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【小さな療育事業所の運営戦略】魅力的な療育事業所作りのポイントは、教材や具体的なプログラムではなく、「理念」と「人」

株式会社ILLUMINATE代表取締役の西村です。

私は、療育事業所運営において、最も気をつけていることがあります。

それは、事業所の魅力を作るためのポイントとして、見た目にエネルギー(リソース)を割かない、ということです。


ここで言う「見た目」とは、「教材の種類や洗練度」や「部屋の内装の綺麗さ」「◯◯法といったような特定プログラム」など、「一見、魅力的に見える部分」を指します。

反対に大切にしているのは、そして時間を割くのは、「理念の構築」や「スタッフへの理念伝達」「スタッフの育成」です。

これらは流れ作業で運用できるものではなく、常にPDCAサイクルを回さなければならないものです。

そのため、「見た目」のものよりも、手間と時間が取られますし、何より大変です。


理念については、理念そのものを大きく変えることはありませんが、「理念をスタッフにきちんと浸透させる」という意味では、とても時間がかかる作業です。


人についても同様で、キャラも考え方も、働く意味も違う人(スタッフ)に対して、その人に合わせた方法で助言していくことが必要ですし、一歩間違えると離職につながるリスクもあるため、これまたしんどい作業です。

実際に、理念の伝達がきちんとできておらず、また会社としての指導内容に誤解が生じたことで、離職につながった事例も数多く経験しています。


私自身のこういった経験から、理念の浸透と理念の実現に向けての具体的な手法について、(スタッフのキャラに合わせて)考えていくことが、最も重要だと考えるようになりました。

なぜなら、療育実践は「属人的な活動」であるからです。

どこかのレストランの、「ロボットが料理を運ぶ」というような「画一的なサービスであっても、それは質の低下につながらない」というようなものではありません。


療育の中心には、必ず「人」がいます。

それは、保護者、子ども、支援者、だけでなくオーナーや管理者も療育を構成する人です。

その人と人の関係性の中で、保護者は我が子に合った療育事業所を選びます


利用者確保という課題を考えた時、すぐに思いつくのが「見た目をよくする(内装をおしゃれに)」「教材にこだわる」「◯◯法といった仕組みを導入する」などでしょう。

しかし、スマートな保護者は、見た目をあまり重視しません

もちろん古い内装の事業所よりも新しいホテルのような内装の方が、パッと見た瞬間「うわー、キレイ!」となり好印象でしょう。


しかし、目は慣れてきます

通う間にそのキレイな内装やおしゃれな教材は、さほど重要な意味を持たなくなってきます。


そのことよりも、「先生(支援者)が我が子にどのように向き合ってくれているのか」「我が子は楽しく通えているのか」(親子通所型の事業所だと)「自分(保護者)が受け入れられているのか」などの思いや心配は、利用中ずっと心の中にあります。


そして、もし「スタッフから辛辣な言葉を投げかけられた」「我が子が否定されていると感じた」「子どもが行きたくないと言い出した」などがあれば、いくらキレイな室内とおしゃれな教材があったとしても、辞めることの決断につながります。

決して「辞めたいけど、あの事業所さんは部屋もおしゃれだし、おもちゃもおしゃれなものが揃っているし、辞め難いなあ」とは思わないということです。


つまり、辞めたくならない事業所にしていくために、中身をブラッシュアップしていく必要があると言えます。


余談ですが、これはスタッフの求人でも同じことが言えます

給与の額を他所より高くすることで、魅力を感じさせるような求人をしていたとします。

しかし高額な給与につられて入職してきたスタッフは、貴所を「給与が高額な職場」として認識しているため、「もっと高額な給与の事業所」が現れれば、すぐに転職してしまうことにもなるでしょう。

もしくは、業務の中で入職前に思っていたことと違うこと(例えば新しい業務・難しい業務)が出てくれば、「割が悪いので、辞めます」といったことも起こりうるでしょう。


そうならないためにも、「理念の構築とブラッシュアップそしてスタッフへの浸透」「スタッフの成長のためにリソースを割く」ことが、利用者からも、そしてスタッフからも信頼される事業所になるためには最も重要だと考えています。


洗練された教室・教材・単一化された療育手法などを提供できるのは、フランチャイズ事業所さんや資本力の強さで運営されている大手事業所さんだけです。

個人が設立した療育事業所さんは、大手事業所さんとは違った手法で運営しなければ、勝ち残っていくことはできません


そのため、弊所を含む小さな事業所は、大手事業所の手法を真似していてはいけません。

規模も小さく、スタッフも少ないけれども、その地域で愛され、多くのファンに慕われている町の小さな繁盛店のような手法(戦略)を取っていく必要があります。


その第一歩が「理念構築」と「スタッフ育成」にリソースを割くことなのです。

その決断ができるのは、オーナーさんだけなのです。

信頼される事業所作りを考えておられるオーナーさん、新しく事業所を設立しようと考えておられるオーナーさんは、理念構築と伝達、スタッフ育成の観点から「できること」を考えてみられてはいかがでしょうか。

弊社では療育事業所様向けコンサルティングを行っています。
理念構築やスタッフ育成に悩まれたら、弊社コンサルティングサービスをご利用ください。