こんにちは。ゆず代表のゆずのおっちゃんこと、代表のにしむらたけしです。
「悩んだら、『やってみる』方を選べ!」
「迷ったら、『面白い』方を選べ!」
私が、日頃我が子に伝えている言葉です。
我が子たちはもう嫌と言うほど聞き飽きているので、なやんだら・・・と言い出した瞬間に「うるさい!黙れ!」と言われる始末…笑
ひえー。
そんなこの言葉は、実は私自身に向けて言っている言葉でもあるんです。
そして、ゆずに通ってくれているお子さん、子育てに奮闘している保護者の方、お子さんの発達に悩んでいる保護者の方に伝えたい言葉でもあるのです。
今回の記事では、私の起業経験(ゆずを作った体験)をご紹介することで、子どもたちや保護者の方が、「やってみる方を選んでみよう」と前向きに思っていただくきっかけになれば、と思っています。
長文ですが、よかったら最後まで読んでみてください。
「迷ったら、やめておく、ではなく、やってみる方を選ぶ」
この言葉を胸に、私は起業し、ゆずを作りました。
兵庫県職員、神戸市役所職員として公務員理学療法士の生活を21年ほどやってきた私は、自分が起業するなんて夢にも思っていませんでした。
何と言っても公務員は、仕事をきちんとこなしておけばクビにもならない、給与は保証される、ボーナスもしっかり保証される、年末には人事院勧告で世間の実情に合わせて臨時収入がある(好景気だったらの話ですけどね)、賃貸物件でもローンでも断られることがない、人からは「公務員=まじめ・優秀」と思われる、などいい事しかありません。
そんな「入ってしまえば旨味たっぷり」の公務員を辞めて独立するなんて、「お馬鹿さん」の何者でもありません。
実に様々な人から「もったいない」と言われましたよ。アホかと。
実際アホですけど。文句あるか?笑
言語聴覚士のむぎちょこも姫路市役所に17年ほど勤務した後、ゆずに参画しましたので「夫婦でアホ」ということになります(キッパリ)。
あの名高い姫路市総合福祉通園センターの言語聴覚士だったわけですから、そっちにいたほうが「すごい実力のある先生」と相手が勝手に思ってくれるし、有難がってくれるのに、わざわざそれを蹴ってゆずに合流したわけです。
つまり、むぎちょこもアホです笑(まあ、むぎちょこは療育系YouTuberとしてSNS界隈では有名ですから、私とは違います。「アホなおっさんとは違うのだよ、アホなおっさんとは!」(←シャア・アズナブルのように読んでください、「ザクとは違うのだよ、ザクとは」←ガンダムというアニメの名台詞ね。知っている人は50代やね笑)。
私はただの変なおじさんです。療育業界で最も変なオジサンです。
「そうです。わたすが変なオジサンです」
♪変なおじさんだから、変なおじさん〜♪
だっふんだ!←知っている人は40代後半以上確定!笑。
閑話休題。
じゃあ今、私が後悔しているかといえば、全くそんなことはありません。
むぎちょこにも聞いてみたことがありますが、「辞めて後悔したことがない」と話していました。
もちろん起業は困難と挫折の繰り返しです。
とにかく安定していないですし、どこかの組織に属して給料もらっている方が確実にラクです。
もちろん、ゆずを作ることに対して、躊躇する気持ちがなかったわけではありません。
それでもゆずを設立したのは、冒頭の「迷ったらやってみる」の気持ちを信じたからです。
私には療育業界をもっと根拠ある質の高いものにしたい、という想いがずっとありました。
公的療育センターでは信じられないようなことが、一般の療育業界では起こっています。
その一つが私の大好物の(大好物なんかい!)ブラック療育です笑
怒鳴る、小突く、叩く、暴言を吐く、自分の子育て経験だけで特性のある子のことを分かったように話す。
女王蜂のように指示ばかりして自分は逃げてばかりのお局様と、そんなお局様にご機嫌伺いばかりし、職場内戦争に明け暮れて子どもをほったらかしにする支援者。
本当に結構な割合でいるのです。そんな支援者(通称:〇〇支援者、←自主規制)が。
そんな◯◯支援者に担当されているとも知らず、「療育で伸ばしてもらっているので」と信じている保護者。
そして、親にさえ気づいてもらえず、ひっそりと自信を奪われ、自分の中に逃げ込むしかない子どもたち。
そんな事業所が配っているチラシ「お子様の笑顔のために、私たちは日々努力をしています!」という文言。
嘘をつくな。
どうせなら事実を書いてみたら良い。
「お子様が言うことを聞くように、私たちは日々脅しています!」笑
いや、これ、誇張じゃないんですよ。
本当にあるんです。
「そんな療育を駆逐したい!」
「公務員だと、駆逐できない!」
「そうだ!だったら自分が起業して、見本となる事業所を作ればいいんだ」
「それを世間に広く発信することで、保護者の方に正しい情報が伝われば、ブラック療育は自然淘汰され、やがて駆逐される!それによって救われる子どもや保護者の方はたくさんいるはずだ!」
そんな想いがあったことで「迷う気持ち」から「やってみる気持ち」に変わり、やがて独立起業という流れになりました。
一旦動き出したらあとは無我夢中で駆けてきて、今に至ります。
しんどいことのほうが多いですけれど、その反面、今まで見たこともなかった素晴らしい景色に出会うことができました。
