発達障害児のための個別学習塾「寺子屋ゆず」2024年4月リニューアルOPEN!

ぼくがうんちくんハットをかぶる理由〜せめて笑顔が救うのなら、僕はピエロになろう〜

こんにちは。発達支援ゆず代表の西村です。

私は、療育スタッフは、脇役であるべきだと考えています。

なぜなら、療育の主人公は紛れもなく、保護者の方とお子さんだからです。

脇役は、主人公が脚光を浴びるために、陰になり日向になり、立ち回ります。

この立ち回り方がうまいと、主人公を軸として高品質な作品ができあがります。

だから、脇役には脇役としてのプライドを持つべきだと思っています。

 

それともう一つ、療育スタッフとして大切にしていることがあります。

それは、ピエロとしての存在であることです。

ピエロは、自分が道化ることで、お客さんの心を和ませ、今この瞬間を楽しませます。

道化ることのプロだから、ピエロのことを道化師といいます。

 

実はこの道化師には、2つのタイプがあります。

ピエロとクラウンです。

違いは、笑わせ方です。

クラウンが、明るく楽しく、時には人を馬鹿にしたようなネタで笑いを取るのに比べて、ピエロは「自分を下げることで人から笑われ、人を和ませる」という楽しませ方をします。

どちらがいいとか悪いとかいうことではなくて、考え方の違いだと思いますが、私はピエロのタイプです。

だから、うんちくんハットを被ります。

人を馬鹿にして笑いを取るくらいなら、自分が笑われた方がいいです。

なぜなら、「その笑いに対して、誰も傷つかないから」です。

 

誰かを傷つける笑いはいらいないと思いますし、誰かを犠牲にした笑いや幸せはいらないと思います。

私は、自分を見て笑って、そして「明日も頑張ってみよう」と思っていただける人がいれば、それでもう十分です。

 

そして、ピエロとクラウンのもう一つの違いは、涙です。

ピエロは涙を流していますが、クラウンには涙は描かれていません。

なぜピエロが涙を流しているのか、はっきりとは分かっていないようですが、私は「ピエロの悲しい気持ちを表現している」「ピエロは悲しみを抱えている」からではないかと思っています。

ピエロ自身が悲しみを抱えているからこそ、誰かの悲しい気持ちが分かるのではないか、だからこそ人を笑顔にしたいと思っているのではないか、と思います。

 

そういえば私が、発達特性のある子どもたちを応援する事業所(つまり発達支援ゆずです)を作ったのは、自分が不器用で失敗経験が多く、考えていることが理解されづらく(多分独特な思考回路なのでしょう(笑))、また自分のやってみたいことを「あなたには無理」と言われきたという体験からです。

自分が辛い思いをしてきたからこそ、不器用な子、コミュニケーションに難しさがある子などの気持ちが分かり、そしてそっと手を差し伸べる大人でいたい、という気持ちがあるのです。

 

だから、ゆずの理念は「子育てをもっと面白く!」です。

子どもが「生きるって楽しい」と感じ、保護者の方が「子育てって楽しい」と思っていただけることを目標に運営をしています。

だからスタッフには、「支援者側の独りよがりにならないようにしよう」「感情的にならず、常に客観的でいよう」「ホスピタリティを持って対応しよう」「分かりやすく伝えよう」と話しています。

そのような理念の根本には、「自分が好きだと言える子どもを増やしたい」「我が子を肯定的に見ることができ、そして我が子が愛おしいと言える保護者を増やしたい」という想いがベースになっているからなのです。

 

その目標を達成するために、ふざけるのです。

おどけて、自分を下げることで人に笑ってもらい、そして見ている人を和ませ、明日への活力を持ってもらう。

へりくだるのではありません。高飛車でもありません。子どもとフラットな関係でいたいのです。もちろん保護者の方とも。

 

これは、ゆずのスタッフのスタンダードモデルになっています。

お子さんや保護者の方に対してご機嫌伺いはしない。でも、上から目線で話すこともしない。フラットな関係です。

フラットだからこそ、スタッフの一言に癒やされる保護者の方もいれば、お子さんや保護者の方からスタッフが学ぶこともあるのです。

ですが、スタッフは脇役です。これだけは絶対に間違ってはいけません。

だからこそゆずのスタッフには、助演女優賞、助演男優賞を目指してほしいと願っています。

そのためには、「療育にもっと、面白さを!」です。「療育にもっと笑いを!」です。

悲しい気持ちで沈んでいる方に優しく声を掛けたり、じっと側で寄り添ったりするのと同じくらい、一所懸命笑わせようとすることもホスピタリティの一つだと私は思っています。

きみのその小さな腕に 支えきれないほどの哀しみを

せめて笑顔が救うのなら ぼくは道化師(ピエロ)になろう

(さだまさし 道化師のソネット)

そんな私の想いに賛同してくれているゆずのスタッフは、ゆずの理念に基づき「丁寧さ」と「ホスピタリティ」を持ち、そして「笑い」という優しさを持ちながら、今日も「どこにもない療育」を実践しています。

私はスタッフが自信と誇りを持って働けるような環境を作ることに注力しながら、スタッフに負けじとうんちくんハットをかぶり、くだらないことを喋り、必死に笑いを取りに行く毎日です。

 

子どもが楽しそうに笑うことができ、子育てに疲れた保護者の方が、ホッとひと息つくことができるなら、これからも私はピエロになって、笑われていたいです。

そして「我が子が、もっと愛しくなりました!」や「もう少し頑張ろうと思いました。ありがとうございます!」などの言葉に私自身が支えられて、「もっと面白くできることは何か無いかな?」とAmazonで被り物を探す毎日です(笑)。

 

今、あなたが悲しくて流している涙が、いつか面白くて楽しくて、嬉しくて流す涙に変わりますように。