
こんにちは、ゆず言語聴覚士の西村千織(むぎちょこ)です。
先日、守口市役所さま主催の研修にて、保育士の先生方に向けた講義に登壇させていただきました。
(実は昨年は代表の西村猛が幼児の運動発達について登壇させていただき、今回「言語の視点からもぜひ」とお声がけいただきました。)
今回のテーマは、「言葉の発達の育ちについて」でしたが、私が最も伝えたかったことは、「どうやって言葉を教えるか」ではありませんでした。
むしろ、「日々の保育そのものの中に、すでに言葉を育てる力がたくさんある」というお話を中心にさせていただきました。
今回の記事では、この部分を掘り下げて書きたいと思います。
言葉の遅れが気になっているお母さん・お父さんのご参考になれば嬉しいです。
「言葉を引き出す」前に大切なこと
今回の講演でお伝えしたかったのは、「日々の保育の積み重ねそのものが、言葉の発達を支える大きな土台になっている」ということです。
先生方は「言葉を教えよう」と意識していなくても、
- 子ども同士のやりとり
- 遊びの中でのやりとり
- 生活の中でのさりげない声かけ
こうした関わりの一つひとつが、自然と言葉の土台を育てています。
言葉の発達は、単に語彙を増やしたり、発語を促したりするだけではなく、人と関わる経験や、気持ちの動きの中で育っていくものです。
一番大切なのは「伝えたい気持ち」
ゆずの療育においても、私が日頃からお伝えしているのは、「言葉をどれだけ知っているか」以上に、「伝えたい気持ちが育っているか」がとても大切だということです。
言葉の理解(認知)や語彙の量、といった点ももちろん重要です。
ただ、それと同じくらい、あるいはそれ以上に、「誰かに伝えたい」「この人になら伝えてみたい」という心の内側の動きが、言葉の出方に大きく影響します。
特に、自閉スペクトラム症のお子さんや、言葉の遅れが気になるお子さんでは、この「伝えたい気持ち」をどう引き出すかが大きなポイントになります。
トレーニングだけでは育たない理由
一見、「練習すれば話せるようになる」と思われがちです。
しかし、負担の大きいトレーニングや、「言わせること」そのものを目的にした関わりが増えると、かえって「伝えたい気持ち」が弱くなってしまうこともあります。
その結果、「話さない」「話したがらない」という状態につながることも少なくありません。
だからこそ、私たちの役割は、「言葉を教えること」ではなく、子どもが伝えたくなる関係や環境をつくることだと考えています(これは保護者の方でもできること=お家での関わり方も大事ということ、です)。
当日のスライドもご紹介します
当日使用したスライドの一部も、参考までにご紹介します。



現場の先生方がすでに実践されている関わりが、どのように言葉の発達につながっているのかを整理した内容になっています。
言葉は教えるものではなく、自然に出てくるもの。それを実践しているのが保育活動です、ということを繰り返しメッセージとしてお伝えしました。

言語聴覚士として大事にしている視点と、ゆずでの実践
今回お話しした「伝えたい気持ちを育てる」「保育の中でことばを伸ばす」という視点は、私自身が日々の臨床や発達支援ゆずでの実践の中で大切にしている考え方でもありますし、ゆずの理念でもあります。
発達支援ゆずでは、療育の「主役」はあくまで保育・遊びであり、保育士が子どもたちと向き合う時間と関わりを何より大切にしたいと考えています。
セラピストは、言葉や発達の状態を専門的に評価し、その結果を保育の場面に返していくことで、保育士と一緒に「その子にちょうどいい関わり」を考えていく役割を担っています。
表舞台で子どもたちと楽しみながら関わるのが保育士。
その後ろで、保育を支え、保育をバックアップしていくのがセラピスト。
その両方があるからこそ、「伝えたい気持ち」や自然な言葉の育ちが支えられると考えています。
もちろん、ゆずの保育士さんは、セラピストとフラットに話ができる発達に関する知識やスキルを持っていることは、言うまでもありません。
おわりに
いつも講演では、「言語聴覚士にかかったから言葉が出てくるようになるわけではないのです」とお伝えするのですが、多くの方が「そうなんですか?」と驚かれます。
一般的には、「言語聴覚士=言葉の専門家=言葉を出すようにしてくれる人」と考えるのは、ごく普通のことだと思います。
ですが、言葉は教えるものではなく、「出てくるもの」です。
今はまだ言葉が出ていないなら、それは「言葉が出る準備が整っていない」または「なにかに邪魔されて言葉が表面に出てこない」という状況なのです。
だからこそ、「言葉の練習」をさせるのではなく、どこが整っていないか、どうすれば準備が整うのか、を見つけてあげることが大事です。
お子さんの言葉がまだ出ていなくて不安な保護者の方がいらっしゃたら、一度その視点でお子さんのつまずきを見つけてあげてみてください。
つまずきが見つかれば、「どうすればいいか」という手立てが見えてきます。
手立てが見つかれば、園でもご家庭でも、言葉を育てていくことはできます。
正しく見立てをしてあげれば「遊びの中で言葉を育てる」ことは難しくありません。
もし「その見立てをしてもらいたい」と思われましたら、ゆずの発達検査を受けてみられるのも一つだと思います。
私が監修したゆずオリジナルの「言語発達評価チャート」で、お子さんの言葉の遅れのつまずきを見立て、どのような関わり方がいいのか、どんな遊びをしてあげるのがいいのかを見つけていきます。
そして保育活動の中で「言葉を引き出す種」を植えていきます。
私、言語聴覚士西村千織と、ゆず代表の理学療法士西村猛が主宰する「こども発達LABO.」では、遠方にお住まいの方に向けて、「自費オンライン発達相談・療育相談」(60分)を行っています。
これは、お母さん・お父さんの「言葉の育ち」「体の育ち」「集団への参加」「就学」などに対する不安や想いを丁寧に聞き取った上で、お子さんにとって「困りごとの理由」について分析し、「今するべきこと」を一緒に考えていくものです。
これまで数十組の保護者の方にご利用いただいており、「この子のペースで進めていく方法が分かった」「子育てに前向きになれた」というお声をたくさんいただています。
私たちは指導者ではなく、一緒に困りごとを解決していく「伴走者」です。こんなこと相談していいのかな?と思っていることこそ、ぜひ教えてください。
詳細は下記をご覧ください。
※ご夫婦でのご参加も大丈夫です。
親子で学べる療育教室 発達支援ゆず

