
こんにちは。発達支援ゆず代表の西村猛です。
今回は、時々いただくご質問、「ゆずでは、お子さんの療育を担当するスタッフをどのように決めているのですか?」についてお答えしたいと思います。
見学の際、「言葉が遅れているので、言語聴覚士さんに見てもらいたいです」「手先が不器用なので、作業療法士さんを希望しています」といったご希望をいただくことがあります。
もちろん、ご希望やお困りごとはしっかりお聞きします。
ただ、ゆずでは、「STを希望されたからST」「OTを希望されたからOT」という形で担当を決めているわけではありません。
以前の記事でも、「言葉が遅れているからといって、言語聴覚士が担当するとは限らない」というお話を書きました。
では、何を基準に担当を決めているの?
ゆずでは、見学の段階からお子さんの様子を見ています。
基本的には、私、西村猛(理学療法士)、または言語聴覚士の西村千織がスタッフとともにお子さんを見させていただきます。
必要に応じて、二人で一緒に見立てを行うこともあります。
私たちはそれぞれ、神戸市総合療育センター、姫路市総合福祉通園センターといった公的療育機関で勤務してきました。
療育センターでは、まずお子さんを見て、保護者の方からお話を聞き、評価・見立てを行います。
その上で、「今のお困りごとの背景には何があるのか」「どのような支援が必要なのか」を考え、必要な療育や専門職につないでいきます。
療育センターでは、これが当たり前の流れです。
療育センターでも希望は聞いてもらえますが、どのセラピーになるか、保育になるか、は見立てをしたセラピストやケースワーカーなどの意見をもとにチームで結論を出し、医師から伝えられます。
ゆずでも、同じ仕組みです。
児発管が保護者の方からヒヤリングをします。担当者が見学時にお子さんと遊びながら見立てをします。私と言語聴覚士西村千織が遊びの様子から専門的評価を行い、その後児発管やスタッフと情報交換をして、最終的に担当部門を決定します。
そのため、当初のご希望通りにはいかないご案内になることもあります。
なぜご希望どおりにいかないことがあるのか、分かりやすい例でご紹介します
例えば、あなたが体の不調で病院にかかったとき、医師が「じゃあ、とりあえず薬出しますね」とは言わないですよね。
「まずは、不調の原因を探すため、検査をしましょう」と言うはずです。
いくらあなたが、「多分偏頭痛だと思うので、ロキソニンを処方してください」といったとして、医師は「じゃあ、ロキソニンだしときますね」とは言わないですよね。
なぜなら、医師は健康や病気に関するプロだからです。
一方で、あなたが美容院に行ったとします。
美容師さんに「ショートボブににしてください」と言えば、美容師さんは「この人の髪だと、ショートボブよりセミロングのほうがまとまりがいいけどなあ」と思ったとしても、「ショートボブですね。わかりました」と希望を叶えてくれると思います。
なぜ医師と違って美容師さんは「こっちのほうがいいと思うけど」と思いながらも合わせてくれるのでしょうか。
美容師さんだって、髪のプロなのに。
その違いは、リスクです。
【医師の例】
間違った判断が「取り返しのつかないことにつながる」リスクにつながります。患者の想いを尊重するということと、治療について方針を決めるということはしっかりと分けられています(そのため美容師さん以上に「信頼関係」が重要になります)。
【美容師の例】
お客さんが希望した髪型はあまり似合わない・実は髪がまとまりにくいなどがあっても、生活や健康のリスクはありません。「いいと思ったけど、自分にはあまり似合わなかった。今度は違う髪型にしよう」といったように、いくらでも修正や挽回ができます(信頼できなくても腕がよければお願いすることもあります)。
もうお分かりですよね。
療育で「どのような内容のプログラムを行うか」「誰が、どのように担当するか」は、医師の例と同じです。
なぜなら、(特に幼児期の)療育が失敗しても「またやり直せばいいや」と笑っていえるようなものではないからです。
検査(医師のプロとしての見立ても含む)をしていない段階で薬の処方が出ないのと全く同じで、お子さんの評価も終わっていない段階で「何を取り組むべきか」は分からないです。
