昨日ことば音楽療法士さんとお話をしましたが、ことばの発達にイントネーションは重要ということが分かりました。確かに言葉を間違えていても、イントネーションは合っているということは良くあります。音楽が好きな子には、言語聴覚療法よりも効果的な療法かも。うちでも取り入れようかなと思います。 https://t.co/Ycc9XNi5Et
— 西村 猛@日本で一番、保育士さんを応援する理学療法士 (@seinosuke2013) February 15, 2019
こんにちは。ゆずのおっちゃんです。
先日、音楽を使って言葉を引き出す「ことば音楽療法士」さんが、ゆず教室にお越しくださいました。
きっかけは、ゆずグループの一つである、【発達障害児のための個別学習塾「寺子屋ゆず」】が主催した勉強会に、ことば音楽療法士さんがご参加いただいたことです。
1時間半ほど、ことば音楽療法についてのご説明を受け、目的や対象、効果などについて教えていただきました。
ことば音楽療法の詳細は、他所に譲るとして、お話した印象を一言でいうと、「これ、いいかも!」です(笑)。
「音楽療法」という言葉は、良く聞きますが、「ことば音楽療法」なので、言葉を引き出すための仕掛けがいくつもあります。
また実際の様子をビデオで拝見しましたが、子どもたちが音を通して言葉を学び、またそれを日常の中で活用していく様子が分かりました。
ことば音楽療法は、イントネーション(節)を大切にしているようです。
確かに言葉を学んでいく段階において、イントネーションは重要なポイントになります。
上のツイートでも書いているように、言葉を間違えていても、イントネーションは合っている、というのはよくある話。
だからイントネーションから、音や言葉を学んでいく、という理論は理解しやすいです。
そして、何より、楽しみながら学べるという考え方は、ゆずの方針と同じです。
させられ感満載で学んでも、身につくはずないのです。
ゆずでは、学習支援も行っていますが、単にドリルをこなす、黙々と計算する、というようなナンセンスな勉強は行いません。
理由は、つまらないから、です。
学ぶことは、それ自体が楽しいことでなければなりません。子どもは「面白い」と思うから、もっと学ぼう!と思うのです。
そういう意味では、ことば音楽療法は、楽しい!嬉しい!を通じて、言葉を引き出す手法なので、子どもに受け入れられやすいのでは、と感じました。
前RT)失語症の方へのメロディックイントネーションセラピー(MIT)や、自閉症の子どもの言語発達を促進する聴覚・運動マッピング訓練(AMMT)などは確かな効果が確認されている手法の一つのようだ。自分はまだまだ知識が足りないのでもっと勉強してみたい。
— Tarö (@taro91189988) February 15, 2019
私のツイートをリツイートしてくださった方のコメントです。
聴覚・運動マッピング訓練(レッスン)とは、電子ドラムの叩くタイミングに合わせて、高いまたは低いそれぞれの音節を、歌声として単語を覚えさせる手法です。
この効果を検証した実験があります。
自閉症児の発語について、聴覚・運動マッピングレッスンを行ったグループと、一般的な言語療法を行ったグループに分けて、週に5日、5週間のレッスンを行いました。
その結果、聴覚・運動マッピングレッスンを行ったグループでは、18%の子どもに、実験前よりも言葉が増えました。
一方で、一般的な言語療法を受けた子どものグループでは、1%未満しか言葉が増えませんでした。
この実験の中で、私が効果として感じる部分があります。
それは、マネを利用しているということ、そしてリズムに注目しているということです。
マネは、子どもの発達においては、最も重要なポイントの一つです。
ものまね細胞(ミラーニューロン)という細胞が人の脳にあり、人はマネをしながら学ぶようにできているのです。
また、リズムというのも、言葉を学ぶ際にも重要なポイントになると思います。
人は、活動のすべてにおいて、リズムというものを持っています。
例えば、発達障害のあるお子さんたちは、縄跳びのようにタイミングを合わせて飛ぶなどの動作が苦手な傾向にあります。
また、その場でジャンプすることも難しい(ジャンプのタイミングが合わない)といったことも、よく見られる現象の一つです。
これらの活動には、「縄の回るタイミングを見計らう」「体の各筋肉をタイミングよく働かせる」というリズム感が必要です。
それ以外にも、生活リズム、睡眠リズムなど、人の活動の中には、リズムというものが組み込まれています。
発達障害のお子さんは、生活リズムの崩れ、睡眠リズムの崩れなど、体のリズムだけではなく、色々なリズムが崩れやすい(リズミカルなことが苦手な)傾向があります。
ことば音楽療法で、こういったリズムの乱れを整えていくと、色々なリズムを整える意味でも効果的なのでははないかと思われます。
言葉に限らず、多くの効果をもたらせることが期待できるため、ことば音楽療法はゆずでも今後導入してみたい療法の一つです。
そしてもう一つ、面白いであろう取り組みも考えたいと思います。それはことば音楽療法と言語聴覚療法のコラボです。
言葉を引き出す療法といえば、まず言語聴覚療法が挙げられると思いますが、言語聴覚療法を受けているから必ずしも言葉が伸びるということはありません(言葉を引き出す準備を行って、後は自然に出てくるのを待つということが多いです)。
言葉を直接引き出すことよりも、環境設定(代替手段を使ってコミュニケーションを図る)やスキルトレーニング(気持ちを伝える方法をテクニックとして学ぶ)などで周囲への理解を促すというプログラムを実施する意味において、言語聴覚療法は有意義です。
そう考えると、音として言葉を学んでいくことば音楽療法と環境設定やスキルトレーニングの観点からの言語聴覚療法とを合体させたものが、言葉を引き出すことにおいて最も効果的なのではないか、と思われます。
ほんと、そうですね。言語聴覚療法に音楽やリズムを取り入れると子どももさらにモチベーションが上がりそう。遊びの中で掛け声や発声自体を促す事は多いのですが、今までの言語聴覚療法に音楽療法の考え方を取り込めば新しいアプローチ法ができるかも。それには勉強が必要ですね。でも、楽しそう。 https://t.co/9a6M5weOk7
— むぎちょこ@言語聴覚士 (@mugichoko2016) February 17, 2019
この言語聴覚士さんの言うように、言語聴覚療法とことば音楽療法がミックスされると、新しい有意義なアプローチ方法が確立できるかもしれません。
そのためには、各専門家が、自分の領域にこだわることなく、良いものはどんどん取り入れ、一緒に役立つ療育を作っていくという姿勢が必要になります。
一般論として、専門家は自分の領域の中でしか仕事をしたがらない、という傾向がありますが、ゆずのおっちゃんはその殻を打ち破ることができる(自分の領域外にも目を向け、協同できる)専門家の方々とつながっていきたいと思います。
ゆずでは、今後もことば音楽療法士さんとセッションする中で、新しい療育の形を模索していきたいと思います。