個別療育なのに親は別室?「その場で分かる関わり方」が子どもの発達を変える理由

こんにちは。ゆずグループ代表・理学療法士の西村猛です。

個別療育と聞くと、「子どもは先生とお部屋の中」「お母さん・お父さんは別室で待ち、最後にまとめてフィードバックを受ける」というイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。

ただ私は、このスタイルに、ずっと違和感を持ってきました。

結論から言うと、未就学児の療育においては、親子が同じ場でリアルタイムに学ぶことが、もっとも効果的だと考えています。

ゆずでは、「あとからのフィードバック」ではなく、「その場で、すぐに一緒に考える」ことに、親子通所の意味があると考えています。

今回は、なぜゆずが「あとでのフィードバック」ではなく「リアルタイムなやり取り」を大切にしているのかについて、お話しします。

親子同室が基本であるべき理由

個別療育の現場では、次のようなスタイルがよく見られます。

  • お子さんと先生だけがお部屋に入り、保護者の方は別室で待つ
  • 別室やモニター、ミラー越しに様子を見て、最後に10〜15分ほどフィードバックを受ける
  • 支援の時間と、説明の時間は別にある(分けている)

実は、私はこの点について、臨床の現場での経験から疑問を感じています。

確かに、事業所側の運営のしやすさや、スタッフの都合という理由からは、分けたほうがいいかもしれません。

スタッフ側も「療育プログラムに集中したい」「質問をその場で受けると流れが止まって大変」という事情があるのは分かります。

しかし、保護者と子どもの立場から見たとき、「隣にいられるチャンスがあるのに、あえて親子を分けること」は、少なくとも発達支援の観点からは、積極的に選ぶ理由はあまり感じていません。

少なくとも未就学の時期においては、親子が同じ場で、同じ瞬間を共有しながら学べる時間を、意図的に断ち切る意味はありません

理学療法士としては「保護者が隣にいない」ことの方が、むしろ不自然です

せっかくなので、もう少し踏み込んだ本音もお伝えします。

理学療法士としての感覚からすると、個別療育の場面で「保護者の方が隣にいない」という状況は、正直、とても大きな違和感があります。

私自身、神戸市総合療育センターで長く勤務してきましたが、そこでは「保護者の方が横にいること」がごく当たり前の前提でした。
医療としての専門的な療育の現場でさえ、親御さんがそばで一緒に子どもの様子を見て、話を聞き、質問をする。
それは当たり前の光景です。

そのため「個別療育なのに親御さんは別室」「子どもの様子はモニターで見てください」というスタイルを聞いたとき、「どうしてわざわざ親子を離す必要があるの?」と感じました。

未就学のお子さんの支援において、保護者の方がそばにいない形は、少なくとも私のこれまでの臨床経験の中では一般的なものではありませんでした。

療育センターのような公的な機関においては、保護者の方が横にいることこそが、普通のことです。

ゆずが親子同室の個別療育にこだわる背景には、公的療育機関での長年の経験と、「保護者の方が隣にいることが自然だ」という専門職としての実感がベースになっています。

「一人で集中できる時間」を作る、という考え方の誤解

では、なぜ民間の療育では、このような「分離」が行われているのでしょう。

例えば、親子別室のよくある説明としては、以下のような説明があるかもしれません。

  • 親がそばにいると甘えるから
  • 人がいると集中できないから
  • あえて一人で課題に向き合う時間が大切だから

この考え方には、発達の捉え方として少し違いがあると感じています。


一人で集中して取り組めるようになることは大切です。それ自体の意義は否定するものではありません。

しかし、それは「一人にされる時間があるからできるようになる」というものではありません。

ここは保護者の方もよく勘違いされる部分です。


一人で集中できるようになるのは、

  • 集中しやすい環境
  • 分かりやすい課題設定
  • 適切な距離感の関わり

が整っている結果として、自然に育ってくる力です。

環境が整っていないまま、「今日は親御さんには出ていってもらって、一人でがんばる練習をしましょう」と時間だけを増やしても、お子さんにとっては「分からないのに、ひとりでがんばらされる時間」になってしまいかねません。