ゆず設立から6年が経過した今、当時の自分から「どうだ?」と聞かれたら、迷わず「やってみてよかった」と答えると思います。
それは、ゆずという事業所が有名になったからとか、YouTuberとして活動できているからといったことではありません。
ゆずを作らなければできなかった、素晴らしい経験ができたからに他なりません。
もちろんこの経験には、失敗経験も含まれています。
というか、失敗経験の方が多いです。
でも、失敗経験も私にとって大切な経験の一つになっているのです。
失敗経験も大事な宝物です。
とある保護者の方が何気なく仰った「この子のことを、可愛いと思えるようになりました」「この子のことを、もっと理解してあげたいと思いました」。
この言葉に私はどれだけ救われたか分かりません。
苦労が多かったけど、ゆずを運営してきて本当によかったと思える瞬間でした。
それは「やってみる方を選んだから」こそ得られた喜びです。
そしてゆずの理念に理解を持ち、そしてお互い様の気持ちで気持ちよく仕事をしてくれるスタッフ(仲間)に恵まれたということも、ゆずを作ったからこそ得られた喜びだと思います(ゆずスタッフの皆さん、いつもまじめに、そして真剣にお子さんと保護者の方に向き合ってくれて、本当にありがとうございます。あなたがたは本当に素晴らしい仲間です)。
そして、今はスタッフの皆さんと一緒に「ゆずの療育」をさらに良いものにしていこうとしています(ゆず3.0として、まだまだチャレンジを続けていきます)。
だからこそ。
自分に自信のないお子さんには、やってみてほしいのです。
やってみると意外と「なーんだ、こんなことだったのか」と安心できることもあります。うまくいかなかったとしても失敗までにいろいろな景色を見ることができた、というものが経験の一つになります。
成功すれば、また一つ自分に自信が持てるので、「次もうまくいくかも?」と以前よりポジティブに思えるでしょう。
成功した姿を見たお母さんやお父さんやご家族、園や学校の先生が一緒に喜んでくれるでしょう。
そんな小さな経験をたくさん集めると、やがて「生きるって楽しい!」という気持ちにつながるはずです。
私は、ゆずに通うお子さんに「生きるって楽しい」と感じてもらいたくて、ゆずを運営しているのです。
特性があってもいい。
その特性を社会で生き抜く武器になるまで磨き上げていく。
その武器を一緒に探すこと、武器の磨き方を教えてあげること、やってみようという勇気を持たせてあげること。
これこそが、療育が子どもたちにしてあげられることだと、私は信じています。
できないことをできるようにするのが療育ではないのです。
工夫の仕方を教えてあげることこそ、療育がするべきことなのです。
そして、保護者の方にも「迷ったらやってみてほしい」と願っています。
お子さんの発達が不安になると、その不安は時間を追うごとに増強してくると思います。
そのために「何をしてあげたらいいのだろう?」と悩むと思います。
そんなときは、自分の信じることを「まずやってみる」ことです。
まずは、自分がこれだと思うやり方でやってみるのです。
それが間違っていてもいいのです。
間違ったことをするのが悪いのではありません。
間違っていたなと気付いたら、さっと修正すればいいだけのことです。
「なにかおかしいぞ?」と思えば、やり方を変えればいいのです。
療育でも同じです。
ここがいいと思ったらまずは通ってみる。
「なにか違うな」と直感的に感じたら、別の療育を探せばいいだけです。
保護者の方、特にお母さんの直感はたいてい当たっています。
一番もったいないのは、違和感を感じているのに「悪いから」とか「面倒だから」とか理由をつけてそのままでいることです。
失敗していたとしても、幼児期に「後の祭り」はありません。いくらでも修正できますし、挽回できます。
何もしないことのほうが、将来後悔することにつながります。これこそ「後の祭り」になってしまいます。
まずやってみることで何かが変わります。
その変化を楽しみながら、次の一手を楽しみながら考えていく。
これが子育ての基本(もちろん療育も同じ)だと、私は思います。
人はどうしても今いる環境から変わりたくない(変えたくない)と思うものです(脳がそのような仕組みになっていますので、仕方のないことです)。
ですが、山に登った人でないと山頂から見下ろす景色の壮大さには気付かないですし、宇宙に行ったことがない人は宇宙から見る地球の美しさは実感できないです。
「経験」こそが、すべてです。
小さくていいので、まずは一歩から。
僅かな距離の違いでしかなかったとしても、今いる場所は、前にいた場所とは違う「別の場所」です。
もう一つ大切にしてほしいことがあります。
それが、「悩んだら、面白い方へ」です。
面白いとは、単に笑えるということだけでなく、興味関心があるという意味も含んでいます。
好きこそものの上手なれ、ではないですが、人は面白いと思うと集中します。楽しく取り組めるので、実力もつきます。
お子さんの療育でも同じですね。
楽しい、好きな遊びを取り入れたプログラムを構築するから、うまくいきます。
苦手なことやできないと感じていることを大人の強制力でさせても、まあ大抵うまくいかないです。
そりゃあ、当たり前ですよね。
保護者の方だって、自分の苦手なことをやり続けなさいと言われて、できますか?
