
こんにちは。ゆず代表のにしむらたけし(通称:ゆずのおっちゃん、またはうんちのおっちゃん)です。
先日のセラピストに引き続き、「保育士・児童指導員」を募集開始しましたので、お知らせします。
ただ単に募集要項を記載するのではなく、ゆずの保育士・児童指導員であることの意味と、ゆずの方針についてご紹介したいと思います。
以下、長文になっていますが、ゆずにご関心をお持ちいただいている方がおられましたら、ぜひ最後までお付き合いいただき、ゆずが求める保育士・児童指導員像について知っていただければと思います。
また、保護者の方で「ゆずの療育は、どんなんだろう?」と思っておられる方、今他の療育にかかっておられて「こんなのでいいのかな?」とお悩みの方にも、ぜひご一読いただければと思います。
もちろん、読んでいる途中で「違うな」と感じられたら、すぐに離脱してください。
ゆずの保育士・児童指導員は発達検査を実施し、個別プログラムを構築します
ゆずの保育士・児童指導員の最大の特徴は、「発達検査を行うこと」「発達検査の結果に基づき、一人ひとりのお子さんに合った個別の遊びプログラムを構築すること」にあると言えます。
ゆずが個別療育にこだわっているのは、「一人ひとりで課題が違えば、取り組み(療育プログラム)が違うのが当たり前過ぎるから」に他なりません。
みんなで一緒のことをしていても、取り組むべきことが違う以上、効果は最大に引き出せないからです。
例えば、椅子にじっと座れないお子さんがいたとします。
その理由は、多岐にわたります。
- 低緊張による体幹(腹横筋)の持久力低下があるため
- 体幹筋はしっかり発達しているが、座位バランスが悪いため
- まっすぐ座っているときの感覚が分かりにくいため
- 視覚優位のため、目に入ったものが気になってしまうため
- 聴覚優位のため、耳に聞こえた音が気になるため
- 座って活動することの意味がよく理解できていないため
- 脳内で、『他にしたいこと』が閃いたため
- そもそも『動いていると落ち着くタイプ』であるため
一例を挙げただけでも、これだけの理由があります。
低緊張に由来する持久力の低下であれば、持久力が高まる遊びを行う必要があります。
視覚優位で目に入ったものに意識が行ってしまい離席するなら、座る場所を再考する必要があるかもしれません。
このように、「椅子にじっと座れない」という課題は共通していても、お子さん一人ひとりによって理由が違うため、アプローチするべきところ(プログラム)が同じであるはずがないのです。
しかし一般的な療育では「座れるように言って聞かせる」「我慢を覚えさせる」など、どの子にも同じような関わり方をしていることがあります。
ですが、そのような関わり方(療育手法)は間違っています。
子どもは「遊びの中で心と体と言葉が発達」していきます。
特性のあるお子さんも同じ。
定型発達のお子さんよりも少しだけ「遊びを選択してあげる必要がある」というだけで、それ以外は何も変わりません。
その子に合った遊びをうまく提供することができれば、最大に発達を促すことができます。
うまく遊ばせながら、発達を促すからこそ、プロなのです。
「言って聞かせる」「叱って言うことを聞かせる」なら、そのへんのおっちゃんでもできます。つまり素人でもできます。
しかし、なぜ、「言って聞かせる」や「厳しく叱りつけて覚えさせる」「我慢させる」手法が取られているのでしょうか?
