【ケース検討会&知識の泉】発達支援ゆずが大切にしている「心理的安全性」と根拠ある療育

ゆず代表、理学療法士の西村猛です。

本日、発達支援ゆずでは、本山ルーム・本山駅前ルームのスタッフがオンラインで集まり、「ケース検討会」と「知識の泉」という勉強会を実施しました。

今回も、とても実践的で深い学びの時間となりました。

午前は「ケース検討会」|保護者支援について深く考える時間

午前中は、本山駅前ルームの島先生からケース提示を行ってもらい、保護者支援についてスタッフ全員で意見交換を行いました。

今回のテーマは、「療育をどのように保護者の方へ伝えていくのか」という内容です。

療育に通われる保護者の方の中には、「できないことをできるようにしてほしい」という思いを持たれている方も少なくありません。

もちろん、それはお子さんを大切に思っているからこその願いです。

ですが、ゆずでは療育を単なる練習の場と考えていません。


スタッフからは、「どう説明すれば伝わるのか」「どんな言葉なら安心していただけるのか」といった意見がたくさん出ました。


その中で、私からスタッフへお話ししたのは、「保護者支援は、『うまく説明すること』ではない」ということでした。

まず大切なのは、「お母さんがどんな思いを抱えているのか」「どんな悩みや不安を持っているのか」を理解しようとすることです。

お母さんが安心して話せる。
否定されずに受け止めてもらえる。

その「心理的安全性」があって初めて、人は前を向いたり、学んだり、新しいことを受け入れたりすることができます。

マズローの5段階欲求から考える「安心」の大切さ

この心理的安全性について、今回のケース検討会では、マズローの5段階欲求についても共有しました。


人はまず、「安全である」と感じられなければ、その先へ進むことができません。

これは子どもの発達でも、保護者支援でも同じです。


発達支援ゆずでは、「まず安心できること」をとても大切にしています。

子どもさんに対しても、保護者の方に対しても、まずは「心理的安全性」を約束することを基本に療育を行っています。

心理的安全性が十分に担保されていない療育(厳しさや恐怖で行動をコントロールするような関わり)では、集団活動へ安心して参加することや、他者との関係性を築いていくこと、自己表現を行っていくことにつながりにくくなります。

実際には、「良かれと思って厳しく関わっていること」が、かえって「集団への参加のしづらさ」につながってしまうこともあります。

これは、「安心・安全」が土台として満たされていない状態では、その上にある「人とのつながり」や「所属感」に向かいにくくなるためです(マズローの図の3段目の部分です)。


スタッフからは、「これまでは、保護者支援というと、お子さんの特性や評価結果を丁寧に伝えることや、遊びの目的をしっかり説明することに意識が向いていた」という声もありました。

もちろん、それらはとても大切なことです。

ですが今回のケース検討会を通して、「お子さんにとっての心理的安全性だけでなく、保護者の方にとっての心理的安全性も、療育の土台としてとても大切なんだ」ということを、改めてみんなで共有する機会になりました。

単に正しく説明するだけではなく、「安心して話せる」「気持ちを受け止めてもらえる」という寄り添いの部分も今まで以上に意識しながら、これからの保護者支援につなげていきたい、という声が上がっていました。

午後は医学的根拠を学ぶ勉強会「知識の泉」でした

午後からは、「知識の泉」という勉強会を実施しました。

この「知識の泉」は、発達支援ゆずが他事業所様向けに行っているコンサルティングサービスを、社内スタッフ向けにも実施しているような学びの場です。

スタッフから、聞いてみたいこと、相談したいこと、学びたいことを事前に挙げてもらい、それについて医学的根拠をもとに学んでいきます。


私が一方的に教えるのだけではなく、「みんなはどう思う?」「現場ではどう感じている?」という形で、スタッフからも意見をもらいながら、お互いに共有し合い、最後に私から医学的・発達的な視点も踏まえてアドバイスを行うスタイルです。


今回の質問は、「理学療法士として、幼児期のタブレット活用をどう考えるか教えてほしい」という内容でした。

タブレットは「悪」?それとも「あり」?

