こんにちは。ゆずのおっちゃんこと、代表のにしむらたけしです。
さて、先日、スタッフ全体研修を実施しました。
テーマは、子どもの人権擁護・虐待防止と身体拘束に関することです。
いつもこのブログでも書いていますが、ゆずは「子どもの権利条約(1989年に国連総会で採択・日本は1994年に批准)」を療育の中心に据えています。
子どもの権利は次の4つがあります。
「生きる権利」、「育つ権利」、「守られる権利」、「参加する権利」です。
要は、子どもの利益を守る(権利を守る)のは、大人の役割で、子どもは大人の付属物ではない、という考え方です。
諸外国の中には、子どもの人身売買や強制労働など、子どもの人権が守られていない国も多くあります。
日本ではそのような人権侵害は少ないかもしれませんが、「親は子どもの言う事を聞くもの(親に従うもの)」という考えがあり、これも実は子どもの権利を守っていないということになります。
また、療育においても虐待案件はもちろんあり、保護者の方が気付かないところで、あるいは気付いていても保護者の方がそれを虐待案件だと気付かずに、支援者といっしょになって子どもの権利を奪っていることもあります。
さて、ここからブラックたけしくんが登場します!笑
療育は虐待の温床といっても過言ではない位、後々虐待につながる事例があります。
- 怖い声で言ってきかせる(初級)
- 話しかけられても知らん顔をする(初級)
- お尻を叩く、小突く(中級)
- 「いい加減にしなさい!」「先生、怒っていますよ!」と言う(中級)
- 言うことを聞かないと押さえつける(上級)
- 「もう来なくていい!」と言う(上級)
療育では、虐待につながるというか「それ、すでに虐待でしょ?」という事例も多くありますが、多くの保護者の方は「まさかそれが虐待につながるとは思いもしなかった」「それが虐待に該当するとは思わなかった」と仰るかもしれません。
例えば、すぐに離席するお子さんに、「ちゃんと座りなさい!座らないとおやつあげないよ」などというのは、一見説明しているだけに見えるかもしれません。
だって、躾として言ってるように聞こえますからね。
でも、これはアウトです。
まあ、もちろん一般の園や学校でも虐待は起こりますので、何も療育に限ったことではないのですが、療育事業所はそもそも虐待が起こりやすい理由が、一般の保育園や幼稚園などよりも多くあるのです。
その理由について、今回は2つご紹介します。
療育で虐待が起こりやすい理由①「この子のために」が許されるから
療育においては、「矯正しなければ」「きちんとできるようにならなければ」という間違った目的を設定されることが多く、「この子のためを思って言っています」が許されてしまう環境にあります。
要は、「できないことをできるようにするのが療育」と勘違いしている人が多いことが原因です。
保護者の方も「小学校に上がったときに困らないようにするためには、先生が厳しくするのも仕方がないかも」と思ったりするので、我が子が厳しく叱られていても「この子のために心を鬼にしよう」と思ってしまうのです。
つまり、「この子のために」と言うセリフは、免罪符、もっと分かりやすく言えば水戸黄門の印籠です。
全部許されるのです。
印籠を出すまでは「ええい!うるせい!このクソじじいがっ!」とか言っていた悪代官も、印籠を見た途端に「へへへっ!」と平身低頭。
こりゃあ、気持ちいいですわね。
「この子のために、厳しく言って聞かせています!」
「先生!ありがとうございます!この子のためですから、もっと厳しく言ってやってください!お願いします!」
「分かりました、お母さん。私も愛情を持ってこれからも厳しく叱りつけますね!」
「はいっ!お願いします!」
は?
単なるSMプレイやん。
分別のある大人が合意のもと行われ、周囲に迷惑をかけないのが、健全なSMプレイです。
これじゃあ、子どもにSMプレイを強制させているようなものです。合意のないSMプレイです。
そもそも、子どもにSMプレイをさせるなよ。
そうか分かった!
虐待なんて言う言葉を使っているから、ことの深刻さに気づきにくいのですね。
「いいえ、私たちは躾をしているのであって、虐待しているわけでは有りません!」と言い逃れしようとするわけです。
なので、今後は虐待という言葉をSMプレイと言う言葉に変えれば、深刻度は伝わるのではないだろうか?
「子どもを虐待から守ろう!」と啓発するのではなく、「子どもをSMプレイから守ろう!」と言ったほうが、響きやすいのではないだろうか?
本題からズレてきたので、戻します。
保護者の方が、心を鬼にして我慢する気持ちも、分からないでもないです。
でもね。
心を鬼にしている保護者の方、ちょっといいですか?
心を鬼にしなくてもお子さんの困り事を減らしていくことができるのが、療育ですよ?
叱ったり、怒鳴ったり、叩いたりしなくても上手くいく方法を教えてくれるのが、療育ですよ?
