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【療育のイロハ】子どもに合った療育プログラムを選ぶのか、療育プログラムに子どもを合わせるのかで将来は変わります

当サイトへ「子どもに合った療育」という検索ワードでお越しになる方が多くおられます。

そこで、今回は「子どもに合った療育とは何なのか?」ということについて、「療育に子どもを合わせる」というプログラムと比較して考えていきます。

療育プログラムには「子どもに合ったプログラムを選択する」と「療育プログラムに子どもを合わせる」がある

子どもに合ったプログラムとは、「子どもを評価し、その子に必要な課題設定やプログラムを実施する」ということです。

一方で、療育プログラムに子どもを合わせるというのは、「まずプログラムがあって、それにみんなが合わせる(全員で同じことをする)」ということです。

 

どちらがいいのか気になると思いますので、結論からいいます。

「子どもに合った療育」です。

 

例えば、私は理学療法士として、公的療育機関で子どもの理学療法を担当してきましたが、「理学療法プログラムに子どもを合わせる」なんてあり得ない話ですし、理学療法士1年目の新人であってもそんなナンセンスなことはしません。

そんなことをしていて理学療法効果が出るわけありません。

おそらく全国どこの療育機関であっても「理学療法プログラムに子どもを合わせる」というようなことを実践しているところはありません。

療育プログラムに子どもを合わせるというのは、メリットは存在せず、実に多くのデメリットがあるのです。

「療育プログラムに子どもを合わせる」をオススメしない3つの理由

物事には必ず、メリットとデメリットがあります。

例えば、進路を考える時。

普通級がいいのか、特別支援学級がいいのか、あるいは特別支援学校がいいのかで悩まれる保護者の方は多くおられます。

これらの進路先は、それぞれにメリット・デメリットがあるため、私は保護者の方に進路についてのお話しをするときは、「それぞれのメリット・デメリットを列挙し、メリットを優先させるのかデメリットを避けるのかを判断基準にすると分かりやすいですよ」ということをお伝えします。

 

しかし、「療育プログラムに子どもを合わせる」ことについては、メリットはありません。

その理由は3つあります。

1.個人の時代になり、個人が尊重されるべき時代になったから

「みんな一緒がいい」という時代ではなく、「一人ひとりが輝ける時代」へと変わろうとしています。

そんな風に時代が変わっていっているのに、みんなで同じことをすることに意味があるでしょうか?

一人ひとりが輝けるということは、その前に一人ひとりの特性や特徴が認められるということが必要です。

「みんな違って、みんないい」と言いながら、「みんなと同じことができることが一番いい」というのは矛盾があると思いませんか?

2.「療育に子どもを合わせる」プログラムだと、子どもの評価が行われないリスクがあるから

プログラムありきなので、その子ども(例えばAくん)に合っている、合っていないに関係なく、ただプログラムを実施すればいいため、あえてAくんの評価や課題設定をする必要がありません。

これについては、以前出した動画「【療育支援者向け】理学療法士が教える、運動療育を実践する時の注意点!」をご覧ください(運動療育をする時に、子どもの評価を行わず、単にサーキットトレーニングをしているだけでは、何の意味もないですよということをお話ししています)。

3.保護者の方が我が子の状況や課題、サポートの仕方について学ぶことができないから

とりあえず療育を受けているから安心、というのは今だけのことを考えているなら、それでもいいと思います。

しかし本当に、「とりあえず療育」を受けているだけでいいのでしょうか?

幼児期は、将来の方向性を決める大切な時期です。

今だからこそ、できることがあるのではないでしょうか?

例えば、保護者の方が(子どもが幼児のうちに)しっかりと我が子の特徴を理解し、手立てや工夫について学び、我が子が社会の中で生きていくためにどのようなサポートをして上げればいいのか、といったことを学ぶことができれば、進学後あるいはもっと大きくなった時に問題が起こっても、広い視野に立って対処していけるでしょう。

しかし、「とりあえず療育」を受けて来ただけだと、問題に対してどう対応していいか分からず、手立てができない、あるいは遅れてしまうということになりかねません。

その時に、然るべき人に聞けばいい、と思われるかもしれませんが、お子さんが大きくなるにつれて、行政サービスや専門家の関わりは幼児期ほどの手厚さはありません。

例えば神戸市の療育機関では、大きくなればなるほど、受けられるサービスは低下します。外来セラピーも月2回が月1回に減るなど、実質のサービス低下があります。

また小学校での困りごとが出てきた場合でも、療育機関が動いてくれることはありません(相談には乗ってくれますけれどね)。

 

だからこそ、幼児期の間に、保護者の方が我が子の特性や手立ての工夫の仕方、サポート方法、他の人に我が子の特性をうまく伝え、味方を増やすためのテクニックを学んでおくことが大切です。

 

以上の3つの理由から分かるように、「療育プログラムに子どもを合わせる」ことはデメリットばかりなので、オススメしません。

間違っても、みんなと同じことをできるのが一番、という発想にならないように気をつけましょう。

発達特性のあるお子さんは、隠れた才能をどう発掘してあげるか、ということが大命題になります。

その能力をうまく引き出してあげることができれば、それを仕事にしていくことだってできます。

こだわりの強い子は研究者になるかもしれないし。いつも動き回っている子は、ダンサーとして大成するかもしれません。

さかなクンがいい例です。

魚に異常に執着していた我が子を否定することなく、毎日のように魚を買ってきて研究させたさかなクンのお母さんを見習って、保護者の方も私達も「得意を見つけ、それを引き出す」幼児期を過ごさせてあげましょう。

MEMO
「みんなと同じことをする」は、集団生活は意味がないと言っているのではありません。あくまでも療育プログラムの話です。実生活場面では、ある程度の集団生活スキルも必要です。その場合は子どもの課題に合わせて、集団スキルアップの取り組みを行えばいいのです。

「我が子の人生をサポートをするために学びたい」という保護者の方を、全力でサポートします

ゆずでは一貫して「これから療育について学びたい」という保護者の方を応援してきました。

また、ゆずに来られる保護者の方の多くが、「子どもが楽しく過ごせるための方法を自分も学びたい」「少しでも我が子のことを理解してあげたい」ということをおっしゃいます。

このように保護者の方自身が、「自分も学びたい」と考えておられる方がとても多いのです。

もちろんスタッフも、その期待にお応えできるよう、身を引き締めながら毎回レッスンを担当しています。

 

お子さんを中心に「保護者の方」「ゆず」「関係機関の方」がタッグを組んで、「ともに悩み、ともに考え、ともに学び、そしてお子さんの成長を発見し、ともに喜ぶ」。

こういった小さな積み重ねを続けていけば、保護者の方が「子育てって楽しい」と感じられるようになり、子育てを楽しんでいる様子を見たお子さんは、「生きるって楽しい」と自然に思えるようになっていくはずです。

これが、療育です。

療育の最終目標は、子どものスキルアップではなく、親子ともに毎日が幸せに感じられることです。

 

だから、その大前提として、「子どもを正しく評価すること」「子どもの課題に合わせたプログラムを考えること」が大切になるのです。

これからもゆずは、子どもを正しく評価すること、保護者の方への說明を丁寧に行うことを実践していきます。

 

私達は「我が子のサポーターとして頑張る、保護者の方のサポーターでありたい」と考えています。

そして、療育について悩んでいること、悲しいと思ったこと、一緒に喜んでほしいこと、何でもお話しに来てください。