スタッフからは、

・使いすぎは発達への影響が心配
・一方で、保護者の方が少し休む時間を確保できるなど助けられている面もある
・完全に否定するのは現実的ではない

など、さまざまな意見が出ました。


また、寺子屋ゆず(個別学習塾)でも「タブレットを活用しながら学習を進めるケースもある」という話がありました。


つまり、タブレット=悪ではなく、「どう使うか」が大切だということです。

作業療法士・理学療法士の視点から見たタブレット活用

今回の勉強会では、OT(作業療法士)の山口先生から、「姿勢への影響」についても意見が出ました。

特に、猫背になりやすい、ストレートネックのリスク、身体の使い方が偏りやすいといった点です。


さらに私(理学療法士)からは、単なる姿勢の問題だけではなく、「視覚優位になりすぎること」についてもお話をしました。


最近の子どもたちは、視覚情報をとても上手に使える子が増えています。

ですが一方で、「視覚に頼りすぎる生活」になることで、「固有覚」「前庭覚」といった感覚が育ちにくくなる懸念があります。


固有覚というのは、「自分の身体が今どう動いているのか」を感じる感覚です。

そして前庭覚は、「揺れ」「回転」「バランス」などを感じ取る感覚です。


これらは、子どもが身体を動かしながら育っていく中で、とても大切な感覚になります。

ですが、スマホやタブレット中心の生活になると、「身体を使って感じる」よりも、「視覚で情報を処理する」ことが増えていきます。

すると、「身体感覚を使う機会」「揺れや回転を感じる機会」「全身を使って遊ぶ機会」が減ってしまい、結果として、「固有覚や前庭覚が育ちにくくなる可能性がある」ということです。

大切なのは「最適化」という視点

だからこそ大切なのは、「タブレットが良いか悪いか」ではなく、「その子にとって、どう活用することが適切なのか」を考えることです。

一人ひとりのお子さんの現状をしっかり評価した上で、「どのくらい使うのか」「どんな目的で使うのか」を考えていく必要があります。


言い換えると、「iPadやタブレット、スマホの最適化」ですね。


一方で、先行研究では幼児期のタブレットの過剰な使い方は、発達への影響やリスクあるということも示唆されています。


そして、スマホやタブレットが一般化してまだ10年程度しか経っていないため、「その子どもたちが大人になった時にどう育っているのか」については、まだ完全には分かっていない部分もあります。

だからこそ、「研究を参考にする」「子どもの様子を丁寧に見る」「極端に肯定も否定もしない」という姿勢が大切だと、スタッフにも伝えました。

発達支援ゆずが大切にしていること

今回の研修でも、スタッフ全員が自分から積極的に発言し、とても充実した学びの時間となりました。

発達支援ゆずでは、こういった学びの場を積極的に持つことで、質の高い療育実践につなげています。

そして何より、スタッフ一人ひとりが真摯に学びに向き合ってくれています。


療育は、「なんとなくの経験」だけで行うものではありません。

保護者の方も、学ぶ意欲の高い方が多いことを実感しています(「ゆずの療育を選んでくださる方=わが子を正しく理解してあげたいと考えている方」だからかもしれません)。

また一般的に見ても、「どんな療育を実践しているのか」「支援者は専門的な知識をもった方なのか」ということを療育選びの基準にしている保護者の方が多くなっていると感じます。


だからこそ、私たちは、「なぜそう考えるのか」「どんな根拠があるのか」「お子さんや保護者の方にとって本当に必要なことは何か」を考え続けることが大切だと思っています。

そして同時に「説明するスキル」も高めていかなければならないと思っています。


私も含め、これからも発達支援ゆずでは、スタッフ全員で学び続けながら、より質の高い療育を目指していきたいと思います。

私たちを信じて期待してくださる保護者の方とお子さんに、きちんと答えと効果を出せるように。