療育の質は「誰が担当するか」で決まる|発達支援ゆずが考えるプロの療育支援者とは何か

こんにちは。ゆず代表の西村猛(ゆずのおっちゃん)です。

これまで私は多くの療育事業所さんに対して、職員研修や管理者研修、コンサルティングを行ってきました。

ご依頼いただく事業所のスタッフの皆さんは、「もっと良い療育を提供したい」「もっと専門性を高めたい」という思いを持ち、とても熱心に学ばれています。

私自身も、その姿勢に触れるたび、多くの刺激をいただいています。


一方で、YouTubeライブで療育業界の課題についてお話しすると、「担当者が子どものことを見てくれない」「理由も説明されないまま療育が進んでいる」「本当に専門性があるのか疑問だった」といった体験談が、保護者の方から数多く寄せられます。

また、オンライン相談でも、支援者との関わりについて悩まれている保護者の方からご相談をいただくことがあります。


もちろん、すべての療育事業所や支援者がそうだとはいえません。

しかし、こうした経験を通して私が強く感じるのは、同じ資格を持ち、同じような経験年数であっても、支援者の専門性には大きな差があるということです。

では、その違いはどこから生まれるのでしょうか。

今回は、ゆずが考える「プロの療育支援者」とはどのような存在なのか、についてお伝えしたいと思います。

資格や経験年数だけでは、プロとは言えません

療育の世界では、保育士、児童指導員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、公認心理師など、さまざまな専門職がお子さんを担当しています。

これらの資格は、専門的な知識や技術を身につけるために必要なものです。

そのため、資格を取得することには大きな価値があります。


しかし、資格を持っていることと、高い専門性を発揮できることは同じではないんです。

また、意外かもしれませんが、「経験20年だから安心」「まだ3年目だから未熟」と単純に判断できるものでもありません。


同じ10年間働いていても、毎日同じことを繰り返してきた人(積み重ねがない人)と、常に学び続け、振り返りを重ね、知識や技術を磨いてきた人(努力の人)では、専門性に大きな差が生まれます。


療育は、目の前のお子さん一人ひとりが異なります。

同じ診断名であっても、困りごとの理由も、得意なことも、伸ばし方も違います。


だからこそ、本物のプロフェッショナルとは、資格や経験年数だけではなく、「学び続ける姿勢」と「子ども一人ひとりに合わせて考える力」を持った支援者だと、私は考えています。

