
こんにちは。ゆず代表・理学療法士の西村猛です。
「また怒ってしまった……」
子育てをしていると、そんなふうに自分を責めてしまうことがあります。
朝の支度が進まない。
何度言っても宿題をしない。
同じ失敗を繰り返してしまう。
その瞬間は腹が立って仕方がないのに、あとになって「もう少し優しく言えなかったかな」と後悔する。
そんな経験をされたことのある保護者の方は少なくないと思います。
世の中には「怒らない子育て」や「アンガーマネジメント」に関する情報がたくさんあります。
もちろん、それらも大切です。
しかし私は、多くの保護者の方は怒りたくて怒っているわけではないと思っています。
その背景には、子どもへの深い愛情と不安があります。
今回は、脳科学で語られる「扁桃体ハイジャック」という考え方を通して、なぜ子どもを叱ってしまうのかを考えてみたいと思います。
なぜ冷静でいられなくなるのか
扁桃体(へんとうたい)は、脳の中で危険や脅威を素早く察知する働きを担う部分です。
心理学者ダニエル・ゴールマンは、強いストレスや不安によって感情が理性よりも先に反応してしまう状態を「扁桃体ハイジャック」と表現しました。
簡単に言えば、「考える前に反応してしまう状態」です。
もちろん、人の怒りをすべて扁桃体だけで説明できるわけではありません。
しかし、不安やストレスが強くなると冷静な判断が難しくなることは、多くの研究からも知られています。
私たちは子どもに怒っているのではないのかもしれない
ここで一つ考えてみたいことがあります。
子どもが宿題をしない。
すると、「何度言ったら分かるの!」と怒ってしまう。
でも、その奥には「勉強についていけなくなったらどうしよう」という不安が隠れていることがあります。
朝の支度が進まないときも同じです。
「早くしなさい!」という言葉の奥には、「学校で困るのではないか」「将来苦労するのではないか」という心配があるのかもしれません。
私たちは目の前の行動だけに反応しているのではなく、その先にある未来を想像して不安になっているのです。
叱ってしまう自分を責めなくていい
ここでお伝えしたいことがあります。
もしあなたが「また怒ってしまった」と自分を責めているのであれば、少し見方を変えてみてください。
本当に子どもが憎くて怒っているのでしょうか。
本当に困らせたくて叱っているのでしょうか。
おそらく違うと思います。
多くの保護者は、「幸せになってほしい」「困らない人生を歩んでほしい」と思っています。
だから不安になるのです。
だから感情が動くのです。
もちろん、怒鳴ったり強く叱ったりすることが良いと言いたいわけではありません。
ただ、「叱ってしまう私はダメな親だ」と結論づける前に、「私は何を不安に思っているのだろう」と考えてみてほしいのです。
大切なのは怒りを抑えることより、不安を整理すること
保護者支援の現場で感じることがあります。
それは、怒りだけを何とかしようとしても、根本的な解決にならないことがあるということです。
なぜなら、その奥にある不安が残ったままだからです。
将来への心配。
学校生活への(就学)への不安。
友達関係への不安。
発達への不安。
こうした気持ちが整理されないままでは、怒りだけを抑えようとしても苦しくなります。
だからこそ大切なのは、「私は何に不安を感じているのだろう」と考えてみることです。
ゆずが最初に見るのは「子どもの問題」ではありません
発達支援ゆずでは、保護者支援をとても大切にしています。
なぜなら、子どもだけを見ていても解決しないことがあるからです。
私たちはまず、保護者の方が何に不安を感じているのかを整理します。
そして、お子さんの様子を評価し、その不安の背景を一緒に考えていきます。
すると、実際に支援や工夫が必要な課題が見えてくることもあります。
一方で、思っていたほど心配しなくても良いことが分かる場合もあります。
どちらが正しいという話ではありません。大切なのは、不安の正体を明らかにすることです。
子どもには「その子らしくうまくいく方法」を探していく
私たちは、「できないことを無理やりできるようにする」ことだけを目標にはしていません。
苦手なことがあれば、どう工夫するか。どう環境を整えるか。どうすればその子らしく力を発揮できるか。
そうした視点で支援を考えます。
子どもには子どもの困りごとがあります。
保護者には保護者の不安があります。
その両方に向き合うことで、親も子も安心できると私たちは考えています。
叱ってしまったことを責めなくていい
子育ての中で不安になるのは、親として自然なことです。
そして、その不安が大きくなれば、感情が強く出てしまうこともあります。
だからもし、今日も子どもを叱ってしまったとしても、そのことだけで自分を責める必要はありません。
その怒りの奥には、「幸せになってほしい」という願いがあるはずです。
まずは怒りではなく、その奥にある不安に目を向けてみてください。
そこに、親子が少し楽になるヒントが隠れているかもしれません。
ゆずでは保護者の方の不安にも寄り添います
発達支援ゆずでは、お子さんへの支援だけでなく、保護者の方の不安や悩みを整理するお手伝いも大切にしています。
怒りを我慢する方法をお伝えするのではなく、「なぜ怒ってしまうのか」「その奥にどんな不安があるのか」を一緒に考え、親子が少し楽になる方法を探していきます。
また、怒りの奥にある不安を整理し、気持ちを落ち着けるための簡単な方法についてもお伝えしています。
もし一人で抱え込んでしまっていることがあれば、いつでもご相談ください。
親子で学べる療育教室 発達支援ゆず
