発達障害のお子さんの療育の中で行われる「運動療育」。
体作りに欠かせない療育プログラムなのですが、実践の場面では注意が必要です。
それは、サーキットトレーニングのように、みんなで同じ課題を行うようなものだと、あまり効果的ではないということです。
なぜなら、個々に運動発達状況や身体面の課題が違うので、一人ひとりに合わせたプログラムが実施されるべきだからです。
例えば、一般的な学習塾を想像してみてください。
いわゆる個別塾や家庭教師であれば「国語とか算数とか、とりあえずドリルをやっておけばいいんですよ!」なんてことにはならないですよね。
その子のテスト結果から、「国語では読み取りが弱いですので、そこを強化しましょう」とか「算数ではケアレスミスが多いですね。そこの底上げをする取り組みを行なっていきます」など、子どもの課題に応じた取り組みをしてくれるはずです。
また、発達障害のあるお子さんの場合、「字がマス目の中に上手く収められない」「字のバランスが悪い」といった課題が良くあります。
こういった場合、ひたすら字を書く練習をさせるのが効果的なのか、というとそうではありません。
バランスよく書けない理由として、「目のコントロール力の弱さ」や「空間認知力の弱さ」に原因があることが多く、練習としては「目のコントロール」や「認知力の向上」を学ばせることが大切になります。
このように、正しく原因を評価し、それに合ったプログラムを実施しないかぎり、いつまでも問題は解決しません。
運動療育もそれと同じです。
個々の課題に向けた取り組みを実践することが何より大切です。
「とりあえず走っておけばいい」とか「なんでもいいから体を動かしておけばいい」というような方針にならないようにしましょう!
そして、個々の課題に合った実践を行うことは、支援者にとって(保護者の方にとってもですが)もうひとつメリットがあります。
それは、「その子の課題に合ったプログラムを実践することで、子どもの変化が見える→支援者の仕事のやりがいや喜びにつながる」ということになるのです。
余談ですが、療育現場で「やりがいが見つけられない」という支援者の方も多いと言われます。
その理由の一つに、「『自分が関わることで、子どもや保護者の方が変化している』という実感を持てない」ことが挙げられます。
子どもや状況が好転していることを実感することができれば、仕事のやりがいは何倍にも増えることでしょう。
そういった意味でも「正しい評価」「個々に合わせた取り組み」を実践することは大切なことです。
やりがいを持って仕事をしたい、と思っている支援者の方は、ぜひ参考にしてみてください。