発達障害児のための個別学習塾「寺子屋ゆず」2024年4月リニューアルOPEN!

イカがイカであるために。特性は環境設定で「イカようにも」変わる〜イカからの挑戦状〜【まだ療育で消耗してるの?】

4月もすでに後半となりましたが、「皆様、いかがお過ごしでしょうか」。

そして、「皆様、イカはお嫌いでしょうか」。(出た!ダジャレかい!(笑))

先日、発達支援ゆずの児発管研修を行ったのですが、その際に私(ゆずのおちゃん)が、「イカって足9本だよねえ」と言った途端、児発管の小林・石美、さらに松岡課長までが一緒になって、「違う、違う!イカの足は10本です!」と猛烈な勢いで、訂正されました(研修内でイカの足を例にあげてお話をしたのです笑)。

さて、イカというのは、非常に個性的です。

そもそもイカは、どう調理しようと、イカ本来の味を崩せないため、イカでしかないのです。


例えば、イカと小芋の煮っころがし

一体となって器に盛られていますが、イカと小芋がそれぞれの立場を主張するので、器の中で個性がぶつかり合っています。

小芋の柔らかい食感に反し、イカはこれでもかというくらい噛みにくいです。まるで、「顎の力が弱いやつに俺が噛み切れると思うのか!」と言わんばかりです。

また、会津の名物、「いか人参」では、ごま油を使ってなんとかイカの個性を消したいと思い調理されますが、あの個性的なごま油をもってしても、イカの味はやはりイカでしかなく、人参とごま油ほどはマッチしません。

人参にはごま油が浸透していきますが、イカはあくまでもごま油をイカの表面でしか受付けません。


ではこんなイカの個性をどう輝かせるかですが、やはりイカ単独でイカ自身が生き生きとできる環境を作ってあげることがいいのです。

それは、どのような環境か分かりますか?

考えてみて下さい。

思いつきましたか?

そうです!

イカ焼きです!!

イカ単体だけを焼き上げ、イカ本来の味と風味を楽しむ。

イカ焼きこそ、イカの個性が最も生きる料理なのです

塩コショウはイカの個性を際立たせるために用いられますが、それはイカ自身もよく分かっており、彼らに関しては素直に受け入れてくれます。

大人はそれを見て、「塩コショウがいけるなら」と、つい小芋と同居させたり、ごま油で抑え込もうとしたりしてしまうのです。

それではイカの個性は、出ません!

イカ焼きこそ、イカが最もイカでいられるのです。


では、イカ焼きが最もその存在価値を認められる場所環境はどこでしょう?


そうです!

屋台です!

屋台であれば、イカ単独で焼いている様子を見て、「イカはコラボができない食材だなあ」などと言う人はいません。

おそらくイカ焼きの屋台で、小芋や人参とともに調理しようとしたなら、多くの方が「イカだけでいい!他のはいらない!イカだけを焼いて、食べたい!」と相当のブーイングが起こることは想像に難くないでしょう。

そして、イカのマイナス点だと思われていた、「噛みにくい」という特徴は、屋台まわりをしながらその間ずっと味わうことができる、という視点で見ると、噛みにくいからこそ嬉しい!ということになるのです。

つまり、夜店では「イカのデメリットと捉えられていたことが、むしろメリットに変わる」と言えるのです。


え?「夜店の食べ物といえば焼きそばだろう」ですって?


それは違います。

夜店まわりにおいては、焼きそばはこぼれやすいので不向きです。


また、そば以外に、キャベツ・人参・豚肉・あるいはもやしといった、「一体、誰が主役やねん!」というような料理は、「中途半端なやつ」というレッテルを貼られてしまいます

加えて、焼きそばの中で最も主張が強いのは、ソースです。

本来、食材の個性を活かすはずのソースが、主役となってしまっているのです。

これはもう食材の下剋上です。

そういうと、きっとこういう方がいると思います。

ははーん、分かった。それならNO.1は、りんご飴だろう!

なかなか鋭い指摘です。

たしかにりんご飴は、単独です。

まわりにかかっている蜜も、りんごの良さを引き出すという点においては、イカ焼きの塩コショウと同じです。


ですが、りんご飴の最大の欠点は「果物であること。」です。

つまり「スイーツでしか無い!」のです。

メインのおかずとしては、役不足なのです。


それが証拠に、イカ焼きを晩御飯にすることはできますが、りんご飴を晩御飯代わりにすることはできません。


このような理由から、夜店まわりにおいて最も重用されるのが、イカ焼きであるということは揺るぎない事実なのです。

「適材適所」「餅は餅屋」「水を得た魚」

すべて夜店で売られているイカのための言葉なのです。



今日もイカは、自分の存在価値をもっとも高めることができる夜店の一角で、塩コショウという衣装をまとい、その強烈に食欲をそそる匂いを辺りに漂わせながら、自分のことを「美味しそう!」と見つけてくれる人を、威風堂々の佇まいで待っているのです。

少し焦げた部分でさえも、「それすら、俺の一部なのだ」とでも言いたげな顔で。



さて。


イカという一見個性的な存在を、どのようにして「その味を引き出してあげるのか」、どのようにして「水が合った環境を用意してあげるのか」。


これは、私たち大人に対する、「子どもたちからの挑戦状」でもあるのです。