ホスピタリティの代名詞、ザ・リッツ・カールトン
ホスピタリティと聞くと、多くの方が「ザ・リッツ・カールトンホテル」を思い浮かべるのではないでしょうか。
リッツ・カールトンのいうホスピタリティは、単なるおもてなしではありません。
お客様でさえ気付いていないニーズを探り、提供することです。
そのために大切なことは、「自分のモノサシを捨てる」ことだといいます。
またリッツ・カールトンでは、サービスを提供する側は、お客様の召使いではないと言い切ります。
全スタッフが携帯しているクレドには「紳士淑女をおもてなしする私たちもまた紳士淑女です」と書かれているそうです。
プライドを持って仕事にあたっている様子を上手く表現している言葉だなあと思います。
ちなみにゆずグループにおいては、スタッフに「思い込みを捨てること」「議論は客観的事実を積み重ねて行なうこと」「自分のモノサシではなく、相手のモノサシで考えること」ということを徹底してもらいます。
仕事が上手くいかない理由の一つに、思い込みが原因になっていることがあるからです。
スタッフが伸び伸びと働くスターバックス
さて、リッツ・カールトンと同様にホスピタリティを売りにしているお店がスターバックスです。
リッツ・カールトンもスターバックスも、個々のスタッフに裁量権を与えており、スタッフがマニュアル通りに動くのではなく、自分の思いをプラスして仕事をします。
ゆずのおっちゃんはスターバックスで飲み物を買うことはないのですが、時々豆を買います。フレンチローストを良く買うのですが、店員さんが色々話しかけてくれます。
「濃いコーヒーがお好きなんですね。」
とても自然で、馴れ馴れしすぎない距離で、にこやかに話しかけてくれます。
本当なら、「いやあ、濃いコーヒーが好きというより、濃いコーヒーにクリープをめっちゃ入れて飲むんですよ。クリープが好きなんですよ。もうね、コーヒー好きというより、クリープ好きなんですよ」というところですが、店員さんのように上品に話そうと思い、こう答えます。
「ええ、濃いコーヒーにミルクをたっぷり入れて飲むのが好きなんですよ」
普段ミルクなんて上品な言い方しないのに、スターバックスでは言ってしまうのです。
「あー、そうなんですか。ところで、ブラジル豆の新製品が出るのですが、良かったらサンプルをお持ち帰りになりませんか?フレンチローストほど濃くはないですけれどね^^」
「ああ、ブラジルは好きですよ。ではいただけますか?」(これも上品ぶった言い方になっています)
「少々お待ちくださいね。」
そういって店員さんは、一杯分の豆を袋に入れてくれました。
良く考えてみたら、コーヒー豆を買って、ついでにおまけを付けてもらって、代金を支払って、お店を出る。
これだけのことなのに、なぜか気分がいいのです。
人はホスピタリティに触れると、元気が出たり、気分が爽快になったりとポジティブになれるのかもしれません。
さて、療育の世界にホスピタリティはあるのか?
では、療育の世界にホスピタリティはあるのでしょうか。
保護者の方でさえ気付いていない、真のニーズを探り、保護者が自然に気付きをもってもらえるような支援を行なえているでしょうか。
また、療育を受けた子どもと保護者が、元気になったり、子育ての楽しさを感じてくれたり、前向きに物事を捉えるようになってもらうためのお手伝いができているでしょうか。
専門家が自分の技術を提供して、「支援した」という自己満足に陥っていないでしょうか。
専門家は、自分のモノサシで対象者を見ていないでしょうか。
今まで、療育の世界にホスピタリティが必要だと言われたことなどなかったと思います。
「そんなものは、サービス業の世界で通用する話だ」と思っている方が、大半(というよりほとんど)だと思います。
私はそうは思いません。
世の中の仕事はすべて「誰かの困りごとを解決するために」、そして「より良い生活になるために」存在すると思っています。
そう考えると、(モノを介しているか、いないかの違いはありますが)どんな仕事もサービス業だと言えるのではないでしょうか。
そして療育の世界も、子育て支援というサービス業の一部であるべきだと思います。
つまり、障害があったとしても、保護者の方に「子育てって楽しい」と感じてもらうこと。
あるいは子ども自身が、「生きるって楽しい」と思ってもらえることが目的です。
そしてそのために「保護者や子どもが困っていることの解決方法や支援方法を考えること」こそ、療育の根幹をなすものだと思っています。
「子どもが発達することも子育ての楽しさにつながるじゃないか。だから子どもの能力を伸ばしてあげることは大切なことだ」という主張もあるでしょう。
もちろんそれも正解です。でもそれがすべてではありません。
あくまでも「子育って楽しい」、「生きるって楽しい」と思ってもらえるための一つの手段にすぎません。
発達を促すことばかりに力を注いでいたら、「視野の狭い療育」になってしまうのではないでしょうか。
「療育にイノベーションを!」
リッツ・カールトンやスターバックスの取り組みを書いた本は沢山あります。
療育のあり方に悩んでいる方がおられたら、一冊でもこれらの本を読んでみることをおすすめします。
きっと気付きを得られると思います。
療育のことを書いた本よりも、ずっと参考になるはずです。
療育に関係する本だけを読んでいても、視野は広がりません。
広い視野にたって、療育を考えること。
ゆずのおっちゃんは、それこそが療育イノベーションにつながる一番の近道だと信じています。
今後も、一歩ずつ療育イノベーションの実現に向け、発信し、仲間を集め、ディスカッションし、小さなうねりを起こしていきたいです。
やがて、大きなうねりに変わっていくことを願って。
「ゆずにおっちゃんに賛同するよ!」という熱い想いを持った方は、どうぞゆずのおっちゃんに声をかけてください。