それは、「じっと座れないから、座る練習をする」「言葉が出ないから言葉を教える」といったことと同じで、根本的な解決につながりにくい場合もあると感じています。


未就学の時期に必要なのは、「一人でがんばらせる時間」ではなく、「一人でもがんばれるような環境と関わり方を、大人が一緒に身につけていく時間」です。

つまり、幼児期は「できる・できない」を問う時期ではなく、「できるための素地を育てる時期」なのです。

素地が育っていけば、保護者の方がそばにいても、子どもはちゃんと集中して取り組めるようになります。

実際、ゆずの療育では、保護者の方が隣にいらっしゃることがほとんどですが、それでもお子さんが課題にしっかり集中している場面は日常的に見られます

わざわざ親子を引き離さなくても、その力は育つのです。

ゆずが「あとからのフィードバック」を基本にしない理由

先ほどからお伝えしている通り、ゆずでは、「療育が終わってから改めてまとめてお話しする」というスタイルは、基本的にとっていません。

未就学のお子さんの発達にとって大事なサインは、ほんの一瞬の表情や、ささやかな動きの中に隠れていることが多いからです。

  • 「お母さん、今の表情、気づきましたか?」
  • 「さっきおもちゃに手を伸ばしたときの、あの動き、見ましたか?」
  • 「今のちょっとした一言、聞きました?」

こういったものは、「その瞬間の空気」とセットでお伝えした方が、圧倒的に伝わりやすくなります。

そして何より大切なのは、お母さん・お父さんが「今、聞きたい」「今、確かめたい」と感じたその瞬間を逃さないことだと考えているからです。

これが「ゆずが保護者支援に力を入れている」と言える一つの理由です。

「目の色が変わる瞬間」を、その場で一緒に見る

ゆずの個別療育の中で、私がいちばん大事にしているのは、お母さん・お父さんの「目の色が変わる瞬間」です。


たとえば、以前、年中のお子さんとの場面で、こんなことがありました。

遊びの途中で、そのお子さんがふと見せた、ほんの小さな仕草がありました。

私から見ると、「これは発達の大事なサインだな」という瞬間でした。


私はすぐそばにいたお母さんに、こうお伝えしました。

「お母さん、今の動き、見えましたか?このちょっとした動きが、この子にとっての『YES』のサインなんですよ。」

そうお話しすると、お母さんの表情がパッと変わりました。

「ああ、そうなんですね!これ、家でも同じようなことをしているんですけど、まさかそんな意味があるとは思っていませんでした。」

この「えっ、そうだったんだ」という気づきの瞬間こそが、ゆずが「リアルタイムで一緒にいる」ことにこだわる理由です。

その場で一緒に見て、一緒に驚いて、一緒に意味づけをする

これが、「家に帰ってからの関わり」を変えていく、大きなきっかけになります。

「あとで聞こう」と思っても、聞けないことが多い現実

一方で、療育がすべて終わったあとに、「では、今日の様子をフィードバックしますね」と時間をとるスタイル。

もちろん、それはそれでていねいな形に見えます。


けれど保護者の方からは、こんな本音をうかがうこともあります。

「聞きたいことがあったんですけど、終わってからのフィードバックの時間になると、うまく言葉にできなくて・・・。結局、聞けなかったんです。」

「『さっきの場面』について聞きたかったのに、時間がたつと、どのタイミングのことだったか自分でも分からなくなってしまって。」

「あとで聞こう」は、頭の中では覚えているつもりでも、いざその時間になると、遠慮が出てきたり、うまく思い出せなかったりして、質問できずに終わってしまうことが少なくありません。

忘れてしまうこともあるでしょう。

だからこそ、ゆずは「終わってからまとめて説明する」のではなく、「今、気になったことを、今のうちに一緒に言葉にしてしまいましょう」というスタイルを大切にしています。

ゆずの個別療育は「子どもの時間」でもあり「親の学びの時間」でもある

ゆずの個別療育では、お子さん、保護者、担当者の3者が、同じ場・同じ時間を共有します。

療育の最中でも、「今の声かけ、家ではどうしたらいいですか?」「こういうとき、叱るべきなのか、待ったほうがいいのか分からないです」といった質問を、遠慮なくその場で投げかけていただいています。

それに対して担当者も、「今の反応は、こういう理由があって起きていると考えられますね」「こうすると、お子さんはもう少しやりやすくなりますよ」と、リアルタイムでお伝えしていきます。


実際に、ゆずをご利用の保護者の方は、メモ帳を持参してメモを取りながら話を聞かれる方、ご家庭の様子をスマホにまとめてこられて、「家ではこんな感じなんです」と情報共有をしてくださる方、など療育時間に担当者と積極的に話をされる方が多いです。


