言葉が出るために必要なこと、それは「言語聴覚士に担当してもらうこと」だと思っているあなた。
ざんねーん!!
それじゃあ言葉は育たないぜっ斬りっ!(古すぎて分からないと思いますが、ギター侍です(笑))
え?そんなことないよ?巷では、言葉の遅れがある場合「言語聴覚士さんがいる事業所」を探すのが普通でしょ?
そう思いましたよね?
いいえ。違います。それは都市伝説です(笑)。
頭の中が「?」になっているかもしれませんので、2つに分けて説明しますね。
①そもそも言葉は言語聴覚士が引き出すものではない
これは運動発達で考えると分かりやすいです。
赤ちゃんがいます。
お母さんがふと気づくと、床の上にちょこんとお座りしているではありませんか!
「みてー!この子、お座りしているよ!」
「おお!すごいな!お座りの姿勢を取らせたの?」
「ううん。今気付いたら、一人で勝手に座ってた!」
こういったことありますよね。
ではここで疑問。
なぜ赤ちゃんは、教えてもいないのに、勝手にお座りをしたのでしょうか?
それは、「お座りをするための状況が整ったから、勝手に座った」のです。
お座りをするための状況とは、「首が座っていること」「うつ伏せから腕の力と背筋力で体を持ち上げることができること」「足を前に曲げてくること」「体幹筋が育っていること」などです。
これらのことが揃えば、「お座りは自然にできる」ということです。
もちろん、ハイハイも、つかまり立ちも、その他のすべてのことが同じ機序です。
つまり、「子どもはできる状況になれば、勝手にし始める」のです。
反対に言うと、できないということは「できる状況が揃っていない」ということです。
もっと端的に言うと、今子どもがしていることは、「子どもにとって、最上級のレベルのこと」なわけです。
さて、ここで言葉を話すということに戻ってみましょう。
言葉もお座りと同じで、状況が整えば出てきます。
出ないのは、状況が整っていないから、に他なりません。
「単語は出るんだけど、二語文にならないんです」
それは、二語文が出るための要素が揃っていないからです。
「 単語の間違いが修正されないんです」
それは、言い間違っていることにまだ気付いていないからです。
このように状況が整っていない段階で、「二語文を教える」「言い間違いを指摘して修正させる」ことをしても、子どもは適応できません。
つまり、こういった指導は、成功しないということです。
「では、どうすればいいの?諦めろということ?」
そんな早合点しないでください。
発達は、上から引っぱり上げるものではなく、底上げをしてあげることで促進していくことができるのです。
つまり、今のお子さんの段階より難しい課題を与えて、繰り返し練習させるのではなく、「次の段階に行けない部分(理由)」を見つけてあげて、その部分を上手く導く、または環境を整えてあげる」という方法が、唯一の上手くいく方法です。
言語聴覚士さんに担当してもらうメリットは、この躓きを見つけてもらうことなのです。
決して言語聴覚士さんが、引き出すのがうまいわけではないのです。
言葉を引き出すための遊びプログラム構築や子どものモチベーションを高める、という意味では、保育士さんの方がうまいです。
セラピストは往々にして、そういうことが不得手人が多いです(両方できるセラピストは最強かもね)。
(補足)これは「できる保育士さん」と「できるセラピスト」を比べたときの話です。できない保育士さんだと、できるセラピストのほうが子どもを乗せるのがうまいですし、できないセラピストだと評価すらできません。つまり、職種の話ではなく、「誰なのか」によります。
その観点から言うと、最強の療育は「セラピストの評価」+「保育士の提供する遊びプログラム」ということになります。
もちろんゆずでは、この視点で、それぞれの専門性を高める取り組みを実践しています(加えてゆずでは、保育士・児童指導員も発達検査が行えるという、全国でも珍しいことをしています)。
②療育事業所さんが「言語聴覚士さんがいるので、言葉を引き出せますよ」と言っているのでそう思っていた
このように言う療育事業所さんもあると思いますが、その理由(意図)について、いくつかご紹介しましょう。
