ゆず代表の西村です。
6月14日を持ちまして、スタッフの石橋先生が退任いたしましたのでご報告いたします。
石橋先生は、ゆず開設時からのメンバーの一人で、これまでゆずと一緒に歩んで来てくれました。
そして、穏やかなそのキャラクターは、子どもたちに安心感を与えてくれました。
また、TEACCHプログラムにも造詣が深く、TEACCHの考えを取り入れた療育プログラムを実践してくれました。
あるお子さんは、週に3回の石橋先生との関わりの中で、ぐんぐん成長してくれました。
ご来所当時は、言葉もほとんど出ておらず、気恥ずかしさからお母さんのそばからなかなか離れようとしないお子さんでした。
敏感なお子さんに対して、まずするべきことは、「安心感を持ってもらうこと。そのために心を開きやすい環境設定をしてあげること」です。
そこで、私は穏やかな、そして気持ちがいつも安定している石橋先生に担当をお願いし、「このお子さんは安心した環境を得られると、本来持っている能力を表に出してくると思う。だからできるだけ不安を持つことがないような環境設定と、安定した関わりをしてください」と伝えました。
石橋先生は、「分かりました。そのように取り組みをしていきます」と、私の指示通りにプログラムを実践してくれました。
安定した関わりの中で、そのお子さんは次第に雰囲気に慣れ、プログラムを楽しめるようになってきました。
通い始めて、2~3ヶ月もした頃には、言葉が増えだし、活動も活発になっていきました。
4ヶ月目の現在は、3語文を語り、やり取り遊びを楽しみ、集団生活でも臆することなく自分から遊びを楽しめるようになるなど、ぐんと成長してくれました。
今後は個別療育を行いながらも、集団生活への参加機会を増やし、今以上に社会性を伸ばしていく段階へと進んでいくことになりました。
もちろんこれらの成長は、ゆずでの療育の効果によるものだけだとは思いません。
お子さん自身の自然な発達、保護者の方の日々の取り組みによるところが大きいと言えるでしょう。
しかし私は、石橋先生がゆったりとした穏やかな関わりをしてくれたことも、お子さんが安心して自分を出すことができるようになった1つの要因と考えています。
どんなお子さんであっても、「安定した関わり」「自分を尊重してくれる環境」は療育を行う時の必須条件になります。
それがあるから、子どもはのびのびと発達することができます。
だからゆずでは、スタッフに対して「大人が子どもをコントロールするような取り組み」をすることを許していません。
なぜなら、その時言うことを聞いても、その時できても、積み重なっていかないからです。
「積み重ねができない」取り組みほど、時間がもったいないことはありません。
大人の言うように子どもが動いたからと言って、嬉しいのは大人だけです。
子ども自身が本当に嬉しいと思うことは、きっと「自分らしく生きるチカラを持てるようになること」だと思います。
私達大人は、子どもにそのチカラをどうやってつけてあげるのか、どうやって「生きることが楽しい」と思ってもらえるようになるのか、を考えていくという役割があります。
だから、子どもをコントロールすることを目標にしているなら、将来必ず行き詰まることになります。
こういったゆずの療育に対する考え方が、あながち間違っていないということを、石橋先生の療育実践を見て確信することができました。
今後他のスタッフにも「スタッフは常に気持ち、行動とも安定していること」「お子さんと保護者の方の気持ちを尊重することを忘れないこと」「絶対に子どもをコントロールしようとしないこと」を徹底させていきたいと思います。
石橋先生、色々学ばせてくれてありがとう。
そしてお疲れ様。