西村猛の療育

発達支援ゆず代表の西村猛(にしむらたけし)です。
私は、理学療法士として34年間、病院や神戸市総合療育センター、そして起業後の自費発達相談の現場で多くの親子と出会ってきました。
その中で感じてきたことがあります。
それは、療育が「できないことをできるようにする場所」になりすぎているのではないか、ということです。
もちろん、発達を促すことは大切です。
できなかったことができるようになる。
苦手なことが少し楽になる。
それによって子どもの可能性が広がることもあります。
しかし、私たちは「できるようになること」そのものをゴールにはしていません。
なぜなら、本当に大切なのは発達そのものではなく、お子さんとご家族の暮らしだからです。
発達していくことは大切です。
でも、それは目的ではありません。
療育も目的ではありません。
これらはすべて、お子さんとご家族の暮らしを今より少し良くするための手段だと考えています。
子どもを変える前に、子どもを理解したい
私たちは、お子さんのできないことばかりを見るのではなく、「なぜそうなるのか」を大切にしています。
例えば、立ち歩いてしまう子がいます。
その姿だけを見ると、「落ち着きがない」と見えるかもしれません。
でも、その子にとっては、持久力が弱く座り続けることがとても疲れることがあるかもしれません。だから、立ち歩くことで体をリセットしているとしたら、どう感じますか?
もしそうだとすると、そのお子さんが立ち歩くのは、「授業に参加し続けようとしているサイン」かもしれません。
このように、私たちは、その行動を問題として捉える前に、理由を探したいと思っています。
子どもの行動には必ず意味があります。
そして、その意味を理解することから療育は始まると考えています。
療育の担当者は、子どもを変える人ではありません。
子どもが発している言葉にならないメッセージを読み取り、保護者や社会へ伝えていく「通訳者」のような存在でありたいと思っています。
苦手を克服する前に、得意を武器にする
療育というと、苦手なことを練習する場所だと思われがちです。
もちろん、それも大切です。
しかし私たちは、まずその子の得意なことや好きなことに目を向けたいと思っています。
得意なことは、その子が社会の中で生きていくための武器になります。
自分の得意なことを知り、それが認められ、自信につながる。
そうした経験があって初めて、子どもたちは苦手なことにも向き合えるようになるのではないでしょうか。
だから私たちは、「何ができないか」よりも、「何を持っているか」を大切にしています。
療育の時間よりも、暮らしの時間の方が長い
私たちが保護者支援を大切にしている理由の一つに、「時間」があります。
例えば、週に1回、1時間の療育を受けたとします。
1週間は168時間ありますから、療育の時間はそのうちのわずか1時間です。
では、「1時間では足りないから」と週5回通ったらどうでしょうか。
毎日1時間ずつ療育を受けたとしても、1週間でたった5時間です。
残りの163時間は、ご家庭や園、地域での暮らしの時間です。
もちろん療育は大切です。
しかし私は、療育の時間を増やすことよりも、暮らしの中での関わり方の方が大切だと考えています。
ご家庭でどんな言葉をかけるか。
園の先生とどんなことを共有するか。
座りやすい椅子を選ぶこと。
遊び方を少し工夫すること。
そんな暮らしの中の小さな工夫が、お子さんの過ごしやすさや発達につながっていきます。
実際、神戸市総合療育センターで勤務していた頃は、2週間に1回しかお会いできないお子さんもたくさんいました。
それでも変化していく親子を何度も見てきました。
それは療育の時間が長かったからではありません。
保護者の方と一緒に考えながら、暮らしの中で無理なくできる工夫を積み重ねていったからです。
私たちが本当に大事だと思っていることは、「療育の時間」ではなく「療育で得たものを暮らしに汎化させていくこと」です。
だから発達支援ゆずでは、療育の場面だけでなく、ご家庭や園での過ごし方も含めて、一緒に考えていきたいと思っています。
保護者支援を大切にしている理由
私が保護者支援を大切にするようになったのは、起業後に開所した「神戸ことばとからだの発達相談室ゆず」での経験が大きく影響しています。
発達の相談に来られたお母さんは、最初はとても緊張されています。
でも、担当スタッフ(言語聴覚士)と話をしているうちに少しずつ表情が和らぎ、笑顔が見られるようになります。
すると、それまで部屋の隅で静かに遊んでいたお子さんが、急に部屋の中を動き回ったり、楽しそうに遊び始めたりすることがあるのです。
この情景を本当にたくさん見てきました。
私はこれを、担当者によるテクニックだとは思っていません。
お母さんが安心したことを、子どもが感じ取ったのだと思っています。
だから私たちは、子どもだけを見るのではなく、ご家族も一緒にサポートすることが重要だと考えています。
もう一つ、保護者支援を大切にしている理由があります。
それは、お子さんのことを一番理解できる存在になっていただきたいからです。
療育の専門家が関わる時間には限りがあります。
しかし、ご家族はこれから先もずっとお子さんと一緒に暮らしていきます。
だからこそ、
「この子はどんなことが得意なのか」
「どんなことが苦手なのか」
「どんな時に困っているのか」
「どんなサインを出しているのか」
を知っていただくことが大切だと考えています。
私たちは、保護者の方を指導したいのではありません。
保護者の方がわが子を理解し、その子に合った関わり方を見つけられるよう、一緒に考えていきたいのです。
それが結果として、お子さんの安心につながり、ご家族の暮らしをより良いものにしていくと考えています。
私たちが目指していること
私たちは、子どもを変えるために関わるのではありません。
子どもを理解し、お子さんとご家族の暮らしが少しでも良くなることを目指して関わっています。
発達も療育も、そのための大切な手段の一つです。
療育がすべてだとは思っていません。
お子さんとご家族の暮らしを良くする方法は、本来たくさんあります。
私たちは、その選択肢の一つとして療育があると考えています。
だからこそ、療育を受けること自体を目的にはしません。
発達を促すことも目的にはしません。
大切なのは、お子さんとご家族の暮らしが少しでも良くなることです。
もし療育が、そのきっかけになれるのであれば。
もし発達支援ゆずが、そのお手伝いができるのであれば。
私たちは、そのために全力を尽くしたいと思っています。
西村猛 プロフィール

- 発達支援ゆず 代表
- 臨床経験34年の理学療法士
- 元神戸市総合療育センター勤務
- 子どもと姿勢研究所代表
- YouTubeチャンネル「こども発達LABO.」登録者4.4万人/「療育支援者の学校」登録者5,400人/「発達支援ゆず公式チャンネル」登録者3,500人
- Voicyパーソナリティ
- 保育士・幼稚園教諭・学校教員・保護者向け講演で100回以上登壇・延べ受講者5,000人以上
- 多くの自治体や教育委員会から依頼を受け、子どもの発達、療育、子育て支援に関する講演を行う
- 著書や書籍監修複数
- 発達の専門家としてNHKあさイチをはじめ、報道番組他、メディア出演・取材多数

「療育をもっと面白く。」
を体現した結果がこれです(笑)
親子で学べる療育教室 発達支援ゆず