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【療育のイロハ】自閉症スペクトラムの診断がつくメリットとデメリット【Voicy深堀り】

今回は、ゆずのおっちゃんと言語聴覚士むぎちょこが配信しているラジオ番組、Voicyの放送から少し深堀りします。

放送テーマは「自閉症スペクトラムの診断がつくメリットとデメリット」です。

ちなみに下記引用は「stand.fm」の放送ですが、Voicyと同じ内容です。

Voicyアプリで聴く方はこちら

自閉スペクトラム症という診断がつくデメリット

まずは「診断がつくデメリット」からお話ししたいと思います。

保護者の方の心の準備が出来ていないのに、いきなり診断告知されると「なんとか正常にするために躾けを厳しくしないと!」や「トレーニングに通わせて遅れを取り戻さないと!」といった、間違った方針に至るリスクがあります。


ネットなどで書かれている「自閉症は治ります!」といった誇大広告を信じてしまい、そこに時間とお金を費やしてしまうことになってしまうことにもつながりかねません。

そして、例えばお子さんに良い変化が見られたとき、「やっぱりこうやってトレーニングをさせたから、効果があったんだ!」と盲信してしまい、「じゃあ、もっとトレーニングをさせれば、もっと良くなるのでは?」とさらに時間とお金を注ぎ込んでいくことになります。


それは同時に、子どもが疲弊していくことにもつながります。

また、療育ショッピングにもつながるリスクがあります。

【療育ショッピングとは?】

療育をたくさん受ければ受けるほど発達は促されると信じて、あちこちの療育事業所を利用すること。にしむらたけしの造語。

世の中には、カモろうとするトラップが、社会のいたるところに仕掛けられています。


「ダイエット商品とかなら分かるけど、子どもの発達に関してトラップなんてある?」


もちろんあります。


「療育って、福祉サービスでしょ?トラップってあるはずないのでは?」

あなたが知らないだけで、普通にあります。


だからこそ、保護者の方は真贋を見極める目が必要になるのですが、真贋を見極めるためには、心が「冷静でいること」がポイントになります。


ですが、青天の霹靂のごとく、いきなり自閉スペクトラム症ですと告知されると、冷静な気持ちでいることは難しいでしょう。


冷静であれば「これは明らかにおかしい」と思えることでも、「自閉症は治ります!」という文言にすがりたくなるのは、親心としておかしな話ではありません。

沼に入ってしまうと抜け出せなくなるので、本来は誰かが「そこから先は沼ですよ」と声を掛けてあげるべきなのでしょうけれど、残念ながらそのような人や機関はありません(選択の自由という観点で)。


このように、診断がつくデメリットとしては、心の準備ができていない保護者の方にとっては、子どもの将来を憂うがあまりに、間違った方向(正常化を求める)に行ってしまう危険性があります。

自閉スペクトラム症という診断がつくメリット

では次に、メリットについてご紹介しましょう。


診断がついた保護者の方からよく伺うのは「自分の育て方の問題なのかと思っていたが、そうじゃないことが分かって、気持ちが整理できた」「理解できなかった子どもの行動が、特性に由来することが分かって、すっきりした」などです。

これは、いわゆるモヤモヤしていたことがクリアになり、次のステップに進む心の準備ができた、ということなのかもしれません。

保護者の方が悶々と悩んでいる状況では次に進むことができず、思考がぐるぐるして、気付けば同じところで足踏みしてしまっているかもしれません。


でも、診断がつくことで、自分の気持ちが整理され、「ここ(今いるところ)」から「向こう(目指すべき場所)」に行こうという気持ちが湧いてくることにもつながると言えます。


診断がつくということは「次の手立て」を紹介してもらえることでもあり、「今何をするべきか」「どこを目指すべきか」について、専門家の方々の意見を参考に構築していくことができる環境が整った瞬間でもあります。

発達や子育ての専門家が、仲間になってくれる瞬間でもあるのです。

「相談できる場所がある、悩みを聞いてくれる人がいる」が子育ての不安を軽減する

「相談できる場所がある、悩みを聞いてくれる人がいる」というのは、子育てにおいてはとても重要なポイントになります。

もちろん発達特性のある・なしに関係なく、子育てしている人に共通することだと思います。


子育ては、(特に第一子であればなおさら)保護者もはじめてのことが多く、都度悩みながら決定し、修正し、また決定していくことの連続です。

ましてや、我が子に特性があるなら、さらに悩みは深くなることでしょう。


その重みを保護者の方だけで抱えこむことはありません。

色々な専門家がいるので、その人たちの知恵を借りればいいのです。

そして、専門家は基本的に「相談した人の味方」です。


中には「これで本当に専門家?」という人もいるかもしれませんし、「上から目線で単に偉そうに言うだけ」の人もいるかもしれません。

ですが、そんな人は一握りですし、もしそんな専門家に巡り合ってしまったら、他に信頼できる専門家を探せばいいだけです。


私は発達の専門家とは、「伴走できる人」だと思っています。

伴走なので、「答えを用意しているわけではない」のです。

いくら専門家でも、答えがはじめから分かることなんてありません。

一緒に悩みながら答えを探し、保護者の方の応援者として一緒にトライアンドエラーを繰り返し、少しでも良い方向(暮らしやすい方向)を見つけていくことができる人こそ「専門家」だと思っています。


その観点から見ると、保護者の方が信頼して相談できる人を持っておくことができるかどうかは、子育てが少しでも楽しくなるかどうかに直結することだと思います。

診断がつくことで、相談できる場所や人は、ぐっと増えます。

大事なのは、「診断がつく・つかない」ではない。

ここまで診断がつくメリット・デメリットについてご紹介してきましたが、最後に最も重要なことを書きます。


それは、「診断がつく・つかない」はさほど重要なことではない、ということです。


じゃあ、何が大切?


それは「今のお子さんの状況を知り、少しでも快適な生活につなげていくための手立てを構築していく」ことです。

困りごとが解決すれば、それでOKですよね。


自閉スペクトラム症という診断がつく・つかないでお子さん自身は変わりますか?

何も変わりません。


自閉スペクトラム症という診断がついたことで、お子さんやご家族の「困りごと」は消えてなくなりますか?

なくなりません。


そうなんです。

困りごとをなくしていくことこそ、診断がつく・つかない、よりも大事なことなのです。


つまり、診断がついていなくても、お子さんの困りごとが軽減し、毎日が少しでも楽しくなるなら、診断名はどっちでもいいです。

そのため、「まだ診断がつくことに躊躇するなあ」と思っている方は、無理に診断をつけてもらいに行く必要はありません。


それよりも相談できる場所を持つ、療育を利用してみる、などで、まずはお子さんとご家族の困りごとを減らすことを目標にしてみましょう。


もちろん、療育にも色々ありますので、安易に選ぶのではなく、納得できる(信頼できる)療育先を探すようにしましょう。

補足

ただし、療育を受けるにあたって、「医師の診断がついていること」を条件にしている自治体もあります。本来、療育を受けるための受給者証の発行について診断の有無は必須ではないのですが、この判断は自治体によります。医師の診断が必須の自治体にお住まいの方は、残念ながら診断をつけてもらうしかないです。