療育支援者には、3つのタイプがある

これまでの療育事業所サポートの経験や、オンライン相談で数十組の保護者の方からご相談対応の経験から、私は療育支援者を大きく3つのタイプに分けて考えています。

あなたのお子さんの担当者はどのタイプなのかを考えながら、読み進めてみてくださいね。

タイプA:経験や勘を中心に支援する人

タイプAの支援者は、自分の経験や感覚を中心に療育を行います。

いわゆる勘に頼るタイプ。

「今までこうしてきたから。」
「何となくこの方法がいいと思う。」
「以前うまくいったから今回も。」


もちろん、経験は大切ですが、そのプログラムの理由を説明できなかったり、新しい知識を学ぼうとしなかったりすると、結局は経験則だけに頼るものになってしまいます。

それでお子さんが伸びると思いますか?もし伸びたとしても、それは「お子さんが本来持っている発達する力」で伸びただけかもしれません。


タイプAの方々は、私が全力で「担当を変えてもらったほうが良い」というグループです。

だって、後で「しまった!」と思っても、幼児期はもう二度と戻らない貴重な時期なのですから。

もし我が子の担当者がAタイプの方なら、悪いことは言わないですから、すぐに担当を変えてもらって下さい。遠慮とかしている場合じゃないです。

タイプB:理論を理解し、正しく実践できる人

タイプBは、専門書や研修で学んだ知識を理解し、それを正しく実践できる支援者です。

評価の方法を知っている。
支援の根拠を説明できる。
基本的な理論に基づいて療育を行える。

ここまでできれば、専門職として十分高い水準にあると言えるでしょう。

しかし、この段階は、あくまでも「理論を再現できる」段階でもあります。


Aタイプの方のように、「お子さんを大切に思うなら、担当してもらうのは遠慮しておきなさい」という方ではありません。

ですが、理論を知っているから良い療育実践ができるかというと、それはまた別問題です。

タイプC:理論を土台に、その子に合わせて支援を組み立てられる人

本当に難しいのはここからです。

例えば、同じASDという診断でも、困りごとは一人ひとり違います。

また同じ「鉛筆が苦手」という困りごとでも、「姿勢が原因なのか」「手指の操作性なのか」「視覚認知なのか」「感覚特性なのか」で、理由はまったく異なることがあります。


タイプCの担当者は、理論を知っているだけではありません。

その理論を土台にしながら、「この子には何が必要なのか」を考え、一人ひとりに合わせた支援を組み立てることができます。

要はケースバイケースで、個々に最適解を考えることができる方、ということになります。

私たちは、この力こそが療育支援者に求められる本当の専門性だと考えています。


なぜなら、このタイプの方に担当してもらえることができると、お子さんとご家族にとって必ずといっていいほどプラスの効果を引き出してくれるからです。

いわゆる「当たり」の担当者です。もし偶然Cタイプの方に担当してもらえたら、そのご縁を大切にしてください。


反対に言うと、Aタイプの担当者は?

そうです「ハズレ」です。


実はあなたが気づかないだけで、確実に療育における「担当者ガチャ」は存在します。

「そんなのおかしい?」

いいえ、それが療育業界の現状です。担当者の質の高さは、事業所運営の可否に関係しませんから。

発達支援ゆずが目指しているのは、タイプCの支援者です

発達支援ゆずでは、タイプBで終わることをゴールにはしていません。

もちろん、理論を学び、基本を正しく実践できることは専門職として欠かせない土台です。


しかし、療育には「この方法をすれば必ずうまくいく」という万能なマニュアルはありません。

子どもが違えば、困りごとの理由も違います。
家庭環境も違います。
保護者の思いも違います。

これが、私がいつもいう「画一的な療育プログラムでは、お子さんの発達は最大には引き出せない」という根拠です。絶対に無理です。

療育は「属人的な取り組み」をしないと、お子さんの発達は最大になりません。


だからこそ、私たちは一人ひとりのお子さんを評価し、「なぜ、この子は困っているのか」「今、本当に必要な支援は何か」を考え続ける支援者を育てたいと考えています。


そのために、発達支援ゆずでは日々のケース検討や勉強会、多職種での意見交換を大切にしています。

保育士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など、それぞれの専門的な視点を持ち寄り、一人の支援者だけの考えで療育を進めるのではなく、チームとしてお子さんを見立てることを重視しています。


私たちが目指しているのは、「経験だけに頼る担当者」でも、「教科書通りに支援する担当者」でもありません。

理論を深く理解し、その理論を土台として、お子さん一人ひとりに最適な支援を組み立てられる担当者です。


もちろん、それは簡単なことではありません。

だからこそ、ゆずは現状に満足せず、学び続ける組織でありたいと考えています。

お子さんの担当者を、どのような視点で選びますか?

療育事業所を選ぶとき、「どこの事業所に通うか」はもちろん大切です。

しかし、それと同じくらい大切なのが、「誰がお子さんを担当するのか」という視点です。


もちろん、保護者の方が支援者の知識量や技術を見極めることは簡単ではありませんよね。

それを見分けられる方は、少ないと思います。


だからこそ、私たちは次のような点を見ていただきたいと思います。

  • プログラムの理由をわかりやすく説明してくれるか
  • 「できました」で終わるのではなく、「なぜできるようになったのか」を説明してくれるか
  • お子さんの強みだけでなく、困りごとの背景まで考えているか
  • 保護者の話に耳を傾け、一緒に考えようとしてくれるか
  • 「この方法しかありません」ではなく、お子さんに合わせてプログラムを組み立てようとしているか

さすがに担当者を選ぶことは、なかなかできないのが現状だと思います。

ですが、「見抜くこと」はできます。

見抜いた後、どう行動するのかは、それぞれの保護者の方が決めればいいと思っています。

保護者の方が、自分で利用する事業所を選べる「セルフプラン」の制度であればあるほど、「我が子にあった事業所選び」は保護者の手に委ねられています。

だからこそ、保護者もしっかり学ぶことで、後悔することのない事業所選びをしていただきたいと思っています。

おわりに

療育は、お子さんの「できる・できない」だけを見る仕事ではありません(これで満足している支援者も多いですけどね)。

困りごとの背景を考え、その理由を見立て、一人ひとりのお子さんに合ったプログラムを組み立てていく仕事です。


そのためには、資格や経験だけで満足するのではなく、学び続ける姿勢が欠かせません。

発達支援ゆずでは、理論を学ぶことを大切にしながら、その理論を目の前のお子さんに合わせて応用できる担当者を育てることを大切にしています。


「昨日よりも今日、今日よりも明日。」

こんな感じで担当者自身が成長し続けることが、お子さんへのより良い療育につながると私たちは考えています。


だからこそ、発達支援ゆずは「学び続ける組織」であり続けます。