一度、叱らなくても子どもを伸ばしてくれる療育を受けてみてください。
療育の印象がガラッと変わるはずです。
そして「今まで、何をしていたんだろう」と思うと同時に、「これから何をするべきか」がはっきりと見えるようになり、視界が開けることと思います。
ちなみに、多くの方にゆずに来て欲しい(ゆずを利用してほしい)からこんなこと言っているのではありません(どのルームも基本的に満席(空き待ち)ですので、ご利用者がいなくて困っているとかはありません)。
ゆずだけでなく、叱らなくても伸ばしてくれる素敵な療育事業所さんもあるので、一度ちゃんと探して見てください(ゆずが自信を持ってオススメできる「信頼できる事業所さん」は、また追ってご紹介します)。
このように療育現場においては、「この子のために」という言葉が免罪符になり、虐待の種は見逃される(保護者の方も「この子にためになるなら」と見逃してしまう)わけです。
「この子が学校に行ったときに困らないように、立ち歩かずに椅子にじっと座れるようにします!」
ほうほう。
まあ、じっと座れるように躾けますなんて方法は、100%失敗して、そんなやり方じゃ学校にいっても離席は普通に起こるでしょう。
怖がらせて言うことを聞かせると座るようになると思いますが、その引き換えに自己発信をしない子になっていくでしょう。
「お母さん、ここで「抱っこして」を聞いてしまうと、いくつになっても、「抱っこ、抱っこ」と言いますよ。だから今は抱っこを求められても抱っこはしないでください!」
ほうほう。
抱っこを求めているお子さんは、抱っこから得られる感覚刺激を求めているのです。
好きな感覚刺激を入れてもらえる(母に抱っこしてもらえる)ことで、感覚が満たされ、気持ちの安定や新しいことへの挑戦につながるのです。
抱っこしてほしいときは、気持ちの満たされ感が枯渇している状態(要は水分補給を求めているようなもの)です。
このときに、快の感覚刺激を入れてあげないと、子どもはずっと欠乏した状態になり、気持ちはさらに不安定になり、それが原因でいわゆる問題行動と呼ばれる行為につながっていくことになるでしょう(例:暴力、暴言、破壊行為、不眠など)。
信じるか信じないかは、個人の自由なので、「いや、私はゆずのおっちゃんの理屈は間違っていると思う。なので、抱っこは求められてもしない方針の事業所さんを信じる!」という方もおられるでしょう。
それはそれで、いいです。
まあ、絶対失敗すると思いますけどね。
療育で虐待が起こりやすい理由②支援者の脳が「正義中毒」に陥っているから(薬物依存症と同じ)
虐待はいくつかに分類されます(身体的虐待・心理的虐待・性的虐待他)。
では、ここで療育でよくある虐待を2つご紹介します。
- 身体的虐待:おしりを叩く、蹴る、小突く、部屋に閉じ込めるなど。
- 心理的虐待:「ちゃんとしないと先生怒るよ!」と言葉で脅す、「何回言っても、あなたはできないね!」と侮辱する、「言うことを聞けないんだったら、ずっとそこにいなさい」と仲間に入れない、意図的に無視するなど。
これらは、ゆずのおっちゃんが実施している自費オンライン相談などで、保護者の方や支援者の方からよく頂くご相談(ご報告)です。
ちなみに一般的に虐待の中では心理的虐待が最も多く、全体の約60%に上ると言われています。
おそらく療育現場でも、心理的虐待が多いと思われます。
なぜなら、身体的虐待に比べ証拠が残りにくい、(上記の①でご紹介した)厳しく言うのは躾だから虐待ではないと思っている、などが理由です。
まさか療育事業所でこんなことをある?と思うかもしれませんが、うんざりするほど聞く(ご相談いただく)お話です。
じゃあ、なぜこのような誰もが「良くないよね」と思うことが繰り返されているのでしょうか。
それは「正義中毒に陥っている支援者がいるから」です。
正義中毒とは、脳科学者の中野信子さんが定義されている言葉で、中毒になる流れは以下の通りです。
- 人の脳には、社会のルールから外れた人など分かりやすい攻撃対象を見つけ、攻撃したり罰すると快感を得る働きがある
- 正義の制裁を加えると、脳の中に快楽ホルモンが出る(ドーパミン)
- ドーパミンは麻薬作用があり、より強い刺激(正義の制裁)を求める
- 薬物依存と同じで、もうやめられない
で、療育では以下の流れで正義中毒の支援者が発生します。
- 子どもを正義のもとに叱りつけたり、ダメなところを指摘したりして、言うことをきかせる
- 先生の脳の中にドーパミンがブワッと出る
- 麻薬作用により、「もっとドーパミンを出したい!」と脳が欲っするようになる
- より厳しくしたり、子どもをコントロールしようとする(エスカレート)
このような流れです。
①でもお話したように、一見子どものための躾のように見えるので、周囲からの指摘も少ないです。
かつその人がお局様なら、他のスタッフは怖がってお局様に反旗を翻すようなことはしないので、さらにエスカレートします。
これが、療育における正義中毒です。
この支援者は、「もっと快感が欲しい」と思っていますので、子どもを躾けるという言い訳をして、より子どもに厳しくきつくあたります。
叩く、暴言を吐く、なども「この子の躾のためだから」という理由で、さらにエスカレートします。
つまり、正義中毒に陥った方に担当してもらうと、虐待がひどくなることはあっても、好転は絶対にあり得ません。
脳内麻薬は、本人の意志とは関係なく、その支援者の脳を支配します。
お子さんは、大事な幼児期に正義中毒の支援者の犠牲になり、心も体も破壊されます。
後でしまった!と気づいても、破壊された子どもの心は修正できません。
ではなぜ、そんな正義中毒に陥ってしまう支援者が生まれるのでしょうか?