むしろ保護者の方の意見通りに(見立てもなしに)通ってしまうような療育は「プロの療育ではない」と考えています(多分片頭痛なんでロキソニンください→OK!という病院は絶対ヤブですよね笑)。
だから、ゆずでは「保護者の方のご希望はしっかりと伺うが、どのような療育プログラムを進めるか、どの職種が担当するかは、ゆずが(私を含むスタッフで)決める」という方針です。
もちろん方針が決まれば、根拠をしっかり添えて、「これが今のお子さんにとって最良の方法である」ことを丁寧にお伝えし、納得していただけるようご説明します。
困っていることと、必要な療育は同じとは限りません
例えば、「言葉が遅い」というお困りごとがあっても、必ずしも最初から言語聴覚士による療育が適しているとは限りません。
お子さんを見てみると、まずは遊びを広げたり、人とのやり取りを増やしたりすることが大切で、保育士との療育から始めた方がよい場合もあります。
「手先が不器用」という場合も同じです。
手先そのものより、姿勢や身体の安定に課題があるのであれば、まず身体の土台から取り組んだ方がよいこともあります。
今、目に見えている困りごとと、その背景にある課題は必ずしも同じではありません。
だからこそ、最初の見立てが必要なのです。
必要な療育と、実際にご案内できる枠は別です
もう一つ、ご利用前に知っておいていただきたいことがあります。
見立ての結果、例えば「言語聴覚士による療育が合っている」と判断したとしても、必ず言語聴覚士の療育をご案内できるとは限りません。
各スタッフが担当できる人数には限りがあり、曜日や時間帯によっては、すでに枠が埋まっていることがあります。
他の曜日や時間帯でも来ていただける場合には、空いている枠をご案内できることがあります(それも満席だと難しいですが)。
一方、ご利用可能な曜日や時間が限られている場合には、適した療育をご提案できても、その担当者の枠をご用意できないことがあります。
特に、すでに複数の療育を利用されていて、通える日や時間帯が限られている場合、ご案内が難しくなることがあります。
理由は、選択肢(ご来所可能は日や時間帯)が少なくなるほど、こちらの空き枠と合わなくなるためです。
そのため、「ゆずではこの療育を受けたい」とあらかじめ決めて来ていただいても、その通りにご案内できるとは限りません。
この点は、ご了承ください。
余談ですが、療育は信頼できるところで、二人三脚で積み重ねていくことが最良です(たくさんの療育を受けることは、お子さんの発達においてはマイナス効果が多いです)。
そのため「不安だから別の療育(ゆず)にも行かせたい」と思われる場合は、今通われている療育を増やされるか、または無理に増やさないか、といった方針を取られることをお勧めしています。
その方がお子さんも「療育漬け」にならず、安心です。
「何を受ければいいか分からない」で大丈夫です
むしろ、見学前に保護者の方が、「STがいいのかな?」「OTに見てもらった方がいいのかな?」「うちの子には保育?」「どんな療育を受ければいいんだろう?」と考えていただく必要はありません。
まず、お子さんのお困りごとをお聞かせください。そして、実際のお子さんの様子を見せてください。
そこから私たちが見立てを行い、「今のお子さんには、まずここから始めるのがよいと思います」と、その理由とともにご提案します。
そして、その内容と実際の空き枠、ご利用いただける曜日・時間をすり合わせながら、担当を決めていきます。
- 職種を決めてからお子さんを見るのではなく、まずお子さんを見る。
- 見立てた上で必要な療育を考え、実際にご利用可能な枠と合わせて担当を決める。
これが、発達支援ゆずでの担当者の決め方です。
「誰に見てもらえばいいのか分からない」という状態で大丈夫です。
何が必要なのかを考えるところからが、私たち専門家の仕事だと考えています。
ゆずの見立てと方向性を信じていただけるかどうか、つまり私たちが「大切なわが子を任せていいかどうか」「信用に足る事業所であるかどうか」については、お問い合わせへの返答や対応、ご見学時の見立てやご説明から、保護者の方がご判断ください。
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