
こんにちは。
ゆず代表の西村猛です。
今回は、自費オンライン発達相談などで、多くの保護者の方からご相談いただくテーマについて書きたいと思います。
それは、
「うちの子、療育を嫌がるんです」
という声です。
具体的には、
- 通所の時間が近づくとお腹が痛くなる
- 車に乗るのを嫌がる
- 建物の前で大泣きする
- 先生に対して固まってしまう、暴れてしまう…
こういったことに悩まれている保護者の方が多いです。
このブログをお読みのあたなも、もしかしたらこんな経験をお持ちではないでしょうか。
そして、こう自分に言い聞かせていませんか?
「泣くのは慣れていないだけ」
「そのうち楽しめるようになるはず」
「子どもが頑張っている証拠だよね?」
でも、それ、本当に“頑張っている証拠”なんでしょうか?
子どもが「嫌がる」のには、ちゃんと理由がある
子どもが「行きたくない」と言うとき、その裏にはちゃんとした理由があります。
そして、子ども自身はその理由を言葉でうまく伝えられないことがほとんどです。
よくある理由:
- 見通しが持てない不安(何をするのかわからない)
- 人との距離感が怖い(先生や他の子が怖い)
- 過去の経験が嫌だった(怒られた、無理をさせられた)
- 「できない」が積み重なった自信喪失
発達特性のある子は、感覚過敏・見通し不安・成功体験の少なさが重なり、「知らない場所」や「自由がきかない状況」がとても苦手です。
つまり、「療育を嫌がる」のは、
“今の支援が、その子に合っていない”というサイン
の可能性があるのです。
無理に通わせ続けると、どうなる?
「そのうち慣れる」と言って、嫌がる子どもを無理に連れていく。この状態が続くと、どんな影響があるでしょうか?
1. 感情を出すのをやめてしまう
表面上は落ち着いたように見えても、それは「順応」ではなく「諦め」です。
「本音を出しても受け入れてもらえない」と学んだ子は、気持ちを閉じていきます。
2. 「人との関わり=しんどいもの」と思ってしまう
支援者との関係で安心できなかった子は、“人と関わる=怖い・辛い”という印象を持ちます。
これは将来の人間関係や自己肯定感に、大きな影響を与えかねません。
3. 支援が“逆効果”になることも
実際、「嫌がっていた期間はほとんど伸びなかった」というケースも少なくありません。
力を育てるどころか、自己否定感や二次障害(不登校・情緒不安定)につながることすらあるのです。
本当に効果的な療育に必要な「3つのこと」
では、子どもが安心して力を伸ばしていくために、どんな療育が必要なのでしょうか?
そのカギとなるのが、以下の3つです。
1. 安心できる関係性
心理学者のボウルビィは「愛着理論」の中で、人が安心できる環境にあるときにこそ、探求心や学びの意欲が引き出されると述べています。
療育でも同じことが言えます。
- 子どもが「この人は自分をわかってくれる」と思える
- 「ここなら大丈夫」と感じられる
- 「自分のペースでやっていいんだ」と思える
そうした場でこそ、子どもは自発的に動き出します。
「泣きながら」「怖がりながら」では、本来の力は引き出されにくいのです。
もちろん、最初は緊張することもあるでしょう。
でも、数週間たっても泣き続ける、毎回強い拒否が続く…という場合は、環境がその子に合っていないサインかもしれません。
2. 自分から関わりたくなる環境
「やってみたい」「触ってみたい」「話してみたい」──
子どもが自発的に関わりたくなるような環境こそ、力が育つ場所です。
- 成功体験が得られる
- 遊びや活動が“面白い”と感じられる
- 否定されずにチャレンジできる
そういった環境が、子どもを“挑戦するモード”に導いてくれます。
3. 「できた!」を実感できるプログラム
療育で何よりも大切なのは、小さな成功の積み重ね。
「自分でできた」「やってよかった」と感じられる経験が、自己肯定感を育て、次のステップへ進む原動力になります。
その子の発達段階や特性に応じて、“ちょっとがんばれば届く目標”を一緒に設定することが大切です。
反対にできないことばかりを指摘される療育だと、成功体験を積み重ねる機会が奪われてしまうだけでなく、「どうせ自分はできない」という気持ちばかりが大きくなり、最後にはできることでも「できない」と思うようになってしまいます。
例えば、保護者の方がお子さんを客観的に見て「これならできるはず」と思うことでも、「無理、できない」といった自分に否定的な発言は出ていませんか?
もしそんな発言がよく聞かれるなら、お子さんは今、かなり追い詰められている状態にあるかもしれません。
療育は「行かせる」ものじゃない。「行きたくなる」場所を選ぼう
もし今、あなたのお子さんが療育を嫌がっているなら、一度立ち止まって考えてみてください。
- 子どもが安心して過ごせているか
- 関わりたい気持ちを大切にできているか
- 小さな「できた!」を感じられているか
どれか一つでも「NO」なら、それは「今のやり方を見直すタイミング」かもしれません。
療育は「行かせるもの」ではなく、「行きたくなる場所であるべき」なのです。
まとめ:子どもは誰でも「ちゃんと伸びる力」を持っている
泣いているのは、がんばっている証拠、ではなく、「合っていないよ」のサインかもしれません。
安心できる関係と、自分らしく過ごせる環境さえあれば、どの子も、自分のペースでちゃんと伸びていきます。
子どもが笑顔で過ごせる療育、行きたくなる場所。
そんな場所を、ぜひ選んであげてくださいね。
「遊んでいるだけなのに、どんどん伸びていく」療育を目指して
ゆずでは、上記を大切にした関わり方を基本に据え、どのルームもお子さんの「自分で発達しようとする力」を最大限引き出せるような取り組みを行なっています。
「楽しく遊んでいるだけなのに、我が子がどんどん伸びていく」
これこそが、私たちが目指している究極の療育です。
そのために私たちは、これからも学びを止めることなく、「通うことが楽しいと思える療育」と「発達を引きしてくれる療育」の両方を提供できるよう、スタッフみんなでこの目標に向かっていきたいと思っています。
ですが、スタッフはあくまでも脇役。
主役は、もちろん、あなたとお子さんです。
あなたも「チームゆず」のメンバーとして、お子さんの未来を一緒に育てていきませんか?
愛しい我が子が、「お母さん、生きるって、楽しいね!」と言ってくれるその日まで。
言葉や体の発達の不安、療育選びのお悩みなどについて、ゆず代表西村猛とゆず言語聴覚士西村千織が保護者の方の不安に寄り添いながら、一緒に手立てを考えます。単発相談や継続サポートなど、お子さんや保護者の方のご希望に合わせて相談方法をお選びいただけます。詳細は自費サービスのご案内ページをご参照ください。