ゆずのご見学に来られた際、色々保護者の方にお尋ねします。
その中の一つに「手先の不器用さはありますか?」ということをお聞きすることがよくあります。
なぜかと言うと、手の不器用さがあるということは、多くの場合目の使い方(コントロール力)に弱さがあるからです。
目がうまく使えない、という課題は、自閉スペクトラム症のお子さんに多い特徴で、これが人との関係性の希薄さにつながることがあります。
つまり、手の不器用さをチェックすることで、自閉スペクトラム症を始めとする発達特性のチェックを行っているというわけです。
保護者の方から、「そう言えば不器用です」と伺ったら、今度はボディイメージや粗大運動に苦手さがないかどうか、確認します。
この質問(体の不器用さ)に対しては、「そうです」という場合と「いえ、そうでもないです」という答えに分かれることが多いです。
指先の不器用さは、多くの割合で見られますが、体全体の不器用さは、指先の不器用さほど沢山は見られない、という傾向があります。
実際、運動面を評価しても保護者の方のお答えと同じ傾向であることが多いので、あながち間違った答えではないことが分かります。
ただし、保護者の方が気づいておられない場合でも、座位姿勢や歩行、ボール遊びなどで評価をすると、「実は粗大活動の不器用さ・体の使い方の難しさ」が見える場合があります。
さて、そんな評価を経て、「目のコントロールの難しさがある」お子さんの場合は、Instagramに載せたような、紐通しの遊びを行ったり、ボーリング遊びを行ったりします。
こういった遊びは、実は指先の器用さの練習をしているように見えますが、実は目のコントロールの練習が主目的なのです。
だから、こういった遊びを通して、目のコントロール力をあげることにつなげないと、いくら手先の遊びを行わせても、器用さは改善しない、ということになります。
遊びが子どもの発達を促す、ということは紛れもない事実ですが、「できないことを繰り返しさせているだけでは、発達や改善はしない」ということについては、保護者の方もぜひ知っておいてください。
そうでないと、取り組んだ時間やエネルギーが、効果につながりません。
これが「療育の落とし穴」の一つです。
「色々取り組ませているけど、思ったほど効果がでないなあ」と悩んでおられるなら、一度「何のために、この活動を行っているのか」について振り返って見ると、色々と課題が隠れていることが分かると思います。
本当の課題に対して、取り組みを行わないと、効果はでません(もちろん継続性が必要なので、月に1度などの取り組みでも効果は出ません)。