いやいやしたとして、その時間は楽しいですか?
全くおもしろくない時間でしかないですよね。
私でいうと、計算ドリルです。
私は計算障害があるので、数字をイメージすることが難しく、計算ドリルを見ただけで嫌悪感があるのです。
これを、「さあ、君は計算が苦手なので、今から2時間やりなさい」なんて言われようものなら、地獄です。
でも、「君は文章を書くのが好きそうなので、今から2時間でブログ記事を2つ書いて」と言われたら、「え?2時間だけでいいのですか?明日の朝まで書いていいなら、20記事位書きますよ」と言うでしょう。
療育でよく間違えるのは、ここです。
苦手なことを取り組ませる。
絶対失敗します。
やる気おきないもの。
じゃあ、どうやって遂行させる?
叱ってさせるか、先生怒るよ、と脅す。要は怖がらせばする、という手段を選んでしまいます。
これが素人の療育です。
プロの療育は違います。
得意を見極め、それに取り組ませる→得意なことなので、うまくいく→自信を持つ→苦手なことにも挑戦できそうか見極める、できそうなら子どもに進言してみる→やってみてくれた!→様子を見ながら小出しにしていく→少しずつ経験値があがり成功率が高くなってくる→その変化を子どもに意識させ自信を爆上げさせる→子ども自ら「やってみる」と言ってくれるようになる。
これがプロの持って行き方です。
つまり、「面白いことをする」ことが何より大切にするべきことです。
これは保護者の方もそうです。
療育を探していたとします。
「我が子に合った療育は、どこかなあ」と悩まれることがあると思います。
悩んだときは、面白い方を選ぶ。
「あ、我が子にどっちが面白かったかを聞けばいいのかな?」
いいえ、違います。もちろん聞いてあげるのはいいことです。
でも一つ足りません。
それは、「お母さんは(お父さんは)どっちが面白い(楽しそう)と感じたか」です。
「え?親の感想でいいのでしょうか?」
はい。いいです。
お母さん(お父さん)が楽しい→子どもはその姿を見ます→「お母さんも楽しそう」→「きっとここは楽しいところなんだ」
と思ってくれます。
それだけ、お子さんは、お母さんの心理状態を反映する存在なのです。
子は親の鏡というのは、このことです。
だからこそ、お母さん(お父さん)が楽しいと思うかどうかを判断基準にすればいいです。
お母さん(お父さん)が、自分が通いたいと思えるかどうか、で判断してみてください。
お子さんは、お母さん(お父さん)が嬉しいとぼくも(私も)嬉しい、に決まっています。
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
伝えたいことは3つです。
1.経験が人を強くする。
2.そのためには、「迷ったらやってみる」「悩んだら面白いと思えるかどうかで決める」
3.自分の直感を信じて動いてみる
ゆずの代表という仕事に比べたら、公務員時代の方が遥かにしんどい思いは少なかったです。
ある意味ちょろかったです。
でも、それをやめてでも茨の道を選んだのは、療育業界を質の高いものにしたい、ブラック療育で人生を破壊されている子どもたちを救いたい、自分のこんな想いが本当に正しいのかどうか知りたい、という強烈な好奇心があったからです。
好奇心は、人生の道しるべです。自分の心の声です。
迷ったときは、好奇心に従ってみると、案外うまく行きます。
好奇心に従った私は、たくさんの失敗をしてきましたが、「役所を辞めなければよかった」と後悔したことは一度もありません。
そしてゆずはこれからも、お子さんの好奇心を見抜き、それを武器にする方法を一緒に考え、お子さんが「生きるって楽しい」と感じ、そんな姿を見た保護者の方が「子育てって面白い」と感じてもらえるよう、どこまでも伴走者で有り続けます。
それを実現するために、私はゆずを開いたからです。
ぜひお子さんの武器を見つけてあげてください。
お母さん、お父さんの好奇心に従って行動してみてください。
「ここ」から「向こう」へ向かって一歩踏み出した瞬間に、見える景色が変わります。
お子さんといっしょに、素敵な景色を探してみてください。
少しずつでいいので、坂道を登り続けてください。
そして時々、振り返ってみてください。
美しい景色が眼下に広がっているはずです。
美しい景色は、お子さんとお母さん、お父さんが歩いてきた証です。