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【療育のイロハ】運動療育の落とし穴。評価や考察のない運動療育は、単なる運動遊び。子どもに合った運動選びが大切です

YouTubeをはじめとするネットで、療育業界NO.1の発信者「ゆずのおっちゃん」こと、ゆずグループ代表の西村猛がお送りする、療育のイロハ。

療育初心者の方が、療育というものをどのように捉え、位置づけるのか、効果的な療育とは、などについて、日本で一番分かりやすく解説しています。

「運動実践=運動療育」とは限らない

さて、今回は、運動療育についてです。

運動発達のプロであるゆずのおっちゃんから見て、運動療育を受けさせている親御さんに伝えたいことは、「運動遊びを行っているからといって、それは運動療育とは限らない」ということです。

もっと分かりやすく言うと、運動療育とは、プログラムの前に、「お子さんの運動発達について正しく評価されていることが大前提である」ということ。

適切に評価ができていないのに、効果をもたらせるプログラムなんて構築できないからです。

 

もちろん、運動するわけですから、体作りには効果的でしょう。例えば、トランポリンを跳ぶと、体幹筋に効果的です。

しかし、本当にそのお子さんは、体幹筋が弱いのでしょうか?

今は、体幹ブームですから、「姿勢が崩れる子や真っ直ぐに座れない子」などに対して、「体幹筋が弱いからです」と言えば、一見正しいように聞こえます。

正しく評価できているかどうか、が重要

ところが、姿勢が崩れたり、真っ直ぐに座れない原因は、体幹筋が原因とは限らず、他にも色々と理由があります。

そこを正しく評価することが、運動療育を行う際の、最初にするべきことなのです。

 

そうやって適切に評価して、「体幹筋が弱い」と結論付けられると、次は「どの運動をすることが、効果的か」と考え、プログラムの立案に入ります。

そして、プログラムを実践し、経過を観察し、再評価を行い、プログラムが正しかったかどうかを考察する、という作業が繰り返されます。

ここまでして、はじめて「運動療育を実践している」と言えます。

 

こういった評価や考察なしに、とにかく色々な運動をさせているだけなら、それはただの運動遊びです。

もちろん運動遊びは、子どもの心身を発達させるために、重要な遊びです。

しかし、発達特性のあるお子さんでは、効果的ではない場合も多々あります。

それどころか、逆効果もあるので、注意が必要です(苦手なことを継続させられる。友達と比べて自分は全然できないと悲観的になる、など)。

効果的な運動療育かどうかの見分け方

では、効果的な運動療育を実践しているかどうかは、どうやって見極めればいいの?ということになりますが、「理学療法士や作業療法士が評価している」「子どもに合わせた運動を選択している」の2点を見ると良いでしょう。

保育士さんや児童指導員さんでも、ベテランになるとある程度判断できる方もおられると思いますが、医学的根拠をベースにしているわけではないので、限界があります。

 

また、子ども(我が子)に合わせた運動を選択しているかどうかについては、「みんな同じプログラムを実施している」かどうかを見れば分かります。

みんなでトランポリンを跳ぶ、みんなでサーキットトレーニングをしている、などの場合は、「プログラムありき」になるため、運動効果は(運動遊びの効果以外は)さほどありません。

 

ただし、「楽しむことができれば、それでいい」「運動遊びの場に参加することが目的」という場合は、純粋に楽しむために参加するといいでしょう。

その場合は、運動発達的な効果は、期待しないようにしましょう。

「楽しい」を優先させるのか、「運動発達を促したい」のかで、選び方は変わってきますので、その点には十分留意して、運動療育選びを行ってください。

 

一番良くないのは、親御さんが、療育先任せになって、「よくわからないけど、療育に通わせているから、それなりに伸びるだろう」と考えてしまうことです。

療育によって、マイナス効果(余計に状況が悪くなる)ことも、多々ありますので、まずは親御さんが、効果的な療育についてしっかり学ぶようにしましょう。

まずは、この記事が含まれている「療育のイロハのシリーズ記事」をよくお読みください(笑)。