そもそも論。療育って何?
「療育って何?」という疑問は、療育を始めるにあたって、まずはじめに感じる疑問でしょう。
保育に似ているけど、ちょっと違う?療って言う言葉は、療養とか治療とか?
実は、この「療育」という言葉の定義がきちんとなされていない、というのが根本的な問題です。
つまり、人によって捉える意味が違う、ということ。
例えば、「療育=保育」という人もいれば、「療育=セラピー」と捉える人もいます。
そんな中、できるだけ分かりやすく療育って何?についてご説明しましょう。
一言で表現すると、以下のようになります。
「療育=医療+保育」
セラピーは医療
療=医療というところがピンとこない方がおられるかもしれません。
この場合は、肢体不自由のお子さん(体の不自由さのある子ども)で、かつ人工呼吸器などが必要なお子さんだと捉えると分かりやすいですよね。
もちろん、「医療」の部分は命に関係することだけではありません。
理学療法や作業療法、言語聴覚療法、心理療法などセラピー(Therapy)と呼ばれる分野も、医療の要素が多く含まれています。
例えばゆずのおっちゃんの持っている理学療法士免許は、医療の国家資格です。
医療の国家資格=医学をベースとしている、ということです。もちろん、他のセラピー部門のスタッフも同様です。
子どもが育つ基本=保育
そして、療育の育の部分。「はぐくみ」。
保育活動は、子どもを「はぐくむ」という意味では、療育においても基本的な活動ということになります。
子どもは元来、遊びの中で育つもの。
強制させたり、教え込むようなものではなく、大人や周りの子どもの真似をしながら育っていくものです。
そして、興味・関心・好奇心を育てるのも「遊び」なのです。
だから、保育は療育においても、最も重要な位置をしめます。
特に、療育における保育活動は、単に遊ばせるということではなく、「子どもの発達を促す遊び」「子どもの特性を理解した上で提供される遊び」であることが大切です。
そこにこそ、療育における保育の意義があります。
医療と保育が一体となるから意味がある
療育においては、医療(セラピー)と保育が一体となって提供されるのが理想、つまり子どもにとって最良の関わり方であるといえます。
これはどういう意味かというと、保育の中に、セラピストの視点が入っていること、セラピーの中に保育士の視点が入っていること、と換言できます。
つまり、保育は保育として、セラピーはセラピーとして、情報共有もないまま別個のものとして提供されている限り、子どもにとって最良のものとはならない、ということです。
もちろん、「一体となるべき」といっても、何も「無理やりにでも同じ時間と空間を共有しろ」と言っているのではありません。
情報共有がきちんとできていて、目指している方向性が同じであるなら、何も一緒に活動しなくてもいいのです。
要は、セラピーと保育が有機的につながりを持つことが大切だということなのです。
まとめ
・療育は、医療+保育と捉えてください。
・医療の領域は主にセラピー。セラピーには理学療法・作業療法・言語聴覚療法・心理療法などがあります。
・保育は、療育の中でも最も重要な位置をしめます。なぜなら、子どもは遊びの中で育つからです。
・保育とセラピー部門がタッグを組むことで、本当に価値のある療育を提供できることになります。