良くいただくご質問「集団と個別どっちが大事?」
療育において、保護者の方からご相談を受けること。
それが、集団療育と個別療育、どっちがいいの?
集団療育とは、複数の子ども(例えば5人とか10人)の中で、プログラムを受けることです。
個別療育とは、マンツーマンで大人と行うプログラムです。
どっちがいいのか。最初に結論を書いておきます。
「子どもの状況による」
当たり前といえば、当たり前の話ですよね。
子どもによる、というのは、お子さんのキャラクターとかそういうのではありません。
「今、どんな課題で、今最優先するべきことはなにか」によって違うということです。
そのお話を進める前に、集団と個別のメリット・デメリットについて整理しておきましょう。
集団療育
メリット
・他の子どもたちの真似をすることで、覚えていくことが多くあります。
・集団の中で自分を主張するなど、お友達との関係性や対人スキルを学べます。
デメリット
・対人面(特に子ども同士)のやり取りに苦手さがあったり、過敏なお子さんの場合、刺激が強すぎます。
・集団の中で、ストレスを感じたり、不安を感じたりすることで、より対人面の苦手さが表に出てしまうことがあります。
個別療育
メリット
・お子さんの課題に合ったプログラムを選択、実践することができ、苦手の底上げや得意な部分を伸ばす取り組みが行いやすいです。
・お子さんの成長、発達に合わせてプログラムを柔軟に変更することができます。
デメリット
・「対子ども」の関わりについての練習ができません。
・お友達の「真似をして覚える」機会が持てません。
「メリットを優先させるのか、デメリットを避けるのか」で選ぼう
上記のように、個別と集団では、それぞれ特徴があり、どちらがいいとは言い切れません。
ただし、選ぶときのポイントはあります。
それは、メリットを優先させるのか、デメリットを避けるのかを考えることです。
例えば、「お友達からの刺激をたくさん受けるメリット」を優先させるなら、集団療育を選びます。
反対に、「集団の中だと不安が強くなりそう」というデメリットを避けたいなら、集団療育はやめておきます。
こんなふうに、今お子さんにとって、メリットを優先させるのか、デメリットを避けることを考えるのか、で選べば間違いないでしょう。
もちろん、そうやって選んでも、保護者の方の想いと違うことも多々あるでしょう。
そんな時は、もう一度原点に立ち返って、選び直せばいいだけなので、重大決心をして選ぶ必要はありません(笑)。
もう一つの視点、小集団
そして忘れてはいけないのが、個別と集団をつなぐ、「小集団」という考え方です。
小集団は、概ね2〜3人の子どもと大人で構成します。
個別のメリットを継承しつつ、集団の機会を持つことができるため、両者のメリットを享受できるというメリットがあります。
また、大集団と違って、子どもが多くて不安になる、というリスクもあまりなく、子ども自身が受け入れやすいといえるでしょう。
個別療育を行う中で、対子どもへの関わりが必要になってきたら、平行して小集団への関わりを持つ機会を増やすのがよいでしょう。
個別→小集団→大集団へと進展させる
上でも書いたように、個別でのメリットは、「分かってくれる大人」が対応するため、子どもにとって安心できる環境である、ということです。
しかし、それだけでは対人面は発展しません。
そのため、個別で学んだスキルを持って、「対子ども」への対応を学んでいく必要があります。
これが、小集団への取り組みをはじめるきっかけになります。
やがて、小集団の中で学んだ、対子どものやり取りを、もっと多くの子どもの中で、自分を表現していくのが、大集団です。
このように、個別→小集団→大集団へと、少しづつステップアップすることで、子どもの社会性を上げていくことができます。
もちろん、初めから小集団(あるいは大集団)に参加できるお子さんもいます。
その場合は、そうすればいいのです。
しかし、多くのお子さんは、敏感で繊細、そしてやり取りに苦手さがあります。
こういったお子さんの場合、自己有能感(自分はできるんだという感覚)を満たしてあげることが何より重要です。
それを行わずに、いきなり集団生活に入れるのは、人への拒否につながってしまうので、注意が必要です。
個別療育には「適切な評価」が必須
さて、ゆずも得意としている個別療育を受ける際に、気をつけておくべきことがあります。
それは、お子さんの課題、目標設定、プログラムを正しく判断、選択するために、「適切な評価」を受けることです。
個別療育は、「集団の中で行っているプログラムを個別で行うこと」ではありません。
「お子さんの特性に合わせたプログラムを実施する」からこそ、個別療育の意味があります。
分かりやすく言うと、「椅子に子どもを合わせるのか。子どもにあった椅子を作るのか」の違いと同じです。
体に合っていない椅子に座らせたところで、安定した座り方にはなりませんよね。逆に子どもの体に合った椅子を作れば、体にピッタリの椅子になりますよね。それと同じです。
お子さんの課題が底上げされ、お子さんの得意なところがもっと伸びるための「その子に合った」取り組みを行うことにこそ、個別療育の意味があるのです。
そのための大前提として、適切な評価がなされることが必要なのです。
そして、その評価結果やこれから取り組むべきポイントについて、きちんと説明を受けることです。
その説明がないまま、個別療育を受けたところで、何の意味も持ちません。
療育に費やした時間が有益なものにならなければ、療育を受ける意味はありません。
幼児期は、子どもの人生の基礎となる大切な時期です。
そして、幼児期の小さな違いは、大きくなった時に、大きな違いに変わります。
だからこそ、評価内容についてきちんと説明を受け、保護者の方もしっかりと学び、日々の生活に活かしていくことが大切です。
まずは、我が子の特性を理解しよう!
保護者の方が、療育において最もするべきことは、我が子の特性を理解し、社会生活の中で子どもが生きていくためのスキルをつけてあげることです。
そのことを前提とした上で、個別療育が必要なのか、小集団がいいのか、大集団がいいのかを選ぶようにしましょう。
なお、ゆずでは、適切な評価と個々に合わせたスキルアップを目指す取り組みを行なうことを大切にしていますので、個別療育と小集団療育を実施しています。
長年公的療育機関で勤務してきた「ゆずのおっちゃん」こと代表の西村が、お子さんの状況・保護者の方のお悩みを伺った上で、お子さんに最も適した部門(プログラム)をご提案しています。
「個別がいいのか、集団がいいのか、一度ゆずのおっちゃんに相談してみたい!」と思われたら、ご見学フォームから西村までご連絡ください。
あなたと、「療育について」「お子さんの未来について」お話できることを、楽しみにしています。