運動療育で育つのは「運動」だけではありません|1か月の振り返りで見えてきた子どもたちの変化

ゆず代表の西村猛です。

発達支援ゆずでは、今年6月からマンツーマン運動療育(3か月プログラム)をスタートしました。

定員は4組様で、現在は第一期の4名のお子さんが、それぞれのペースでプログラムに取り組んでいます。

このプログラムでは、担当保育士が毎回の運動療育を行うだけではありません。


保育士がゆずオリジナルの「運動発達評価チャート」をもとに、今のお子さんの運動発達段階を評価し、その後理学療法士である私が、お子さん一人ひとりの運動発達を評価チャートの結果ともに見立てを行い、担当保育士とお子さんに合った個別運動プログラムを立てます。

その後、1か月・2か月の時点で振り返りを行い、そのお子さんに合ったプログラムへと調整しています。

もちろん、保護者の方にまとめとして、経過と今後についての懇談を行います。


さて、今回の第一期のお子さん方が、1か月目(お子さんによっては2か月目)の振り返りの時期となり、保護者の方と懇談をしました。

運動療育は「運動をする時間」ではありません

運動療育というと、「体を動かして運動能力を高める」というイメージを持たれる方が多いかもしれません。

もちろん、運動機能を育てることは大切な目的の一つです。


しかし、私たちが目指しているのは、それだけではありません。

まず、お子さんの運動発達を評価し、「今、どのような力が育っていて、何が必要なのか」を見立てます。

その上で、お子さんの好きな遊びや感覚刺激も取り入れながら、一人ひとりに合わせたプログラムを作成しています。

みんなで一緒に運動を行う形ではなく、マンツーマンで行うのには理由があります。

それは、「お子さんの感覚特性や指示の入り方なども考慮したうえで、負担のないプログラムを実践できること」「変化に気づきやすくなるため、必要時にすぐにプログラムの修正ができること」など、多くのメリットがあるからです。

「少し頑張ればできる」が成功体験につながる(Sくんの成長)

今回ご紹介するのは、年長の男の子(Sくん)です。

Sくんは体のコントロールもまずまずうまく、さまざまなことに挑戦できる力を持っています。

一方で、集団の中では、下記のようなことに難しさがありました。

  • 決められた手順で進めていくこと
  • 相手の話を聞いてから自分の発言や行動を決めること
  • 友達と折り合いをつけること

そこで私たちは、「難しいことを頑張らせる」のではなく、今の運動課題や気持ちの状況を見たてたうえで、「自信をもってできる」または「少し頑張ればできる」という課題設定を大切にしました。

担当保育士がお子さんのその日の様子を見ながら難易度を調整し、お子さんが安心して取り組める環境(好きな感覚刺が入った遊びなどを設定)をつくり、少しずつ成功体験を積み重ねていきました。

また、Sくんの気持ちの状態を適宜確認しながら、自ら進んでトライできるような形でマンツーマンでの運動療育を行いました。


その結果、1カ月が経過した時点でSくんは、運動面の成長はもちろんのこと、集団の中で順番を待てるようになったり、相手の話を聞いて行動や発言を決められる場面が増えたりと、社会性の面でも変化が見られるようになりました。

ご家庭との連携も大切な支援です

今回の変化は、運動療育だけで生まれたものではありません。


初回評価の際、私たちはご家庭にも、お子さんの特性に合わせた関わり方をお伝えしました。

例えば、お父さんは「楽しい」を担当する存在。お母さんは「安心」を担当する存在。

そんな役割を意識しながら、ご家庭でも関わっていただきました。


1か月後の面談では、お母さんから「お父さんがピエロ役(Sくんを楽しませる)に徹してくれたおかげで、子どもがとても楽しそうに過ごせていました」「家でも気持ちに余裕が出てきたように感じます」とのご報告をいただきました。

運動療育での関わりと、ご家庭での取り組み。

その両方が重なったことで、Sくんの安心感や心の余裕につながり、日常生活にも良い変化が現れてきたのではないかと考えています。

実は、これこそが、ゆずが大切にしている運動療育の効果なのです。

運動療育だから、体を発達させることだけを目指すのではない、という意味です。

運動は「目的」ではなく「手段」

私たちは、「運動が上手になること」だけを目標にはしていません。

運動を通して、下記のような効果を引き出すことを大切にしています。

  • 自信を育てること
  • 安心して挑戦できる経験を積むこと
  • 人との関わりや社会性につながる土台を育てること

もちろん、お子さんによって現れる変化はさまざまであり、今回の変化がすべて運動療育だけによるものとは言えません。

しかし、一人ひとりに合わせた課題設定や、安心して取り組める環境づくり、そしてご家庭との連携が重なることで、運動面だけではない成長につながる可能性を、私たちは今回の振り返りで改めて感じました。

Sくんは、運動療育のかかわりの中で培った「心の余裕」があることで、日常生活の質(QOL)を高めることができました。

保育士の丁寧なかかわりもさることながら、やはりご家庭とゆずが連携してSくんへ同じ視点で関わったことが、何より効果的だったと感じます。

やはり療育の効果は、事業所とご家庭の共通認識(同じ方向性を持つ)ことで生まれるといえます。

余談ですが、私がいつもお伝えしている「複数の療育を受けるときに、方向性が違う事業所を選ぶと効果は引き出しにくい」ということと同じだなと思いました。

今後も子どもたちの変化をお伝えしていきます

現在、マンツーマン運動療育は3ヶ月を1クールとして、人数限定で実施しています。

理学療法士と担当保育士が毎月振り返りを行い、一人ひとりに合わせてプログラムを調整していくため、一度に多くのお子さんをお受けすることはできません。

そのため、現在はご希望いただいている方に順番にお待ちいただいています(最短で9月スタートです)。


現在ご利用の4組のお子さん方も、それぞれ異なる変化が見られています。

今後のブログでは、それぞれのお子さんの事例や、3か月を通してどのような成長が見られたのかについても、少しずつご紹介していきたいと思います(もちろん個人が特定できない形でご紹介します)。


運動療育には、まだあまり知られていない可能性があります。

今後も、「暮らしをよくする運動療育」の効果について、ご紹介できればと思っていますので、お楽しみに。

マンツーマン運動療育を受けてみたいと思われた方へ

現在9月開始の方を募集しています(4枠のうち2枠に空きがあります)。

受けてみたいと思われた方は、下記マンツーマン運動療育の詳細ページをご確認いただき、フォームよりお申込みください。


なお、運動療育の特性上、運動療育が合わないお子様もおられます(例:運動が負担になる方など)。

「うちの子は対象になるのかな?」と思われた場合は、まずは見学申し込みフォームの「運動療育について相談したい」にチェックを入れてください。

ご見学時に代表(理学療法士)がお子さんの様子を拝見したうえで、適応についてお答えいたします。