発達支援ゆずが、放課後等デイサービスをしない理由

こんにちは。ゆず代表の西村猛(ゆずのおっちゃん)です。

発達支援ゆずは、未就学のお子さんを対象とした児童発達支援の事業所です。

ときどき保護者の方から、「小学校に入ってからも、ゆずを利用できますか?」「放課後等デイサービスはしないんですか?」と聞かれることがあります。

「ぜひ作ってほしいです!」とご希望をいただくこともあります。とても嬉しく、ありがたいお言葉だと感謝しています。


ですが、ゆずは今後も放課後等デイサービス(放デイ)を実施する予定はありません。

そしてこれは、たまたま放デイをやっていないということではなく、あえて未就学期の発達支援に専門特化するという選択をしています。

今回は、その理由について少しお話ししたいと思います。

児童発達支援と放デイは、単に年齢が違うだけではありません

児童発達支援と放課後等デイサービスは、同じ通所支援施設ではありますが、対象となる子どもの生活は大きく異なります。

幼児期は、ことば、運動、手指の操作、遊び、コミュニケーション、生活習慣など、さまざまな力の土台が育っていく時期です。

一方、小学生以降になると生活の中心に学校が入り、学習、友人関係、集団生活、自己理解など、向き合う課題も変わってきます。

国のガイドラインでも、児童発達支援と放課後等デイサービスには、それぞれの発達段階や生活に応じた役割が示されています。


私は、この二つを単純に「幼児版の療育」「小学生版の療育」と考えるものではないと思っています。

「何でもできる」より、幼児期に強い事業所でありたいと考えています

児童発達支援と放課後等デイサービスの両方を運営する「多機能型」の事業所もあります。

これは制度上認められた運営方法ですが、発達支援ゆずでは、この形を選んでいません。


一番大きな理由はスタッフの専門性です。

幼児期の発達支援を深く行おうとすると、スタッフは幼児期の発達について学び続けなければなりません。

ことばはどう育つのか。身体の使い方はどう発達するのか。遊びはどう変化していくのか。手先の操作、認知、コミュニケーション、生活動作はどう育っていくのか。

そして、目の前のお子さんを評価して、「今、何が必要なのか」を考える力も必要です。


学齢期には、また違った専門性が必要になります。


両方を高いレベルでスタッフに求め続けることは、私は簡単ではないと思っています。

対象を広げれば広げるほど、どうしても「幅広く平均的に対応する」という方向になりやすいです。


だからゆずは、対象を広げるより、幼児期の専門性を深めることを選んでいます。

経営だけを考えれば、放デイをした方がメリットもあります

これは事業所を運営する側の話になりますが、あえて書いておきます。

児童発達支援には、経営上の難しさがあります。

子どもたちは小学校に入学すると卒業します。

毎年必ず利用者が入れ替わるため、新しく利用してくださるお子さんがいなければ、利用者数は減っていきます。


一方、児童発達支援と放課後等デイサービスを一緒に運営すれば、就学後も同じ事業所を利用していただくことができます。

放課後等デイサービスへのニーズが高い地域であれば、利用者を確保しやすく、経営を安定させるという意味でもメリットがあります。


つまり、経営の安定や運営のしやすさを考えれば、多機能型事業所にはメリットがあります。

それでも、ゆずはその方法を選びません。

経営的にメリットがあるということと、私たちが考える発達支援として意味があるということは、必ずしも同じではないからです。

「預かり」と「発達支援」は分けて考えています

ここは、私自身の考えとして少し踏み込んでお話します。

放課後等デイサービスには、学校が終わった後に子どもが安心して過ごせる場所としての大切な役割があります。

保護者の方が仕事をしている間、安全に過ごせる場所がある。その役割には十分な社会的価値があると思っています。


一方で、私は「預かること」と「発達支援をすること」は同じではないと考えています。


何か活動をすれば療育になるわけではありません。

発達支援を行うのであれば、その子の現在の発達を見て、課題を考え、必要な支援を組み立て、実践し、また評価する。