・事業所さん自体が「言葉は言語聴覚士が引き出せる」と誤解している。
・言語聴覚士さんが評価をして、躓きを見つけてくれても、保育士さんが効果的な遊びプログラムを構築できない(何をすればいいか分からないし、事業所としても教える人がいない)。
・「言語聴覚士さんが言葉を引き出してくれる」と思っている保護者の方が多いので、言語聴覚士さんを売りにしている(とりあえず誰でもいいので、利用してくれたらいい)。
ざっと分けて、この3つになるかなと思います。
事業所さんが「うちは言語聴覚士さんがいるので、言葉を引き出せますよ」といようなことを伝えていると、保護者の方は「やっぱりそうなんだ」と思うでしょう。
それが、「言語聴覚士さんは、そちらにいますか?」ということが気になる原因になり、それが「はい!うちは言語聴覚士さんがいますよ!」というアピールになり、といった感じで繰り返されます。
さて、ここまで見てきて「言語聴覚士が担当したから、言葉が出るのではない」ということがお分かりいただけたと思います。
いや、それでも「違うと思う」という方もおられるかもしれませんね。
でも、捉え方は自由でいいと思います。むしろここまで読んでいただいてありがとうございます。
動画でむぎちょこが話しているように、言葉の育ちには、リズムとイントネーションが大切です。
ここで躓いていると、言葉はなかなか出てきません。
動画を復習に役立ててくださいね。
また、一般論として、言葉が出てくるために大事なことは、次の3つです。
- 知っている言葉が増えてきている
- 伝えたい気持ちが育ってきている
- お子さんが今できる方法で伝えている(「伝わった!」という達成感)
お子さんが、この3つをクリアしているかどうかを見てください。
もし、クリアしてないなら、まだ出る準備が整っていないですので、「言葉を引き出すトレーニング」をしても意味がありません。
①〜③を整えて上げることから始めるようにしてください。
そして、我が子の言葉の躓きがどこにあるのかを評価してもらってください。
上記の3つをしっかりとクリアできるように、遊びを通して上手く関わってあげましょう。もちろん療育でも、こういった視点を持って関わってもらいましょう。
そして、「楽しみながら、伸ばす」という視点を忘れないようにしましょう。
療育なんて、歯を食いしばって、努力して、涙をこらえて、乗り越えるようなものではありません。
楽しく遊んでいるのに、伸びた!言葉が出た!
これが一番だと思いませんか?
療育事業所選びのコツにもつながりますが、療育は評価にはじまり、評価に終わるといっても過言ではないです。
これをお読みの保護者の方の中で、評価ができていないのに「言葉を引き出す取り組み」をしている療育を受けている方がおられるなら、その療育は効果がないので辞めた方がいいと思います(預かってもらうことが目的なら、それはそれでいいと思いますが)。
ちなみにゆずでは、初回のご利用から数回かけて、言葉に限らず運動面・認知面・記銘力など6項目の発達検査を実施していますので、その結果を見れば、どこで躓いているかが分かります。
上でも書いたようにゆずでは、保育士・児童指導員もセラピスト同様、発達検査が実施できるスキルを学び、日々研鑽していますので、発達検査結果は保育士・セラピストで違うことはありません(検査チャートに則って検査しますので)。
誰が担当になっても評価結果から導きだされた「今のお子さんに合った遊びプログラム」を実施しますので、安心してください(もちろん「楽しんでいるのに、伸びる」という内容になっています。トレーニングといった、意味のないことはやりません)。
現在の日本の療育は、定義もないし、プログラムに根拠がなくても特に問題とはならない、というのが現状です。
そのため、専門性のない人を集めて、研修等も行っていないところも沢山あります。
このブログを読んでおられる方は、「我が子に合った良い療育を選びたい」というスマートな方々ばかりだと思いますので、ぜひそういったイミフな療育(意味不明な療育)の餌食にならないようにご留意いただければと思います。
幼児期は、人生の幹を作る大切な時期です。
だから、児童発達支援事業所は慎重に、そして賢く探すようにしてくださいね。