【YouTube動画深堀り】療育の効果はすぐに出ない?現場で見てきた「時間差のある成長」と親子に必要な視点

こんにちは。ゆずのおっちゃんこと、理学療法士の西村猛です。

今回、こども発達LABO.のYouTubeチャンネルで、「【質問回答】療育の効果ってすぐに出てくるもの?」というショート動画を公開しました。

「療育に通い始めたけれど、なかなか変化が見えない」
「このまま続けていて意味があるのか、不安になることがある」

そんな保護者の方の率直な気持ちに対して、療育の効果は子どもによって現れ方やスピードが違うこと、そして、短期的な変化だけで判断せず、長期的な成長を見ていくことの大切さをお話ししました。


それを踏まえた上で、ここでは動画では伝えきれなかった部分や、「実際の現場では、どんなふうに変化を見ているのか」「保護者の方に、どんな視点を持ってもらえると気持ちが楽になるのか」といった点について、もう少し丁寧に深掘りしてお話ししていきます。

「今は効果が分からなくて不安」
「このまま続けていいのか迷っている」

療育について、こんな不安をお持ちの方に、ぜひお読みいただきたい内容です。

療育の効果は時間差で現れることが多い

子どもの発達は、右肩上がりの軌跡を描くような上がり方(伸び方)はしません。

むしろ多くの場合、。何も変化がない(平地を進んでいる)ように見えて、ある時期に急にポンと伸びるような成長をします(できることがぱっと増えるイメージ)

そのため、

  • しばらくは変化がないように見える
  • 「何も変わっていないのでは?」と感じる

という期間がどうしても生まれます。

でもそれは、「変化がない」のではなく、まだ表に見えてきていないだけというケースがとても多いのです。

特に、特性が強いお子さんやことばやコミュニケーションの困難さが大きいお子さんの場合は、「できる・できない」に直結する前の土台づくりの期間が長くなりやすい傾向があります。

  • 安心できる人・場所が分かる
  • 遊びの中で「楽しい」「一緒にいる」という感性が育つ
  • 感覚の過敏さが少し軽減されていく

こうした変化は、とても大切ですが、数字や成果としては見えにくいものです。

けれど、この土台があるからこそ、その先の成長につながっていきます。


反対に言うと、こういった土台が育っていない段階で、目に見える変化を求めて療育に通っても、全く効果が出なかった、ということもよくあるお話なのです。

ゆずでの事例:2年以上の積み重ねで「日常会話レベルのことば」が出たAくん

Aくんは、療育を始めた当初、ことばによる意思疎通がほとんど難しい状態でした。

要求や気持ちは行動や泣きで伝えることが多く、また自分からの発信も少なかったことから、周囲とのやりとりがうまくいかない場面もたくさんありました。

療育では、評価に基づいたプログラムをもとに、遊びを通した関わり信頼関係づくりを大切にしながら、定期的に通所を続けました。

ゆずで療育をはじめたからといって、すぐに言葉が出るようになる、という変化はありませんでした。

保護者の方も、途中で

「このままで本当に大丈夫なのかな」
「意味があるのか分からなくなる時がある」

と、不安を感じることもあったそうです。


そんな時、「今は土台を作っている時期なんだ」「焦らず、続けてみよう」と、少しずつ考え方を切り替えながら、通所を続けてくださいました。

ゆずのスタッフも、できるだけ保護者の方のモチベーションが落ちないよう、日々のお子さんの小さな変化を伝えたり、時には雑談の中で楽しい話題を提供したりしながら、みんなで一緒にAくんの育ちを待ちながら、「今できること」を積み重ねました。

Aくんに大きな変化が見えてきたのは、小学生になってからでした。

訪問支援をご利用頂いている中で、日常生活の中で必要なやりとり(意思疎通の言葉)が出てくるようになっている様子が見られるようになりました。

あるときに私は(訪問支援の書類の関係でお母様がご来所された際に)、こうお声がけをしました。

「お母さん、言葉も出てきたようで、嬉しい変化がありましたね」

「そうなんです。良かったです。お陰様で。」

この言葉を聞いたとき、私はすかさずこう答えました。

「彼が成長したのは、ゆずの療育のお陰じゃないです。お母さんが不安を抱えながらも、コツコツとゆずに親子で通所され、私たちのアドバイスもきちんと実践してくださったからです。お母さんの関わりの賜物だと思います」

「ここまで色々と不安もあったとお察ししますが、本当に最後まで焦らず通ってくださいましたね。その想いが報われましたね」

そのお母様は、物静かに、でもとても嬉しそうに微笑まれました。


その時私は、「療育で成果を出すには時間がかかる。でもスタッフと保護者の方が連携しながら、コツコツとするべきことを続けていくと、やがて必ず好転するときが来る」ということを実感しました。


