
こんにちは。ゆずのおっちゃんです。
洋画などを見ていると、主人公が困っている人や辛い思いをしている人に対して「私になにかできることはないですか?」と問いかけるシーンに心を動かされることがあります。
この言葉には、相手を思いやる純粋な気持ちと行動への意志が込められています。
私たちが日々取り組む療育の現場でも、この考え方が非常に大切だと感じています。
療育は、ただプログラムをこなすだけではありません。保護者やお子さんが何に困っているのか、何を望んでいるのかに心を寄せ、その上で「私になにができるだろう?」と考える姿勢が基本です。
この記事では、療育における利他の心の重要性と、それを実践する際の注意点についてお伝えします。
療育における「利他の心」の重要性
「利他の心」とは、簡単に言うと「他人を思いやる気持ち」のことです。療育の現場では、この心がとても大切です。
たとえば、ある保護者が我が子の発達に不安を抱えているとします。そのとき、支援者がその気持ちに寄り添い、「どんなことにお困りですか?私にできることを考えたいので、悩みや想いを教えてください」と言えるかどうかで、信頼関係の構築に大きな違いが生まれます。
こうした心がけは、保護者だけでなく、お子さん自身にも伝わります。支援者が本気で寄り添う姿勢を見せることで、子どもは安心感を得て、療育に対する意欲を高めることができます。
療育の本質は「支援者が主体となって教えること」ではなく、「お子さんと保護者が成長し、笑顔でいられる環境をつくること」だと、私たちは考えています。
押し付けないことの大切さ
とはいえ、「利他の心」を持つあまり、相手が望んでいないことを押し付けてしまっては本末転倒です。
たとえば、支援者が「この方法が絶対に正しい」と考え、保護者に無理に提案を押し付けた場合、それがたとえ良い方法であっても受け入れてもらえないことがあります。
また、必要以上に手を貸してしまうと、相手の自立心や主体性を損なう可能性もあります。
大切なのは、相手の気持ちや状況をしっかりと確認しながらできることから取り組んでいくこと。保護者が「こんなことをお願いしていいのかな」と遠慮している場合でも、「どんなことでも相談してくださいね」と声をかけることで、安心して気持ちを伝えてもらえる環境をつくることができます。
発達支援ゆずが大切にしていること
ゆずでは、「利他の心」を療育の基本理念としています。ただし、それは一方的な支援ではなく、節度を持った関わり方を大切にしています。
たとえば、初回のご見学の際、まずは保護者とじっくりとお話をする時間を設けています。お子さんの特性や好きなこと、日常生活で困っていることを伺い、その上で支援方針を一緒に考えていきます。
このプロセスを丁寧に行うことで、保護者との信頼関係が深まり、療育もよりスムーズに進めることができます。
また、スタッフ教育の中でも、「相手の立場に立って考えること」を何度も繰り返し伝えています。これは、「保護者やお子さんの声に耳を傾け、その上で適切なサポートを提供する」という姿勢を実践するためです。
相手の立場に立って考えるために必要なことは「主観的に捉えず、いつも客観的でいること」「時には反対からの視点で物事を捉えてみること」です。
どんな状況でも客観的視点で見ることができる人は絶対にブレません。またどんな場面でも冷静に対応できます。
反対に主観的である人は、自分の失敗ですら人のせいにします。いわゆる他責です。
職場が悪い、上司が悪い、保護者が悪い、世の中が悪い。そして自分は悪くない。被害者だ。
こういった人もたまに遭遇しますが、成長しない人です。
また反対から物事を見ることができる人は、お子さんの可能性を見つけることができる人です。
言語聴覚士むぎちょこが、療育事業所様スタッフ様向け研修で使っている講義スライドの一枚をご紹介しましょう。

問題行動と呼ばれるのは、大人が問題だと捉えているから。
その行動を「問題」と捉えずに別の視点で捉えてあげることができれば、それは「問題行動」から「可能性」に変わります。
反対から見てみる視点のことを私は「コウモリの目」と呼んでいます。
コウモリの目で物事を見ることができれば、危機は「チャンス」、失敗は「経験値」、辛い経験は「小さな幸せを感じるきかっけ」と読み替えることができます。我が子の発達の不安は「工夫への第一歩」になります。
このコウモリ目を持つためには、利他の心が必要になります。
もしお子さんの担当者がコウモリの目(視点)でも見てくれる人なら、最高の療育になると言えるでしょう。
おわりに
映画の中で響くセリフ「私になにかできることはないですか?」は、単なる言葉以上の意味を持っています。
それは、人と人とのつながりを深め、相手を思いやる心の表現です。この精神が、療育の現場でもっとも大切な基盤になります。
ゆずでは、保護者やお子さんが笑顔になれる療育を目指し、利他の心を大切にした支援を提供しています。
この記事を読まれた保護者の方や支援者の方が、療育やサポートのあり方について少しでも考えるきっかけになれば嬉しいです。