発達検査における最大の問題は、結果は説明してもらえるけど「具体的にどうしたらいいか」の手立てを教えてもらえないこと。検査者である心理士さんは、課題だけでなく手立ても分かっておられますが、説明できない仕組みなんですよね。
それなら別途「手立てを説明してくれる場」を作ればどうかと。 https://t.co/VE8U93A4XV— 西村 猛@日本で一番、保育士さんを応援する理学療法士 (@seinosuke2013) April 6, 2019
発達検査って、検査でしかないのか?
発達検査は、子どもの発達状況を見る意味ではとても大切な検査です。
客観的に見てもらうことで、我が子の特性が良く分かりますし、これまで「どうして、こんな行動をするの?」と思っていたことも、「あー、あるほど。こういう特性があったからなんだな」と納得できることも。
だから、発達検査を受けるということは、とても意味があるわけです。
発達検査は主に心理士さんが担当してくれます。
その結果を持って、医師が総合的に結果説明をしてくれます。
でも、その次が問題。
結果の説明を受けて、「以上です」。
ん?
子どもの特性はわかった。
で、何をどうすればいい?
そんなギモンが湧いてくると思いますが、「こうすればいいよ」という具体的なアドバイスはほぼありません。
日常生活の具体的な一つひとつのことまでアドバイスしていたら、診療に差し支えますからね。
発達検査はあくまでも、診断基準の一部でしかない
具体的なアドバイスは、検査をしてくれた心理士さんならできるはずですが、この場合の心理士さんはあくまでも「検査者」。
テスターと言って、淡々と検査をする役割です。
個別療育で担当してくれる心理士さんとは、仕事内容が違うので、逆にアドバイスはしてはいけないのです。
だから、「検査してくれた心理士さんが、何も教えてくれなかった」と言ってはいけません。そういう役割だから、それでいいのです。
発達検査はあくまでも、診断のための検査。
病院で血液検査をするでしょう?
その結果を、検査技師さんは教えてくれないし、ましてや「日常生活で○○に気をつけてください」とは言わないですよね。
それと同じです。
手立てを教えてくれる場も作るべきだよね
発達検査で子どもの特性が分かったり、診断名がついたりした後、さあ、どうやって生活の工夫をしていくのか、を教えてくれる場が必要です。
医師の診察では、それは教えてくれないのは、上述の通り。
では、どうするかというと、現在多くの療育で行われているのが、理学療法や作業療法、言語聴覚療法などのセラピー場面でアドバイスを貰うということ。
セラピストは、専門家なので、色々と具体的なアドバイスを貰えると思いますが、ここでもまた問題が。
理学療法士は理学療法の視点で、作業療法士は作業療法の視点で、それぞれアドバイスをしてくれるのはいいのですが、それを「まとめてくれる人」がいない!まとめて説明してくれる人もいない!
療育事業所に通っているなら、児童発達支援管理責任者(児発管)がそのまとめをしてくれているのでしょうけど、セラピスト出身の児発管と保育出身の児発管では、ベースがそれぞれ違うので、なかなか俯瞰して見る、そして説明することってムズカシイ。
それに加え、児発管の仕事は、多岐にわたるので、俯瞰して説明する仕事まで多分手が回らない。
あと、家での課題・問題に対しては、(実際に訪問してその場を見ていないだけに)なかなか的確なアドバイスが行いにくいということもあります。
俯瞰できる立場の人を置かないと解決しない
仕組み的にも、能力的にも、その子の能力を俯瞰的に捉え、家庭や保育園、幼稚園などでの課題も理解した上で、効果的な手立てを(専門家と協力した上で)提案してくれる立場の人を作れば、こういった問題は解決するかなと思います。
俯瞰して課題を見ることをしないと、「つながり」として子どもの生活を捉えることができないままになってしまいます。
ただし、ゆずでもそうですけど、どこの事業所も人材には困っている(スタッフの数だけではなく、俯瞰的に見ることができるスタッフがいるかどうかも)ので、まだまだ時間がかかりそうな問題です。
今できることは、担当者と保護者の方がじっくり話ができる時間を持つこと
とりあえず、今できることは、保護者の「なぜ?」「どうして?」「どうすれば?」をじっくり聞き、一緒に答えを探すこと。
そのためには、スタッフが保護者の方とじっくり話せる時間が必要です。
ゆずは個別療育専門なので、担当者が子どもとマンツーマンレッスンを行なっている間、他のスタッフが保護者の方の疑問点や悩みを聞く時間を確保しています。
そうやってコミュニケーションを取ることが、「日常の中で、子どもが楽になる手立てを考える」ことになり、その経験を通して、スタッフがものごとを俯瞰して見ることができることにもつながるので、一石二鳥です。
まとめ
・発達検査はあくまでも診断のためのものと割り切れ。
・検査者である心理士さんは、具体的な手立てについては、説明してはいけない仕組みだから、詳細は聞いても教えてくれないのが一般的。
・日々の相談は、個別セラピーを受けているなら、担当セラピストに。
・俯瞰してそして横断的に相談に乗ってもらえる立場の人が必要。だけど今の制度では無理。
・まずは担当者とスタッフがじっくり話しができる時間と機会を作ることから始めよう。