子育ては、結果を急ぐと上手くいきません。療育も同じです。

座れないから座れるようにする。話せないから言葉を次々に教える。

こんなやり方をしていても、絶対によくなりません。


結果を焦り、幼児期にお子さんに必要以上の「頑張らせる療育」という負荷をかけてしまい、最終的にそれが療育の失敗につながり、「もっと丁寧に関わってあげていればよかった」と後悔されている保護者の方も多くおられます。

そんな先輩方の失敗から学ぶと同時に、適切に療育を受けることの重要性を、多くの方に実感していただきたいと思っています。

Aくんも、2年以上の積み重ねがあったからこそ、見えてきた変化でした。

もし保護者の方が数ヶ月で「効果がない」と判断していたら、この姿は見届けられなかったかもしれません。

短期・中期・長期で見る「ゆずの効果の捉え方」

発達支援ゆずでは、変化を一つの尺度だけで判断することはしていません。

大まかに、次のような段階で見ています。

短期(1〜2か月)

  • 場所やスタッフに慣れてきたか
  • 表情が柔らいできたか
  • 安心して過ごせているか

「まずはここで大丈夫なんだ」と感じられることが大切です。

中期(3〜6か月)

  • 指示が少し通りやすくなった
  • 切り替えが前よりスムーズ
  • 成功体験が増えてきた

小さな「できた」に目を向けて行く時期です。

長期(半年〜数年)

  • 対人関係や集団での過ごし方
  • ことばやコミュニケーション
  • 家族みんなの生活のしやすさ

生活全体がどう変わってきたかを見る視点に変化していきます。

このように順を追って長期視点に立って療育を継続していけば、今目に見える変化が少なくても、「土台作り→変化→定着」につながっていきます。

もちろん、今何をするべきか、という部分がしっかり考えられていないと効果は引き出せません。

そのためには、「今の我が子の現状をしっかりと評価してもらい、今何をするべきかをきちんと説明してもらうこと」が重要なのは言うまでもありません。

みんな同じことするような療育を受けてみてもさほど成長にはつながらないと感じるのは、こういった理由があるからです。


もちろんゆずでは、プログラムを構築する前に、発達段階を評価したうえで、お子さん一人ひとりに合ったプログラムを構築して実践していきます。

「効果がないのでは…」と感じたときに見直したいポイント

「本当に意味ある?」と感じたときに、ぜひチェックしてほしい3つのポイントをご紹介します。

① 個別支援計画と家庭の困りごとがつながっているか

療育で目標としていることと、お家での困りごとがつながっていないと、療育を受ける意味はありません。

療育で提示される個別支援計画などを参照し、「療育の目標」が、家庭での困りごととの改善につながっているかを確認してみましょう。

② 子どもの特性に合った関わりになっているか

感覚の特性や、子どもの思考のクセに合わせた関わり方をしてもらえているか、を確認してみましょう。

「うちの療育では◯◯をやっています」だと、十把一絡げの療育かもしれません。

そもそも療育は「みんなで同じことをする」では効果は引き出せないものです。

③ 事業所と情報共有・相談ができているか

モヤモヤを一人で抱え込まず、気になることは正直に伝えてください。

その時に、親身になって、かつ「なるほど」と思えるアドバイスや助言をもらえるなら、信頼できる療育でしょう。

単に方針を指示される、保護者の方針は尊重してもらえない、このままだと大変なことになると言われた、など対応が抽象的であるなら、それはあまり評価をしてもらえていないと言えます。


幼児期の療育の良し悪しが、お子さんの今後の人生にもつながってきますので、特に児童発達支援事業所をご利用されている保護者の方は、事業所さん任せにせず、しっかりと方向性を持ち、療育事業所さんと一緒に、同じ方向を向いて日々の療育に取り組んでみてください。

数年後、大きな違いにつながります。

ゆずの療育は、「親子に伴走する」が特徴

発達支援ゆずは、「すぐに結果を出す場」ではなく、お子さんのペースで成長を積み重ねていく場でありたいと考えています。

不安や疑問があって当たり前です。
だからこそ、遠慮せずに、たくさん相談してください。

事例でご紹介したAくんは、お母様(お父様も)の関わりが適切であったこともさることながら、ゆずと保護者の方が手を取り合ってAくんの方向性を一緒に模索したことも、Aくんの大きな成長につながる理由の一つだと考えています。

療育は事業所任せでは失敗します

保護者の想いだけでは抱えきれません

一緒に考えていくことこそ、療育の効果を最大に引き出すものと、私たちは信じています。

だから親子同室という方針は、開所以来変えていないのです。


一人でも、ゆずに通って「我が子がもっと愛しくなりました」と言ってもらえたら嬉しいです。

そんな想いでスタッフは日々お子さん、保護者の方と向き合っています。