育を実践することが大切です。
療育支援者に限らず、保護者の方も、ぜひその根拠を学んでください。
それが理解できると、「強制させよう」という気持ちは、消えてなくなります。
そして、「じゃあ、この子にはどうしてあげるのがいいのだろう」と未来を向いた思考になっていきます。
周りの大人が、未来志向で子どものことを考えることこそ、療育に通う最も重要な意味です。
子どもは、療育を受けるために生まれてきているのではありません。
子どもは、家族に愛され、地域社会の中で楽しく暮らすために生まれてきているのです。
強制する療育で、子どもを縛るのは、大人のエゴです。