それは、支援者が「お子さんによって原因と対処方法が違う」ということを知らないので、画一的な、また経験に即した指導方法(以前厳しく叱ってうまくいった事例など)に偏ってしまうためです。
そして保護者の方も「厳しくしつけないと、いつまでもできない」という間違った考え方をしていると、その指導方法に違和感を感じません(ゆずをご利用の方の中にはこのような考え方をされる方はおられませんが、世の中にはまだまだ「根性論でどうにかなる」と思っている保護者の方も多いのです)。
こういった理由から、感覚的に行っている療育実践が、まかり通ってしまっているのです。
できない理由はお子さんによって違い、対処方法も一人ひとりに合わせて考える必要がある、ということを知っている方は、画一的な療育プログラムでは何の効果も出せない、ということに気づいています。
だからゆずは、個別療育を実施しているのです。
ゆずのプログラムは「遊んでいるように見えて、単に遊んでいるわけではない」が特徴
子どもは遊びの中で学び、育っていきます。また真似をしていろいろなことを経験していきます。
そのため、お子さんの発達を促すためには、うまく遊ばせていくこと、うまく真似させていくこと、がポイントになるのですが、特性のあるお子さんは上記のとおり一人ひとりで課題が違います。
そのため、定型発達のお子さんのように「どんな遊びでもOK」というわけにはいきません。
お子さんの思考、できない理由、好きな感覚刺激と苦手な感覚刺激、脳の特性、キャラなどを総合的に理解した上で、遊びプログラムを構築していく必要があります。
そうすることで、「Aくんに最適化された遊びプログラム」が構築できます。かつ、それはAくんにとって最も発達促進につながる遊びということになります。
こういった効果的な遊びを構築するためには、保育士・児童指導員の方が「お子さんを評価できること」「評価結果に基づいて遊びプログラムをカスタマイズすることができること」「変化を確認できること」「間違っていたら修正プログラムを再構築できること」などのスキルが必要となります。
これができると、どんなお子さんを担当したとしても、その子の発達を最大に引き出すことにつながります。
そのため、ゆずでは発達検査(評価)とお子さんに合った遊びプログラムの構築について、評価チャートを使いながら発達検査を実施しています。
評価を行い、その結果から導き出されたプログラムを実施することで「遊んでいるだけなのに、なぜか伸びた!」という結果を出すことができます。
この評価手法については、全員入職後に実践の中で学んでいただいています。
コツコツ学べば必ず評価ができるようになります。
これだけ学ぶ機会がある事業所も、そうそうないと思います(自負)
発達評価の手法はもちろんのこと、療育支援者としてたくさんの学ぶ場が、ゆずにはあります。
例えば、スーパーバイズ制度というものがあり、日々の療育実践での困りごとをスーパーバイザー(言語聴覚士・理学療法士)に相談してアドバイスを受けることができる仕組みがあります(他事業所のスタッフ様に有償でご提供しているサービスが、ゆずスタッフなら使い放題です笑)。
さらにケース会議、評価結果の読み取りなどを学ぶ勉強会、医学的根拠を学ぶ勉強会も定期的に開催されているので、知識とスキルがどんどん高まります。
もちろん、「自分で積極的に学んでいこうとする姿勢」が大事なのは言うまでもありません(療育って適当にお子さんと遊んでいる仕事でしょ?と思っている方や「クレクレさん(自分にとってのメリットばかりを求める方)」などにとっては、面倒くさくてしんどい職場だと思います)。
こういった学びを実践の中で続けていると、やがて評価チャートを参照しなくても、お子さんの遊ぶ様子を見ただけでお子さんの課題や得意・苦手が分かるようになります。
発達評価ができる保育士さん・児童指導員さんは、全国的にも珍しいと思いますので、このレベルに達すると、将来ゆずを辞めて他の療育事業所さんに変わったとしても、一目置かれる存在になること間違いなしです。
保育士さんや児童指導員さんは療育実践の主役です
弊所では、保育士・児童指導員とセラピストは車の両輪であると定義しています。
個別療育というと、セラピストが主役では?と思われるかもしれませんが、ゆずはそんな考え方ではありません。
それぞれに専門性があり、それぞれの職種を互いにリスペクトするのが、ゆずの方針の一つです。
よく療育現場で保育士さん方が「私たちは保育士だし、遊び担当なので、専門的なことはセラピストの方にお任せしているので・・・」という発言を伺うことがありますが、それは間違っています。
療育実践の主役は、保育士さんや児童指導員さんです。
そしてセラピストは裏方であるべきです。
なぜなら、(繰り返しになりますが)子どもは遊びの中で育つからです。
その遊びを提供することに長けているのはセラピストではありません。
むしろセラピストの多くは、子どもをうまく乗せることについてはうまくない人が多いです。
だから保育士さん・児童指導員さんが表舞台に立つほうがよいのです。
では、セラピストの専門性は?というと、「詳細な評価スキル」があることです。
専門的な視点からの評価結果を保育士さんや児童指導員さんに分かりやすく伝えることで、遊びを展開してもらうことができます。
これが、ゆずの言う両輪です。