それは、お子さんの「できないこと」を「悪」だと捉えるからです。
悪であれば「修正しないといけない」と思いますよね。
これが正義中毒に陥る最初のステップです。
できないことがあれば、「なぜできないのかな」「どうすれば上手くいくのかな」と考えてくれる大人(支援者)は、正義中毒にはなりません。
ゆずができないことを重要視しない理由は、そこにあります。
いや、できないことにも注目してもいいけど、まずは得意なことを探してあげることですよね。
そして、「できないからダメ(罰します)」ではなく、「できないからには、どこかに理由があるはずだ」と評価をしっかり行えば、手立てなんていくらでも見つかります。
これこそが、療育が行うべきことなのです。
「できないことをできるようにすること」が療育ではないのです。
そんなことを言っているから、正義中毒の支援者が「正義の鉄拳」を振り下ろして、満足して、悦に入り、さらに中毒になっていくのです。
そして、子どもは人生と未来を破壊されます。
正義中毒の人は、それを反省することなく、今日も新しい獲物を探しています。
正義中毒に陥った支援者の更生施設はありません。野放し状態です。
療育業界も人手不足なので、「誰でもいいから採用する」なんてザラです。
だから、今日もどこかで正義中毒に陥った支援者がどこかの事業所に入職します。
明日はあなたのお子さんが犠牲者になる番かもしれません。
虐待を減らしていくためには「保護者の目」が最も効果的!
虐待を減らしていくためにはいろいろな施策があると思います。
研修とか、勉強会とか。
でも、おっちゃんが一番手っ取り早いと思っているのは、「保護者の方の目」だと思っています。
例えばゆずは保護者の方が隣にいるので、虐待しようがない環境です。
それと同じで、常に保護者の方に「見られている」という緊張感があれば、ブレーキがかかりますし、正義中毒の支援者は鳴りを潜めることでしょう。
あと、「そんな事業所は利用しない!」と保護者の方が厳しい目で事業所を選べば、正義中毒やお局さんが闊歩する事業所のオーナーさんもテコ入れをせざるを得ない状況になり、少しずつ状況は好転していくでしょう。
よく段ボールを捨てるコンテナボックスのところに、「目のマーク」や「人の顔の絵」を貼っている場面を見かけると思いますが、あれは「見られている」(視線を感じる)ことが、心にブレーキをかける(例えば違法投棄を防ぐ)ことにつながる効果があるからです。
それと同じで、保護者の方が「正義中毒の人になんか、担当してほしくない。それだったら、別の事業所に変わる」「怖がらせて言うことを聞かせるような事業所とは契約しない」という意思を見せることは、コンテナボックスの目のマークにつながります。
虐待を許さない、とお考えのオーナーさんに伝えたいこと(ゆずも苦労しました)
ここで少しだけ虐待を未然に防ぎたいと考えている事業所オーナー様に向けて書きたいと思います(保護者の方もご参考にしてください)。
虐待防止において、事業所としてできることは「お局様を排除すること」です。
※ちなみにお局様は、必ずしも「口が悪い」「態度が横柄」とは限りません。一見優しそうで親切に見え、周囲からも信頼が厚いなどの場合もありますので、注意が必要です。
お局様が闊歩する事業所は、絶対に虐待案件が隠れていると、お局様研究者のおっちゃんは、胸を張って言えます。
なぜかと言うと、実はゆずにもお局様が闊歩し、虐待の種が生まれそうなことがあったからなのです。
恥を忍んでゆずの事例をご紹介しましょう。きゃー恥ずかしいー!笑
とあるルームで「保護者を(裏で)批判する」という、おっちゃんが大キライなことをしていた事例があったのです。
「あのお母さんは分かっていないわ」
「そうそう。ホンマにこれから困るで」
こんなことを雑談の中で言い合っていたのです。
これは、完全に虐待の種です。
ゆずは「他責ではなく、自責」の考え方を大切にしています。
「お母さん、分かっていないわ」ではなく、「どんな伝え方をすれば、上手く伝わるかな?」でしょ。
保護者の悪口・陰口を言うのは、療育では結構ある話ですが、ゆずではそれは許しません。
「ダメ!ぜったい!」
ということで、テコ入れ必須の案件です。
保護者の方に大変失礼である、ということ以外に他のスタッフのモチベーションも下がるなど、安定したルーム運営に支障をきたします。
