本山ルームをご利用のお子さんとお母様のアイディアで完成した踏切。

子どもはみんな踏切大好きですよね。
複雑そうな仕組み、黄色や赤など多くの子どもが好きな色使い、カンカンカンカンという音と同時に閉まる遮断器、目の前を駆け抜けていく電車。
小さなお子さんにとって、それは一つのアトラクションに見えるのかもしれません。
さて、上の写真。
ラップの芯、ボールプールにあるボールを使って作った踏切。
お母様のアイディアが抜群だと、みんなで絶賛!

赤いボールが踏切の警告灯に早変わり。
実はこのアイディア、ゆずのおっちゃんが素晴らしいと思うのが、幼児期の発達において学ぶべき事項が詰まっているからです。
「ん?踏切を作りことで、何が学べるの?」と思いましたか?
「あ、わかった!指先の器用さが育つのでしょう?」と思いましたか?
もちろん、それも正解なのですが、それだけでなく小学校に上がった時に役立つことが学べるのです。
もったいぶっても仕方ないので、この踏切を制作することで学べるスキルについて、(指先の器用さ以外に)いくつかご紹介します。
①立体認知力が育つ
支柱を組み立てる際、特に上部のクロスしている部分を作る際、「前」と「後ろ」の概念理解が必要になります。
手前と背面といえば分かりやすいでしょうか。
これは踏切の絵を書いているだけでは学べません。絵は二次元だからです。
実際に支柱を持って「クロスさせる」という動きをすることで、「体で前と後ろの概念を学ぶ」ことができます。
この立体認知力が、お子さんにとってどのように役立つのかというと、「ボディイメージ」「体のコントロール」「体を使った模倣(例えばダンスの真似がうまくなるなど)」といったことを学ぶことにつながります。
さらに小学校に上がった際に、この立体認知は「分数の理解」「マイナスや小数点の理解」「展開図などの問題の解釈」「国語の作者の意図を読み取る力」などにおいて効果を発揮します。
ゆずでは、発達障害や学習障害のあるお子さん専門の個別学習塾(寺子屋ゆず)を運営していますが、高学年になって学習の遅れが見られるお子さんの中には、算数や国語の問題が解けなくなってきた、というお悩みを抱えている方が多いです。

実はこの課題に、立体認知力が関係しています。
算数や国語のテスト問題を解けない(どのように問題を捉えて、どのように解釈すれば解けるのかの方法がピンとこない)ということにつながっている事例が多くあります。
こういったお子さんの場合、算数のドリルや国語の読み取り問題を繰り返しさせる、という手法が取られがちですが、まず上手くいきません。
それは、「ハサミの使い方が上手くないので、ハサミで切る練習を繰り返しさせる」というのと同じで、効果のない手法です。
反対にいうと、この踏切のように、立体的なものを制作する活動を幼児期にしっかりと行っておくことが、算数や国語の問題を解くための基礎づくりとなります。
もし、今小学生のお子さんをお持ちの方で、算数や国語に難しさがある場合、「幼児期に積み重ねておくべきことを漏らして来なかったか」といった視点でお子さんを評価してあげてください。
そしてこれらの取り組みが不十分だったと気付いたら、すぐにでも立体認知を高める遊びなどを取り入れてあげてください(保護者の方が分からなければ、療育先の先生に聞いてください)。
ちなみに、放課後等デイサービスなどで、学習支援を行っている事業所さんもあると思いますが、「単に宿題を片付けている(先生は宿題を手伝っているだけ)」ところと、上記のような課題を評価し、勉強以外の取り組みを通して学習成績を向上させる取り組みを行ってくれる事業所さんがありますので、「学習支援」という文言に惑わされないようにしましょう(まあ、宿題を家でさせると喧嘩になるので、第三者に宿題を見てもらえればそれでいい、というのであればどこを選ばれてもいいと思います)。
余談ですが、この学習支援を「厳しく叱りつけながらさせる」ような場合は、勉強そのものへの取り組みをしなくなり、さらに成績は低下し学ぶことを完全拒否してしまいますので、どのような関わり方をしてもっているのか、もチェックしておくとよいでしょう。
②自分で工夫する力が育つ
踏切を制作する遊びは、能動的な遊びです。
試行錯誤をする中で、工夫する機会を持つことができます。
例えば上手くできなくて、工夫したり繰り返しすることで、成功方法を学びます。
それにより、立体認知のみならず、成功体験や工夫すればうまくいくこともあるといった人生の学びにもつながります。
もし、お子さんが自ら大人に「手伝って」ということができて、大人が手伝ってくれたら、人への関心度はグンと上がります。
言葉が出ていないお子さんの場合、大人に視線を向ける、喃語であっても声で発信することで大人が手伝ってくれると、「発信することの楽しさ」に気付き、言葉の表出につながります。
一方で、用意された遊具等で遊ぶのは受け身の遊びです。
受け身の遊び例は、市販の玩具やボルタリングやトランポリン・雲梯など遊具遊びです。
こういった遊びは、その使い方に従って遊ぶことになるので、能動性や工夫などを学ぶことはできません。
受け身の遊びが全く効果がないかといえばそんなことはありませんが、能動的な遊びに比べると効果は限定されるでしょう。
受動的に遊ばせるなら、なにも療育で行う必要はありませんよね。
ディズニーランドかUSJ、神戸だったら新しくなった神戸須磨シーワールド(旧須磨水族園)にいけば良いだけの話です(王子動物園でもいいですよ笑)。
ただし、発達特性のあるお子さんに「自発的に遊びなさい」と言っても、なかなか難しいものです。
だからこそ、担当者が上手く誘導してあげる必要があります。
もちろん「◯◯しなさい」など、大人が誘導するのではなく、子どもが自ら「遊んだ!」と実感できる形が最強ですね。
このように、踏切を作る過程においては、工夫が必要なり、また大人がうまく関わることで「子どもの工夫する力」を育てることができると同時に、人への興味関心を増やし、ひいては発語にもつながるようになります。
もちろん下手に関われば、伸びるものも伸びません。
遊びの効果を常に考えよう
こういった遊び(例えば制作活動)は、普段の中で実践されていると思います。
ですが単に実践しているだけでは不十分で「この遊びには、どんな効果があるのかな?」と常に考え続けることが大切です。
保護者の皆さんも、一度お子さんが好んでしている遊びについて「どんな効果があるんだろう?」と考えてみてください。
遊びの効果に気付くことができると、「遊びを通して発達を促すコツ」が自ずと見えてくると思います。
ゆずをご利用の方はその答えが合っているかどうか、ゆずの担当者に聞いてみてください。
ゆずスタッフは、普段から遊びの効果について常に考える習慣を持っていますので、保護者の方の答え合わせをしてくれると思います。
我が子に合った、そして発達を最大に引き出す遊びは何なのか?
ぜひ見つけてあげてください。