ゆずでは職種に優劣はありませんし、もし「自分たちこそが専門家だ」と認識している勘違いセラピストがいるなら(もちろん今のゆずにはいませんが)、その間違いはきちんと修正しますので、安心して保育活動を展開してください笑
経験も大事ですが、理念に賛同していただけるかどうかはもっと大事です
ここまでお読みいただいた方で、「私もそんな療育を実践したいと思うけど、スキルが高くないとやっていけないのでは?」と不安を感じておられる方も中にはおられるかもしれません。
ゆずではそこまで経験を重視していませんが、一般的には経験者のほうがいいと思う事業所さんも多いことでしょう。
求人サイトでよく見かける「経験者求む!」というアレです笑
経験者だから良いというのは間違っています。
いくら経験が長くても、我流でやってきた人は、大したことはできません。
いくらベテランでも、協調性がない人は、そもそも社会人として失格です。
もちろん経験も大事だとは思いますが、人柄やゆずの理念に賛同できるかどうかは、経験以上に重要です。
なぜ、ゆずでは経験だけを求めないかというと、私の原体験があるからです。
少し長くなりますが、お付き合いください。
私が勤務していた神戸市総合療育センターに、ベテランの理学療法士さんがいました。
この方は、セラピストの中では一番経験が長い方でしたが、とにかく口が悪い方でした。
保護者の方に対して「なんべん言ってもわからんおかんやな!(おかん=お母さん)」「だいたい女の人は、ぐちゃぐちゃと無駄話ばっかりやから、嫌いやねん!」と、保護者(担当児のお母さん)に向かって吐き捨てるように言っていました(誇張ではありません。本当にこのままの言葉を言っていました)。
今なら、公務員としてコンプライアンス違反になると思いますが、そのときは職場の上司も見てみないふり、保護者の方も涙を流しながら我慢する、という、公立の療育センターとは思えないカオスな状況が繰り広げられていました。
これに私は苛立ちを覚えました。
担当児のお母さんを泣かせて、悪びれる様子もなく職員室に帰ってきて「あのおかん、泣かしたった!」と鼻で笑いながら語るベテラン理学療法士と、それを横で聞いていても何も言わない上司。
公務員という仕事がバカバカしくなりました。
公務員は、市民のための働くのが役割。それが市民である保護者の方に暴言をはいて泣かせても給料がもらえるのか?!あんたのその給料、出どころは税金やぞ!
公務員としての経験が長いので、この理学療法士さんは、私の数段上の給料をもらっている。
ただ公務員である期間が長いだけで。
市民を泣かせておいて、叱られもせず、罰せられもせず、そして高給取り。
アホくさ。
このこともあり、私は、「療育を提供する人は、人柄にも磨きをかけなければいけない」と思い、自分の事業所でそれを実践することを決意し、公務員を辞めてゆずを設立しました(他にも療育の場で障害のあるスタッフへのいじめなどがあったことも退職を決意する一つになりましたが)。
だからゆずでは、「スタッフ同士、お互い様の気持ちで」「利用者の方にホスピタリティを持った対応を」「経験が長くなるほど、謙虚に」を大切にしています(ゆずではいじめは絶対に許さない、お局様を絶対に許さない、という方針は、療育センターでの経験が基になっています)。
だから、ゆずでは経験だけを重視することはありません。
ちなみに、ゆずで伸びる人と伸びない人の違いは次の3点に絞られます。
1つ目は上述の通り、「主体的に学ぼうとする人」であるかどうか 。
2つ目は「スグに結果を求めない人」であるかどうか。
3つ目は「ゆずの理念に基づいて行動している人」であるかどうか。
この中で、最も重要なのは3つ目です。
これまでの経験から、ゆずの理念に賛同されていない人は、早晩「思っていたのと違った」と言って離脱される方が多いからです。
また、「自分の療育スキルを高めたい」という想いだけでゆずを選ぶ方も、ゆずの方針に沿った療育実践は行わず、どこまでも我流を貫き通すという傾向があります。
もちろんその我流が素晴らしく効果的であればいいのですが、残念ながらそのスキルは自己満足レベルであることが多いです。
もちろん、「療育なんて、そんな程度で十分でしょ?」という考えもあるでしょうし、我流を否定することはしません。
その場合は「ゆずには合わないよね」ということだけですね。
さいごに
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ゆずの保育士・児童指導員としての役割や、ゆずが大切にしていることは伝わりましたでしょうか?
YouTubeで発信しているおかげもあり、多くの支援者の方から「ゆずは学べる事業所」と言われます。
でも、ゆずは単にスキルを高めるための場所ではありません。
私たちがよければそれでいいわけではないですよね。
ご利用されている保護者の方、お子さんたちに還元されるサービスを提供しなければ、学んだ知識も技術も無用の長物になってしまいます。
自己満足の療育をして、悦に入っていてはいけないのです。
最後に、ゆずの療育理念を記載して、この記事を閉じたいと思います。
もし、こんなゆずの理念に賛同していただける方、ゆずが成し遂げたいと思っている療育像を一緒に作っていっていただける方がおられましたら、ぜひエントリーしてください。
お子さんが、「生きるって楽しい!」と感じること。
保護者の方が、「子育てって面白い!」と感じること。
これを実現したくて、私たちは日々療育に向き合っています。