ということで、調査をはじめました。
まずは、なぜこのような空気感になったのか原因究明からです。
そうすると恐ろしい事実が、浮き彫りになってきました。ぴえん🥺
■お局様(第二形態)が生まれており、お局様がスタッフを取りまとめ、率先してゆずの批判を行っていた(これが正義中毒!一見安定して運営されているように見えていたため、お局様第二形態になっていることに気付かなかった)。
■ゆずの理念が別のものになっていた
■ゆずの理念への批判・悪口が横行していた
■お局様が先頭に立ってスタッフを巻き込み、代表をこきおろす運動が展開されていた(「あのおっさんはゆずのことを分かってない」とか「療育現場のことを何もしらんくせに偉そうにしている」など。これも正義中毒!)ぴえん🥺
確かにおっさんやけど、おっさんと言うな!笑
その前にちょっと待て。「あのおっさんは、ゆずのことを分かっていない?」だと?
おい!ゆずを作ったのは、おっちゃんやぞ!設立者がゆずのこと分かってなかったら、誰が分かってるねん!
ほんで、おっさん、ではなく「おっちゃん」と呼んでくれ!笑
おっさんなんて言葉、あんたの品の悪さが出てるで!
まあ、私の気持ち(心の叫び)はさておき、このあたりが原因であると言うことが分かりました。
そこで早速テコ入れを行いました。
お局様の排除、空気と人の入れ替え、該当者全員での研修、該当者の個人指導など。
時間はかかりましたが、お陰様で虐待の種を潰すことができました。
長くかかったテコ入れも、今月をもって一旦終了となります(テコ入れ終了後は、真面目で優しいスタッフの方々と、これまで以上に信頼される事業所作りを行っていきます)。
余談ですが、もしこのテコ入れが上手くいかなかったら、ゆずは閉鎖しようと思っていました。
そんなんで運営していても、療育を提供している意味ないもの。
今思えば、あのときテコ入れを行わなかったら、ゆずにも虐待が起こり、お局様を中心としたゆずが構成されていたことと思います。
つまり何が言いたいかと言うと、事業所で虐待案件を発生させたくないなら、まずはお局様を排除してくださいということです(それが一番大切です)。
お局様の存在を許した途端、虐待が起こるリスクが格段に上がります(ゆずがそうだったように)。
オーナーさんの「私の事業所で虐待案件なんて、絶対に出さないからな!」「お局様に好きなようにさせないからな!」という覚悟があれば、お局さんは居心地が悪くなって、自ら職場を離れていくでしょう。
というか、お局様を排除できるのは、オーナーさんしかいないのですから。
お局様が第三形態まで行くと排除することが難しくなりますので、第二形態の段階で手を打つことをお勧めします。
おわりに
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
研修の最後に、ゆず6Kについて解説しました。
ゆず6Kとは、ゆずスタッフが守るべき行動指針のようなものです。
ゆずには「できない理由を探さない。できる方法を考える」というスタッフ行動指針があり、「お互い様の気持ちで」「困っていたら助け合う」「どんな職種でもお互いにリスペクトする」を大切にしています。
多分、スタッフ間の関係が良いと、虐待という「弱いものいじめ」は起こらないのではないかと思っています。
これからも療育業界において、どれだけ虐待が起ころうと、ゆずはそれに毒されずみんなで理念の実現に向けて活動していきたいと思います。
そのためにこれからも、お局様撲滅!と理念を高く掲げていきたいと思っています。
私たちを信じて通ってくださる方々、ゆずの療育を見本にしてくださる事業所様がおられるので、その方々に「信じてよかった」「相談してよかった」と思っていただけるサービスを提供していきたいと思っています。
信じてくださる方々に、全エネルギーを傾けたいと思っています。
あとは、知らん笑。
虐待は許せない、そんな事業所なら通いたくない、そんな事業所を作りたくない、と思われる方。
ぜひ自らの力で虐待の種から子どもを、自分を、事業所を守ってあげてください。
ふざけて書いたとしか思えないこの記事が、どこかの誰かの何かの参考になれば嬉しいです。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
くどいようですが最後にもう一度。
虐待は、合意のないSMプレイ。