ゆずが大切にしているのは、この「評価と見立て」です。


だからこそ、対象年齢をどんどん広げていくよりも、まず自分たちが専門とする幼児期について、しっかりと質を高めていきたいと考えています。

小学生を見ているからこそ、幼児期の大切さが分かります

ゆずでは、児童発達支援とは別に「寺子屋ゆず」という学習支援の場も運営しています。

寺子屋ゆずは、読み書きや算数・英語などの学習に困り感のある子どものための個別学習塾です。

一人ひとりの「どこでつまずいているのか」を確認しながら、その子に合った学び方を一緒に考え、マンツーマンで学習を進めています。


そこで小学生や中学生の子どもたちを見ていると、改めて幼児期の重要性を感じることがあります。

例えば、「算数が苦手」「文章題が分からない」「漢字を書くのが大変」といった問題です。

一見すると学校の勉強の問題に見えます。

ところが丁寧に見ていくと、ことばの理解、数量の概念、手指の操作、見る力、聞いて理解する力など、もっと前の発達の土台が関係していると考えられるケースに出会うことがあります。


もちろん、すべての学習上の困難が幼児期に原因があるという意味ではありません。

ただ、小中学生の支援をしているからこそ、「幼児期にできることを、幼児期に丁寧にやっておくこと」の大切さを、私たちは以前にも増して感じています。

だから、ゆずは幼児期に力を注ぎます

「小学生になってから困らないように、幼児期に何でもできるようにしておく」という意味よりも、むしろ「その子なりの発達の土台をつくっておく」ことが大切だと思っています。

なぜなら、「幼児期は人生の土台作りを行う時期」だからです。

この幼児期をどのように過ごし、どのように関わってあげるかで、そのお子さんの人生の方向性までも変わるぐらい、幼児期は大切な時期です。

そして保護者の方にも、お子さんの得意なこと、苦手なこと、どういう関わり方が合っているのかを知っていただく。


そのために、限られたスタッフ、人材育成、時間、設備といったものを、未就学期の発達支援に集中させる。

それが発達支援ゆずの選択です。

就学後は、必要な支援につないでいく

もちろん、小学校に入ったら「ゆずとの関係はすべて終わり」ということでもありません。

先ほどご紹介した「寺子屋ゆず」では、就学後に学習面で困りごとが出てきた子どもたちの支援を行っています。

また、学校生活の中で支援が必要な場合には、発達支援ゆずの「保育所等訪問支援」を利用することもできます。

保育所等訪問支援では、訪問支援員が実際に小学校を訪問し、お子さんの様子を確認します。そのうえで、学校の先生と一緒に、環境の整え方や関わり方、必要な配慮などを考えていきます。

つまり、発達支援ゆずで行ってきた療育を、そのまま就学後まで続けるのではなく、成長や生活する場所に合わせて支援の形を変えていく、ということです。

就学前には、就学前に必要な支援を。
就学後には、その時点で必要な支援を。

一つの支援を長く続けることではなく、その時々の子どもに必要な支援につないでいくことを、私たちは大切にしています。めています。

「未就学児専門」は、ゆずのこだわりでもあり、自信でもあります

放課後等デイサービスがないことを、「小学校に入ったら利用できなくなる」と考えれば、確かにデメリットかもしれません。

でも、私たちは逆に考えています。

利用できる年齢を広げないからこそ、幼児期の発達支援に集中できる。


何でもできる事業所を目指すのではなく、幼児期のお子さんを安心して任せていただける、幼児期の発達支援に強い事業所でありたい。

そして、それは一歩ずつですが、開所以来着実に前進している、という自負があります。


だからこそ、お子さんの大切な幼児期に「今、この子に何が必要なのだろう」ということをご家族と一緒に考える。

そして、お子さんとご家族に伴走していく。

ここに全エネルギーを集中させていく。

ゆずに通ってくれるお子さんたちが大きくなった時、毎日が楽しく、明るく、ご家族に愛されながら、そして人生を謳歌してもらうために。

そのために私たちは、幼児期に全力で向き合いたい。

それが、発達支援ゆずが未就学専門にこだわり、放課後等デイサービスを行わない理由です。