先日もご見学にこられた方が仰っていたのは、「療育を考えたのは、私自身がこの子のことを、もっと知ってあげるために、私が色々知りたいと思って」という言葉でした。


ゆずをご利用の保護者の方は、皆さん「この子のために、まず自分が学びたい」「家庭でもできることを、一つひとつ増やしていきたい」という想いで来られています。

もちろん、色々な考えがありますので、それが正しいとは断言しません。

でも、私たちは「保護者の方が我が子を理解すること。それこそが最も子どもが伸びることにつながる」と考えていますし、実際そのように取り組みを続けてこられた方は、お子さんの変化を実感しておられるからこそ、言えることなのです。

ゆずが選んでいるのは、「事業所の都合」ではなく「親子の未来」

親子を別室にするスタイルは、事業所にとっては(運営上)確かに動きやすい形です。

  • その場でのやり取りを最小限にできる
  • スタッフ側のペースで進行しやすい
  • 説明を「あとでまとめて」行える

現場の事情として、そのほうが進めやすい面があるのも事実だと思います。

でも、ゆずはその「進めやすさ」のために、親子が同じ場で学べる機会を失いたくはありません


ゆずでは、以下のようなことを大切にしています。

  • 目の前で起きた発達のサインを、その瞬間に親御さんと共有すること
  • お母さん・お父さんの「今、聞きたい」に、その場で応え続けること
  • その積み重ねで、家に帰ってからの関わり方が変わっていくこと
  • そして、今以上に「我が子の味方」でいてあげること

だからこそ、ゆずは「親子をあえて分ける個別療育」を選びません。


未就学の今だからこそ、お子さんの発達のサインを、保護者の方のご自身の目で見て、耳で聞いて、心で受け取ってほしいのです。

そのために、私たちは手間も時間もかける努力を惜しまずに、リアルタイムでの対話と、親子同室の個別療育にこだわっています。


そして、ゆずが未就学の療育にこだわる理由がもう一つあります。

それは、人の脳は幼児期に土台が大きく形づくられ、その後の発達のしやすさに影響していくからです。

だからこそ、「幼児期にどのような療育を受けたか」が、お子さんのその後に大きく関わってくる時期だと考えています。

もっとはっきり言うと、脳の発達の観点から見れば、幼児期の療育をどう積み重ねるかは、その後の学びや生活の土台に直結すると言えるのです。

だからゆずは幼児専門の療育に特化し、人生の基礎を作ることにフルコミットしているのです。

こんな方に、ゆずの見学に来てほしい

もちろん、「どのスタイルが正解か」は、ご家庭によっても、お子さんによっても違います。

ただ、もしあなたが、

  • 未就学の今のうちに、子どもの発達のサインをきちんと知っておきたい
  • 子どもを「預ける」だけでなく、自分自身もいっしょに学びながら関わり方を変えていきたい
  • 「あとからまとめて話を聞く」よりも、「その場で一緒に考えたい」と感じている

そんなお気持ちを少しでもお持ちでしたら、ゆずの個別療育のスタイルは、きっと力になれると思います。

「まずはどんな雰囲気なのか知りたい」
「リアルタイムでの関わり方を、一度見てみたい」

そう思っていただけた方は、どうぞ気軽に見学にいらしてください。


現在、本山ルームでの見学では、私(理学療法士 西村猛)と言語聴覚士の西村千織が同席し、担当スタッフと一緒にお子さんの様子を見ながら見立てを行っています。

そのうえで、お子さんの特性や今後の関わり方についても、担当スタッフと一緒に丁寧にお伝えしています。


そのために、ゆずのスタッフは、日々コツコツと学び、努力を続けています。

一般的な療育では求められないようなレベルの対応が必要になることもありますが、それでもお子さんと保護者の方のためにと向き合い続けている姿は、本当に頼もしいものです。


親子同室での療育は、実際にその場で見ていただくと、「あ、こういう関わり方なんだ」と感じていただけると思います。

お子さんの様子を一緒に見ながら、その意味をその場で共有していく時間を、ぜひ一度体験してみてください(無理な勧誘などは一切しませんので、安心してお越しください)。


見学時も、いつもの療育の時間も、いっぱい担当者とお話をしてください。

療育の本当のすごさに気づいていただけると思います。


ゆずが目指す療育は、「我が子がもっと愛しくなる療育」です。

それこそが、親子同室で個別療育を行う理由です。