
こんにちは。ゆずのおっちゃん(ゆず代表にしむらたけし)です。
子育てをしていると、「どうしてこんなことをするの?」「また始まった…」と、ため息が出てしまうような瞬間に出会うことがあります。
たとえば、
- すぐに怒る
- ささいなことで泣く
- 集団行動を嫌がる
- 暴言や叩くなどの行動がある
- 何度言っても話を聞いていないように見える
こうした行動に、戸惑い、苛立ち、時には自信を失ってしまうこともあるかもしれません。
けれど、もしかすると、その行動は“困らせるため”ではなく、“困っている”という子どもなりのサインかもしれません。
「困った行動」は“悪さ”ではなく“サイン”
私たちは、社会のルールや生活のしやすさを考えるあまり、「こうすべき」「これはだめ」といった視点で子どもの行動を判断しがちです。
けれど、子どもたちはまだそのルールを完全に理解できる年齢ではありません。
特に未就学の子どもたちは、自分の状態を言語で伝える力がまだ発達の途中です。「つらい」「わからない」「どうしていいのかわからない」と感じていても、それをうまく言葉で伝えることができないのです。
その結果として現れるのが、いわゆる“困った行動”です。
つまり、大人が困っているその行動の裏には、子ども自身の「今、しんどい」「助けてほしい」といった感情が隠れている可能性があるのです。
表面の行動ではなく、“背景”に目を向けてみる
実際に支援の現場では、「行動そのもの」に対応しようとしてもうまくいかないことがよくあります。
なぜなら、行動は“結果”であって、“原因”ではないからです。
たとえば、
- 「話を聞いていない」ように見えるけれど、実は「話の内容を聞き取るのが難しい」
- 「ふざけている」ように見えるけれど、実は「何をすればいいのかわからず不安になっている」
- 「言うことを聞かない」ように見えるけれど、「指示の意味が理解できていない」
こうしたことは、決して珍しいことではありません。
ある子は、耳から入る情報を処理するのが苦手で、聞いた内容が頭に入ってきにくいことがあります。
ある子は、体や感覚の過敏さから、周囲の刺激に圧倒されて混乱してしまうことがあります。
ある子は、不安や緊張をうまく調整できず、言葉ではなく「暴れる」「無視する」といった行動で表現することがあります。
大切なのは、その子が「なぜ」その行動をしているのかという視点です。
行動に込められた“伝えたいこと”を受け取る
子どもにとって、泣くこと、怒ること、逃げること、すべてが“伝える手段”です。
もちろん、すべての行動を許容するという意味ではありません。
しかし、「これはこの子にとってのサインかもしれない」という視点を持つことで、私たち大人の対応が変わってきます。
「どうしてできないの?」と叱るのではなく、
「どうしたらできるかな?」と考える。
「またふざけて!」と責めるのではなく、
「何が分かりにくかったのかな?」と想像する。
こうした関わりが、子どもの安心感や信頼につながり、結果的に“困った行動”そのものも少しずつ落ち着いていくことがあるのです。
子どもを「直す」のではなく、「理解する」ことから始めよう
私たち大人は、ときに「子どもの問題行動をなくしたい」と思いがちです。
でも、子どもの行動は、その子の“内側からの表現”です。行動を「消す」のではなく、「理解する」ことから始めてみましょう。
もちろん、毎日の育児で余裕がないときもあるでしょう。感情的になってしまうこともあります。
でも、「これはもしかして困っているサインかな」と、一歩立ち止まってみる。
それだけでも、親子の関係に変化が生まれることがあります。
おわりに ―関わり方が変わると、子どもも変わる
子どもは大人のように「つらい」「助けて」とは言えません。だからこそ、行動に目を向けて、その奥にある「気持ち」をくみ取る力が、私たち大人に求められます。
そして、どうしたらいいかわからない、関わり方に迷うというときには、一人で抱え込まず、まわりの専門家に頼ることも大切です。
発達支援ゆずでは、子どもの行動を単に“なおす”のではなく、その背景を理解し、子どもと保護者の方の両方にとって無理のない支援を行っています。
親子の気持ちに寄り添いながら、「その子らしい育ち方」をいっしょに見つけていくことを大切にしています。
ほんの少し視点を変えるだけで、子育てが今よりも少し楽になることがあります。
そんなヒントを、ゆずの療育でもお伝えできればと思います。