療育事業所のスタッフ様向けの動画チャンネル「療育支援者の学校」で、「保護者から信頼を得られる個別支援計画書を作るコツ〜5つのポイント〜」という動画を公開しました。
タイトルからも分かるように、療育支援者向けの動画ではあるのですが、実は保護者の方にとって「我が子を任せてよいかどうかを知ることができる」ヒントのある動画となっていますので、こちらで簡単にその理由などをご紹介します。
「療育を受けるなら、我が子に合った、そして我が子を伸ばしてくれる療育事業所にかかりたい」と思っておられる保護者の方は、下記読み進めてください。
「親子同室(同席)タイプ」か「預かりタイプ」かで、見るポイントが違ってくる
良い療育事業所かどうかは、保護者の方がその事業所の方針や対応、スタッフのスキルなどを見ることで自ずと見えてきます。
まずその前に確認しておくべきことがあります。それは「親子同室の療育」と「預かり型の療育」では見る内容が違ってくるということです。
親子同室の場合
公的療育センターの個別セラピーや、発達支援ゆずはこのタイプです。
保護者の方がお子さんと同じ部屋にいるので、スタッフがどのような評価をし、どのように声掛けをしているかを随時確認することができます。また、担当者が保護者の方とお話をしながら療育を進めることができるため、自ずとその事業所の考え方や方針等が分かります。
また、日々の療育の中で疑問があった際には、すぐに聞けるというのも、親子同室療育ならではの良さです。
こういったことから、親子同室タイプの療育事業所の場合、預かり型の療育事業所よりも、事業所の質を見抜きやすいと言えます。
預かり型の場合
園バスで通う幼稚園のように、保護者の方は同行することなく、半日や1日を通して、お子さんを預かってもらい、その中で療育を行うタイプの事業所です。
多くの事業所がこの方法をとっています。
保護者の方が通所に時間を割かれることがないため、預かってもらえることでお母さんやお父さんの時間が確保できるというメリットがありますが、療育内容(方針)が見えにくい、というデメリットもあります。
そのため、親子同室タイプと違い、療育事業所の質を確認する機会はあまりありません。
「個別支援計画書」をしっかり読めば、事業所の質は見抜ける
療育事業所の質が高いところに我が子を通わせたいと思うのは、親として当然のことです。
少なくともこの記事をお読み頂いている方の中に「近かったらそれでいい。質とか気にしない」という方はおられないでしょう。
ですが、預かり型の療育事業所を利用されている場合、普段の様子が分からないので、「どんな目的で療育プログラムが組まれているのか」「我が子は楽しめているのか」など、心配は尽きないでしょう。
実際に、療育支援者向けのコンサルタントを行っていると、色々な事業所のスタッフの方からご相談をいただきます。
その中には、「スタッフが子どもを怒鳴り散らしている」「泣いている子をスタッフが無視している」「お尻をバンバン叩いている」など、それは本当ですか?というようなご相談がたくさんあります。
子どもへの躾が厳しく、合理的配慮が実践できない療育事業所に勤めています。どうすればいい?【質問回答】
こういった不安を払拭するため、保護者の方ができる最も適切な方法があります。
それは、通所すぐに、また半年ごとに配布される「個別支援計画書」をじっくりと読むことです。
その中に書かれている内容をしっかり読めば、ある程度その事業所の質が見えてきます。
個別支援計画書は、スタッフまたは児童発達支援管理責任者(児発管)が作成し、児発管が説明してくれる、お子さんの評価内容や課題、今後の目標、効果的なプログラムなどが記載された書式です。
全国で統一された書式があるわけではないので、形式はその事業所によって違います。
また記載内容も、事業所独自で決められています。
見るべきポイントは、以下の通りです。
- お子さんの療育での評価内容について記載されているか
- 課題が分かりやすく整理されているか
- 課題に合ったプログラムが記載されているか
- 短期目標と長期目標が記載されているか
また、それぞれの内容が抽象的ではなく、具体的に書かれているかどうかも見ておく必要があります。
抽象的とは、「楽しく過ごす」「順番が守れるようになる」など、一見目標設定されているように見えて誰にでも言えること、などを指します。
具体的な記載とは、「一つの遊びにこだわりすぎる場合は、○○さんの好きな遊びを声掛けと同時に、視覚的に提示することで、他の遊びの気付きにつなげる」「○○ちゃんの背中を見ておこうね、など△△さんが分かりやすい声掛けをすることで、順番が守れるようにする」など、文章を読んだ人が、具体的にイメージできる形のものを指します。
こういった書き方を、運動面・言語面・認知面・感覚面などの各項目でまとめられているかどうかをチェックしてみてください。
また、配布時に受ける説明が、同様に具体的な説明になっているかどうか、も見極めるポイントになります。
説明なしに、渡される(さすがにそんなことはないと思いますが)ようであれば、記載内容も深く考察したものではない確率が高いといえるでしょう。
預かり型の療育に通っている場合、個別支援計画書の説明を受ける時がお子さんに合った療育かどうかを見極める機会となりますので、ぜひ個別支援計画書の内容をしっかりと聞き取ると同時に、じっくりと読む(読み取る)ようにしましょう。
複数の療育事業所を受けられている場合は、内容を比較してみると、それぞれの事業所の特徴が分かり、今後の療育事業所選びの参考になるでしょう。
まとめ
個別支援計画書はお子さんの課題の整理と目標設定、具体的なプログラムが記載された療育の肝になる書類です。
また、個別支援計画書をしっかりと読み込むことで、その事業所の質を見抜くこともできます。
次回、個別支援計画書をもらわれたら、しっかりと内容を読み込んで、我が子に合った事業所かどうか、安心してお任せできる事業所かどうか、見極めてみてください。