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【療育のイロハ】子どもが「やれるのに、やらない」理由|実行機能の育ちと関わり方

こんにちは、ゆずのおっちゃんです。

今回は、「やればできるのに、なぜやらないの?」と感じる子どもの行動についてお話しします。子育ての中で、こんな場面に出会ったことはないでしょうか?

「早く着替えてって何度も言ってるのに…」

「また宿題に取りかかっていない…」

「お片付け、さっきお願いしたばかりなのに…」

そんな時、「やる気がないのかな」「わざとやってないのかも」と感じてしまうこともあるかもしれません。でも、もしかするとその行動の裏には、脳の“実行機能”の未熟さが関係しているかもしれません。

実行機能とは?

実行機能とは、脳の前頭葉が担っている、「目的をもって行動を調整する力」のことを指します。

たとえば、

• やるべきことを計画し、順番にこなす力(計画性)

• やってはいけないことを我慢する力(抑制)

• 必要な情報を頭に一時的にとどめておく力(ワーキングメモリ)

• 状況に応じて考えや行動を切り替える力(柔軟性)

などが含まれます。

これらの力は、子どもが成長する中で少しずつ育っていくものですが、特に未就学の時期はまだ発展途上にあります。つまり、「わかっているけど、うまくできない」という状態になりやすいのです。

実行機能が未熟だとどうなる?

実行機能が十分に働かないと、次のような場面が見られやすくなります。

• やる気はあるのに、何から始めていいのか分からず動けない

• 宿題を始めたのに、他のことに気を取られて中断してしまう

• ルールを守ろうとしても、つい衝動的に動いてしまう

このような様子を見ると、「ちゃんとできるのに、どうしてやらないの?」と感じてしまうかもしれません。しかし実際には、本人も「やらなきゃ」と思っているけれど、うまく行動に移せないことが多いのです。

発達障害と実行機能の関係

発達障害のあるお子さんでは、実行機能が育ちにくい傾向が見られることがあります。

たとえば、注意欠如・多動症(ADHD)では、「気が散りやすい」「思いついたことをすぐ行動に移してしまう」といった特徴があります。また、自閉スペクトラム症(ASD)では、「予定変更への対応が苦手」「柔軟に切り替えるのが難しい」などの様子が見られることもあります。

こうした特性も、実行機能の働きと深く関わっています。

「怠けている」と決めつけないために

子どもの行動を見て、「なぜやらないのか」とイライラしてしまうことは誰にでもあります。しかし、「怠けている」「ふざけている」と捉える前に、「やりたいけど、やりにくいのかもしれない」と想像してみてください。

子どもは、自分でも理由がわからないまま困っていることがあります。だからこそ、大人が「どうしたらやりやすくなるか」を一緒に考えることが、支援の第一歩になります。

家庭でできる実行機能のサポート

実行機能は、工夫次第で少しずつ育てていくことができます。家庭でも取り組みやすい方法をいくつか紹介します。

見える化する

 やることを口頭で伝えるだけでなく、イラストや写真、チェックリストなどで「目で見てわかる形」にすると、行動に移しやすくなります。

タイマーで区切る

 「この時間だけがんばろう」と時間の枠を明確にすることで、集中しやすくなります。終わりが見えることは、安心感にもつながります。

順序を一緒に決める

 「先にお風呂に入る?それとも先に宿題する?」など、選ばせることで主体性が育ちます。

振り返りの時間をつくる

 「今日はこれができたね」と一緒に確認することで、達成感を感じやすくなります。

療育現場での支援の工夫

療育の現場でも、実行機能を支えるための様々な工夫が取り入れられています。

スモールステップに分けて提示する

 「一気に全部」ではなく、「まずは1つ」ずつ取り組むことで、負担感を減らします。

視覚的なサポートを使う

 「何をするのか」「何が終わったのか」を見てわかるようにすることで、見通しが持てて安心できます。

切り替えをサポートする

 「あと3回でおしまい」「この音が鳴ったら終わり」など、活動の終わりを知らせる工夫を取り入れます。

“できた”を可視化する

 チェックリストに印をつけたり、シールを貼ったりして、できたことを一緒に確認し、達成感を積み重ねます。

集中しやすい環境づくり

 視界に余計なものを置かない、静かな場所を選ぶなど、気が散りにくい工夫も大切です。

こうした支援は、決して特別なものではありません。日常の中に取り入れられる、小さな工夫の積み重ねです。

おわりに

「できるのに、しない」ように見える子どもの行動には、理由があります。

その理由は、「やりたくない」のではなく、「どうやったらできるかがわからない」「やろうとしてもうまくできない」といった、実行機能の未熟さによるものかもしれません。

実行機能は、一朝一夕に育つものではありませんが、大人の支えや工夫によって、少しずつ力を伸ばしていくことができます。

「なんでできないの?」ではなく、「どうしたらできるようになるかな?」という視点で、子どもと向き合う時間を大切にしていきましょう!

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